(政治)

1) ピニェラの外遊
先ずアルゼンチンを訪問。大統領のマクリと親しく話し合い、経済だけでなくすべての面で連帯を深めたいとしました。
彼の1次政権の時は同国大統領のクリスチーナKがガチの左翼でピニェラとは会いたがらなかったが、今回は右翼同士なのでばっちり決まった訳。
そのクリスチーナの夫キヒネルが大統領をしていたころ、ずいぶん前の話ですが、キヒネルはチリとの天然ガス供給の合意事項を守らなかった事実があります。 一般に言われる左翼は外国との連帯、右翼は自国本位という考えは全く違いますね。
さてピニェラがアルゼンチン大使に自分の弟を任命した件は野党側が監査委員会に訴え出たため、少なくとも結論が出るまで数か月は赴任できません。勿論そんな長期間大使を不在にできないのでこの週末その任命を取り消しました。ピニェラは、「彼は元DC党員でバチェレットやその他の政権時に政府関係の仕事をしており、私の兄弟だから仕事が回ったと言うのではない」と説明していましたが。彼の失政の第1号ですね。
それからブラジルを訪問しテメル大統領と面談、自由貿易協定を実施する方向で意見が一致。ただその大統領は汚職で疑惑が掛けられていますから、いつ失職するか分かりません。
2) 野党連盟新多数の崩壊の危機
新多数と言われた与党連盟(この3月から野党連盟ですが)は大統領選挙で負けてから立てなおしの道を歩くはずだったのに、それは見られず、逆に歴史的にその中心だったキリスト教民主党が分裂しています。元党首で大統領候補にもなったアルべアルが脱党。彼女に続いて他の重鎮も党を離れ、次の党首を誰にするかという選挙より、このままでは党が成立するかどうかさえ分かりません。
それまで中道左派グループとしてやってきたのをバチェレットが左に方針を替え、共産党新左翼をグループに入れたのが混乱の始まりになった訳です。
政党だけでなく、検察も大混乱です。ペンタ銀行の政界への賄賂に関し、今週、二人の元同銀行幹部は有罪を認める代わりに刑務所行きを免れました。
検事総長と意見が合わないと辞任した二人の元検事が、その後弁護士になりましたが、その後も批判を続けており、このペンタ銀行問題の結論にも納得できないとコメント。検事総長はそんなうるさい元検事に興味はないと苦しい発言。
新左翼はその検事総長を更迭できないか監査委員会に訴える準備をしているとか。どこも目に見えないところでこっそり動いているのですね。
3) あれから30年
先日の新聞にあれから50年と言う特集記事が出ましたが(チリの風その777掲載)今週はテレビであれから30年と言う特集がありました。
ピノチェット軍事政権の時に、テレビの番組でチリの現行の問題について若いラゴス(後の大統領)がカメラに指をさして「ピノチェット、あなたに責任があるのだ」とコメントしました。番組の司会が慌ててそれを遮ろうとしましたが、彼は全く臆するところもなく続けました。私は偶然その番組を見ていましたが、彼の勇気に驚きました。間違えば、彼は暗殺されるのではとも思いました。
それが発端になって反軍事政権の動きが一般に認められるようになった訳です。それまでは反政府と言うと共産党の戦いだけで、それは武器を使った戦いですから、死傷者が出るわけで一般市民とはかけ離れた所で行われていました。
つまりそれがチリの民主化の第1歩だったわけですね。ラゴスが大統領をした頃は左翼民主政権としてチリ一般社会に左翼が認められましたが、その後自滅していったわけです。