(政治)

1) 教育問題
毎週同じですね。今週も木曜日に学生デモがあり6万人が集まりました。確かにすごい動員力ですね。そしてデモの最後に覆面をした若者が警察と衝突と言うのがストーリー。しかしデモの通り道に近いところに住んでいる人は大変です。いつ何時覆面をした若者の乱暴狼藉を受けるか分からないし、警察の放水・催涙ガスもたまったものではありませんね。
それでも政府と学生・教師連合の対話は続いています。学生の主張する「教育の無償化」は実現の可能性は無いとおもいますが、何故それが中心議題になるのか不可解。政府の中にそれについて学生を説得できる人間はいないのかな?   来週にもこの面談は予定されていますが、学生グループの分裂、政府側の拒絶もあって最後のミーティングになるような気がします。               日本で教育を利益の対象にするなとして私立大学を公営化させようとすれば、どんな騒ぎになるでしょうか?チリの2大大学はチリ大学とカトリカ大学ですが、そのカトリカは私立です。
UDI党のノボア議員は軍事政権時の秘密警察のイメージが強く私には全く受け入れないタイプですが、彼の言った「何ヶ月も同じ状況が続いているが、政府が主導権を握らないで、学生が主導しているようでは解決は程遠い」には同感です。
ピニェラはそのUDIの総会でこの問題について、教育の無償化をしない理由として、「一つは資源不足、もうひとつは貧困層はともかくとして富裕な層にまで教育の無償化を差し出す必要があるのか」とし、拍手を浴びていました。
しかし学生の大量留年、それから来る来年度の入学生徒数の縮小が現実になれば、問題の緊迫度は間違いなく増加しますよ。
チリ大学の正門に「どこに行ったの」と書き添えられたバチェレットとラゴス元大統領の写真が掲げられました。前政権時の責任を追及するものですが、野党側も学生の随伴をしてピニェラ批判は面の皮が厚いですね。

2) 2011年予算
ここでも教育関係の予算が目だって増加しています。今年の予算では労働省の予算が全体の21%、教育省は19%でしたが、来年度はそれが逆転する見込み。そんなニュースが新聞に出ても学生側は政府は信用できないとして、学校閉鎖をやめ教室に戻ることを拒否しています???!!!
でもあまり派手に予算を上げないでほしいですね。間違うとアメリカや日本のように赤字国になってしまいますからね。新聞にこの予算が通ると来年は65億ドルの借金が残るとされています。野党側は予算額の伸びは純粋な経済成長では補いきれないから増税があるはず、それを明らかにしない予算提案はおかしいと意気込んでいます。銅の値段が下がればチリの場合、隠し財産が消えますからね。

3) 出産後の休暇
とうとう国会で承認され、出産の後6ヶ月間、女性は休暇を得る権利が確定しました。今までの3ヶ月から大きな進歩。なんでも世界的に進んだ法律だそうです。

4) ボリビア問題
神戸のオヤジと電話をしていて、チリのピニェラ大統領の人気は低いらしいねといわれました。そんなニュースが日本で流れるのですかね。
ピニェラの支持率は菅前総理の最後と同じくらいの20%ほどです。もっとも私の見方ではピニェラの方が菅前総理より仕事はしているとおもいます。
さてボリビアのモラレス大統領はもっと厳しい現実に向き合っています。一般市民は以前から彼の支持をやめていましたが、農民などインディヘナと呼ばれる層に人気がありました。それが昨今は彼らにもソッポを向かれまったくよって立つ基盤がありません。コカの葉を作っている層からまだ支持があるそうですが、そんなのほんのわずかです。どうなるのかな?
そのコカの葉ですが、今年の初め、ボリビア麻薬取締りの最高責任者サナブリア元将軍がチリの私服警察にはめられアメリカに送られました。そのニュースはチリの風にもでました。
マイアミの法廷で当初無罪を主張していましたが、そのまま有罪になると死刑がありうると脅され、有罪を認めました。彼は数年の刑で刑期を終え、アメリカで人生の後期を送るつもりだったようですが、何と判決は14年と厳しいもの。54歳の彼は判決を聞いて泣いてしまったらしい。何年か服役してボリビアに送り返されるのでしょうか?刑を短くしてもらうため、ボリビア政府の高官の名前を出して、彼らも私と同罪ですと言い出したら・・・モラレスも気が気じゃないでしょうね。

5) ピニェラの世論評価は毎月下がっていますが、同じように野党連合の評価も下がり、何と今月は彼らを評価するとした人はわずか10%。
にもかかわらず次の大統領にしたい人では野党側のバチェレットがトップで、人気にかげりは出ません。
もっとも彼女も馬鹿ではないので、自分が出れば、選挙には間違いなく勝てる。しかしそのあとの4年間をこの無能な同僚・部下と一緒に過ごすのはたまらないと考えるのでは?