(政治)

1) バチェレット
カトリック(旧教)に対抗するプロテスタント(新教)の年に一度の信者の全体集会(総決起大会かな)が10日に行われ、大統領はじめ政界トップが招待されました。その場で同性間の結婚や妊娠中絶を認める現政権を激しく批判し、参加者がバチェレットを殺人犯と罵りました。政府はミサに招待しておきながら大統領を罵るのは理屈に合っているだろうかと疑問をとなえています。
この後、プロテスタント内部が分裂し、大統領を批判するのは控えたいとするグループがその日の信者の行動を自己批判。人口調査の先年の結果でチリの新教徒は人口の15%ほどです。ところでその法案は年内に成立し、12月中に一部の妊娠中絶は合法になります。
人権問題もバチェレットは手を打ちました。ピノチェット政権時に左翼を弾圧・拷問し殺したわけですが、その実態を更に明らかにしようとするわけです。スペインの新聞El Paisの1面にこれに関連する記事が掲載されましたから、遠くから見ていても重要問題と思われているわけです。
もっとも軍隊側は私たちの方にはこれ以上、何の秘密もないと知らない顔。軍隊の人権問題に関する調査レポートを作成させたのはラゴス大統領の時ですが、バレッチ報告書はその時から50年は全貌を一般公開をしないとなっていました。
もちろん、これは11月の大統領選挙で圧倒的に優勢のピニェラに傷をつける作戦でしょうね。ラゴスは私の仕事を汚すような作戦は認められないとクレームしています。実際、この報告書が出たころはチリ社会にまだ軍隊が影響力を持っていて、彼らに逆らうのは厳しい仕事だったと言うのははっきりしています。良くやったラゴスと言いたいです。
その時の防衛大臣はバチェレットだったので彼女は秘密を全部知っているわけです。            
もっともピニェラは右翼ですが、軍事政権には反対していたようです。そのピニェラはベネスエラ問題でチリ訪問中の反政府側の代表ロペスの母親と会い、彼を助けるためカラカスに行くと表明したとか。
最近、大きく報道されなくなりましたが警察トップの不正給与問題はちゃんと調べが進んでいます。この次は警察軍の長官ビジャロボスが証人ではなく容疑者として検察に呼ばれそう。その前に辞任すると言う噂もあります。検察はその他にも警察高官の銀行口座を調べる許可を申請しています。

この11日は軍事革命の44回目の記念日でした。例年ほどではなかったけれど、デモ隊と警察が衝突し、車に火をつける事件などがあり、多くの逮捕者を出しました。
1973年のその日、近くのビルからモネダ宮殿を監視していた軍隊の写真が新聞に掲載されました。その写真のビルの近くにホテルがあって、そこに観光客や仕事でサンティアゴを訪問していた人が泊まっていました。その人たちはホテルからモネダ宮殿銃撃を見たわけです。
そのホテルは今は外務省の専用事務所になっています。翌12日の昼頃、仕事でそこに入った私は屋上からモネダ宮殿を見ました。44年前なら、そのまま外に出られなかったのですが。                       

それから彼女は大統領職を終えたら、またニューヨークに戻り、国連で働くことが決まったようです。チリのいやな思い出から逃れ、以前のように楽しく仕事をしたいのですね。それが出来るのだから幸運ですね。
野党側が、任期を終えてから新しい仕事を探すべきで、仕事も片付けないで半年も前から準備するなんてとコメント。 内閣庁は「いつものような野党側の嫌味が始まりましたね。最初ら最後まで同じ、彼女を傷つけようとして恥ずかしくないのかな?」 私は野党側のコメントが正当だと思います。                 

1960年以来のチリの火事や地震、更に泥流などの大震災は最後の3年に43%、ほとんど半分ほどが起こっています。バチェレットって運がない人ですね、

2) 学費
教育の無償化を打ち出したバチェレットですが、全く進展がなかったのは残念ながら事実。今週の報道でOECD加盟国の中で国立大学の学費が高い国として3か国の名前が上がりましたが、上から順にアメリカ(年間8200?)チリ(7700?)日本(5200?)でした。何それ?と思いましたが、チリの場合、国立大学の学費は私立より高いのでこんなことになるらしい。英国やフィンランドは国立大学は無料のようです。チリ大学の学長が、この調査で明らかになっていないのは、多くの国で国立大学は政府の援助を受けており。そのためコストが低いようになっている。チリの場合はそれがない。 バチェレットの責任か?
ラテンアメリカの大学ランクで1位はチリの私立大学のカトリカ大学でした。