(政治)

1) 憲法改正問題
バチェレットはモネダ宮殿に元大統領を招待し、この計画について説明を実施。もちろん与党側のフレイとラゴスは同意を表明したが、野党側のピニェラは痛烈に批判。チリの安定さが失われ、海外からの投資が減少している中で、さらに不安定を呼ぶ労働法の改訂、憲法の改訂を試みるのは自殺行為だと言うわけです。現在の与党も野党も民主化から20数年この憲法の下でチリの運営を行い、チリ社会の安定・向上に成功してきたではないかと言うのがその反論の根拠です。
ラゴスはこの憲法改正ピノチェットの最後の影響力を取り去ると意気込んでいます。しかし「それを言っちゃあ、おしまいよ」です。これで憲法改正問題が右翼対左翼の戦いになることが明らかになってしまいました。
似たような例です。毎年ソフォファ(生産会社経営連盟)の年次総会の晩餐会に大統領が出席し経営者と意見の交換をしてきましたが、今年、バチェレットはそれをしませんでした。理由をつけて南部の町を訪問し、時間がないので欠席としたわけです。意味が不明ですが、「大会社の社長だからと言って大統領を自由に動かせると思わないでね」と言いたかったのでしょうか。連盟会長はその席で彼女の不参加を大げさに残念がりました。                   与党の議員が大統領の欠席は8名の大臣の参加で補われており、連盟会長のコメントはまるで野党側の政府批判と同じだと逆襲しました。                   しかしその翌日、バチェレットはソフォファ会長らをモネダ宮殿に招待し3時間にわたって話し合いを持ちました。労働法改正などが中心議題だったようですが、あまり発展はなかったみたい。仲が悪いのでしょうね。
イギリスのエコノミスト紙の報道ですが。「チリはラテンアメリカの見本のような発展をとげてきたが、それは終わった。その責任はバチェレットにある」と厳しいコメントを掲載しました。低い経済成長率、不安定な政情、行方の分からない公約の数々と言うわけです。チリの風に毎週書いていることと同じですね。
それと関係ありませんが、次の選挙から海外在住のチリ人にも選挙権が与えられることになりました。バチェレット政権にすれば、海外在住のチリ人の多くは今の与党に親近感を感じていると考えるからでしょうね。
2) 検察局のトップ
決まりました。アボットが検察長になりました。国会の投票で参加議員全員がOKをだしました。政府の根回しが決まったわけですね。さて、これまでの検察の勢いをキープしてさらに新分野にも踏み込めるかな。
 今まで検察の手が入らなった議員にも調査の手が進み、大統領の息子夫婦の事件にも調べの手が入っていることが国民の検察に対する信頼感を上昇させているのは明白です。
世論調査では現在チリ人が最も関心を持つ事項は犯罪の抑制で、教育、厚生などの他の主要テーマを越えています。
3) 市民登録局のスト
幼稚園職員のストが発表されました。それからある公共病院の医師が12月までに合意に達しなければ集団辞任すると発表しています。政府が組合とうまくネゴできない例ですが、その中で最低なのが市民登録局職員のスト。もう1か月になり、一般市民の我慢は極限です。何かの理由で外国に行く必要があって、パスポートが無い人はもう泣くしかありません。 組合側は政府が面談を受けないとし、政府はストを止めればその日にも面談を始めようと先週から進展はなし。
 しかしとうとう結論が近づきました。
組合側は今まで人道的見地から(ほんのわずかな)職員が職場で働いていたが、来週からそれを止めると脅しの姿勢。 政府は月曜から仕事を開始しなければ、組合の将来にかかわる大改正(幹部の解雇を含む)を実施する脅しの姿勢。責任を果たしていないと登録局の局長が木曜に突如更迭されました。
さらに監査局は組合活動に関するな種々の数字を5日以内に提出するよう組合側に命令をだし脅しの姿勢。
どうなると思いますか?私の予想は「組合が勝って、政府は面目を潰し、その腹いせに嫌がらせを開始する」どうかな?
4) 年金
国際機関が世界各国の年金制度を調査した結果を発表しました。上から順にAクラスに入ったのはデンマークとオランダ。次のBクラスに入ったのはスウェーデンフィンランド、カナダ、英国、スイスそして8位にチリ。年金受給者の年齢を上げている問題国に日本は入っています。チリが欧米諸国と互角に並んでいるのが素晴らしいですね。