(政治)

1) バチェレット最後の教書
年に1回、イキケ海戦の日(5月21日)に国会議事堂で大統領が教書を発表するのが通例でしたが、昨年、デモで死傷者がでるほどの大騒ぎになったので、今年は記念日とずらして6月1日を大統領教書の発表日にしました。
議会のあるバルパライソは穏やかでしたが、サンティアゴはデモ隊と機動隊がぶつかり逮捕者が多数出ました。
第2次内閣の最後の年、バチェレットにとって8回目の教書ですが、与党側は見事に今までの仕事をまとめたと自讃し、野党側は失政に対し全く反省がないとこき下ろしました。
その後でニュースになったのは経済の停滞とか犯罪の増加、マプチェ問題などの重要点ではなく、同性間の結婚承認・新しい地下鉄第7号線の発表、それに大学教育の無償化を60%まで上げると言うものでした。最後の話題の時、議事堂にいた大勢の参列者が総立ちになって拍手を送りました。最初の公約では100%無償化するでしたが、それが実現しなかったのに、似たようなことをレベルを下げて発表すると参加者が喜ぶなんて不可解です。ブーイングならわかりますが。
それから小異を捨てて大同につこうと発言がありましたが、自分のリーダ―シップのなさから与党連合が崩壊したのを教書の中で嘆くのはどうかとのコメントが出ました。
彼女は今日のチリは以前より進歩していると自画自賛すると多方面からどの国に住んでるのと厳しいコメント。
どこかの研究機関の調査ではバチェットは公約を半分も実現しないで4年の任期を終えるだろうとなっています。 
彼女を支持すると言うのは市民の18%、拒否すると言うのは60%ほどです。どの世論調査でも拒否するが圧倒的に多いのが悲しい現実ですね。
2) 警察の不祥事
今までチリでは警察と言うと最も信用できる組織と考えられていましたが、世論調査ではそれが大きく変わってきています。今回の不祥事は65名の逮捕者(ほとんどが上級レベルの警官)、横領金は180億ペソですからね。
法務大臣のブランコもヤミ給与を受け取っていたと言う噂があります。
現在の警察軍長官のビジャロボスに殺人の疑いが出ています。元陸軍長官が裁判になっていますが、似たようなケースで1985年、反軍事政権のチリ大学学生連盟に警官隊が襲い掛かり暴力を加えたとか。一人の学生は警察署から病院に運ばれる途中死亡しましたが、警察は彼は持病を持っており、それが発生して死亡したと責任を拒否。同じ時期に拘留されていた元学生が訴え、裁判になっているわけです。現在は証人として検事に呼ばれていますが、これが進めば警察軍を離れ個人として裁判に向かうことになります。
3) 大統領選挙
世論調査では毎回野党側のピニェラが首位ですが、与党の希望的観測とすれば、3名の候補者(ギジェル、ゴイッチ、サンチェス)の合計は野党側の3名の候補者の合計を上回る。つまり第1次投票ではピニェラが首位は間違いないが、決選投票で与党側が結束すれば勝てる可能性があるとしています。
で、与党内からキリスト教民主党DCのゴイッチ党首に、勝ち目のない予備選挙に参加するよりDCが一体となって、ギジェルを推せば、ピニェラに勝てるだろうとプレッシャーをかけているようです。
もちろん与党側の考えは正しいですが、彼らはDCは(もしくはDCの一部は)最終選挙の時、ゴイッチがそれに参加していなければ、仲間のギジェルでなく、相手側のピニェラに投票するのを忘れています。つまり前回、バチェレットが小差で勝利したが、彼女に投票した中で、ほんのわずかでも敵側に回れば、結果は逆になると言うわけです。
現在の与党「新多数」に共産党が入っていることがDCをいらだてていると言うのを他の党は良く理解していませんね。

4) 税関スト
ボリビアのモラレス大統領は「チリの税関ストがボリビア経済に大きな損害を与えているが、まさに我々がオランダのハーグ国際法廷で訴えているボリビアの海問題の根拠だ」とコメントしました。
税関職員はチリ政府の合意事項不履行からストに入ったと主張し、責任はチリ政府にあるとしました。結局ストは10日続きましたが、一応終了、何らかの合意ができたようです。