(政治)

1) バチェレット 
彼女はリマに飛び、APECの会議に出席。
その前に6回目の内閣改造をしました。もっとも離職した3人の大臣は次の国会議員選挙に出る準備のためとかで、自己(もしくは政党)の都合で辞任したもの。大がかりな改造を期待した与党側から落胆の声が出ています。
しかし、現実は厳しい。例の公務員の賃上げストは最低の終わり方をしました。初回の国会は政府案を全員で否決、2度目も小差で否決。今回の3度目は政府は野党に接触して、何とか法案は成立しました。
議員に拒否された初回と成立した3回目を比較すると賃上げ率は3.2%(同じ)。ボーナスは月給55万ペソ以下の人には10万ペソだったのが11万4千ペソにアップ。ほとんど変わりません。 
労組は怒り狂って、モネダ宮殿の周りを囲みデモ。「社会党の大統領が、経営者を代表するような右翼の政党と組んで労組の要求を切り刻むなんて信じられない。これで終わりと思うなよ、来年はさらに険しい闘争を用意する」とコメント。いやはや。共産党の議員は同じように大統領が労働者を守らないのはいかがなものかとコメント。3回目の投票の時、共産党議員は全員、棄権しました。
しかし、公務員の平均収入は88万ペソで一般労働者の52万ペソより50%も上です。これは一般労働者は高給の部長のほかに最低賃金の労働者も多くいるからで、公務員の場合は平均化されているからです。しかしそれを無視して政府に噛みつく共産党には驚きますね。

さて最近のバチェレットの動向について読者の方からコメントが届きました。
バチェレット(と与党)は残り任期をこうして無為に過ごすつもりなんでしょうか。余程のことがないと途中解任されない大統領制は、安定した政権運営できるメリットがありますが、こういう状況に陥ると国が傾きかねません。その点、日本の首相はちょっとしくじっただけで降ろされますので、なかなか安定した政治は出来ませんが、バチェレットみたいな人がいつまでも居座ることも出来ない、というメリットもあります。 
この見解は当たっていますね。チリの置かれている状況をきっちりつかんでいます。
2) 大統領選挙
与野党の候補になっているピニェラとラゴスに問題発生。
ピニェラが大統領をしているときペルーと領海問題が起こり、オランダのハーグ国際法廷で裁判になりました。ピニェラは大統領になる前に自分の持っている会社を全部他人に任せ、その期間は一切の責任を負わない仕組みを取りました。現在問題になっているのは、彼に任された会社が、彼の資本をペルーの漁業会社に投資したことです。つまり領海問題に勝っても負けても自分の懐には何か残ることになります。共産党議員はこれを裁判所に訴えました。裁判所をこの訴えを受理しました。
現職の外務大臣ムニョスがピニェラは大統領職に就いているとき、領海問題を重要事項として真剣に取り組んだと助けを出しました。もちろん与党側は何で敵方に援助の手を出すのかとクレームしています。
ピニェラはこのほかにもラン航空がアルゼンチンの国内線に進出するとき同国高官に賄賂を贈った疑いがもたれています。    
ラゴスの方は簡単です。バチェレットは自分の在任中、病院をたくさん建設すると公約しています。その病院の一つの建設に乙波を出した数社の中で、高い値段を出した会社が選定されたことで、その会社はラゴスの親戚がやっているとか。東京で自民党がやっていることと同じですね。悲しい実態。政治家は右も左も同じですね。つまりピニェラもラゴスも似たようなものと言うことです。
次の選挙で、私たちは現職の議員を全部落としたらどうでしょう。新人に投票するのです。政界が変わると思いますが、どうかな? 
バチェレットの息子の嫁が裁判所に外国へ出る許可を申し入れましたが、それが却下されました。有罪になったらどうなるのかな?