(政治)

1) 今週の話題の人物
今週の話題になるのはリケルメとアパブラサです。チリの風を毎週読んでいる読者はチリの政財界についてかなり詳しいと思いますが、多分、今週の話題の二人についてはご存じないでしょう。 
リケルメはテレビのニュースを見ると政府内会議の時、バチェレットの横に座っていることもあり、かなりの側近と思われています。
最初のバチェレット政権の時の大臣だったビダルはバチェレット大統領はリケルメを助けようとしていたのはよくわかる、最後の最後まで彼をかばっていたとコメント。
現行の内務大臣ブルゴスが休暇中のバチェレットを説得したのでしょうね。バチェレットは明日の月曜日から出勤します。           
じゃ、何故、そのリケルメがそんなに問題になるのでしょう。1990年ころ、社会党と並ぶ左翼政党PPDの若手メンバーはG90グループと呼ばれていました。その中心メンバーがペニャイリジョで、彼はバチェレットに信用され、内務大臣に起用されたことは誰でも知っているでしょう。その男とリケルメは同級生で、そこから政治の世界に引き込まれたわけです。つまり表舞台にペニャイリジョ、裏の舞台にリケルメがいました。今回のバチェレットの選挙運動で彼は金集めに関連していました。彼のやったすべてが明らかになっているわけではないでしょうが。
このため先日ペニャイリジョが更迭されてもリケルメはまだ政権中枢の2階グループに残っていましたが、今回、彼が関係する会社(奥さんがオーナーとか)が政府から多額の金を受け取っていたことが発覚しました。
なんだかバチェレットの息子夫婦の問題と同じ色合い。チャンスがあれば、それを利用して金儲けですね。辞任するだけで問題は解消するのか、裁判沙汰になるのかはまだ予断を許しません。それに辞任したのか、解雇されたのかはっきりしません。 
この不祥事が明らかになった時、PPD党議員が彼に辞任するよう呼びかけていました。これ以上悪いイメージを政府・与党・PPD党に及ぼさないようにとの考えでしょうね。
ところで彼はバチェレットの息子が内閣府を辞任した時、息子のコンピューターの記憶を消す指示を出しています。
それだけでなないのです。G90グループは数人、政府内に政務次官などとしてペニャイリジョと同時に入りました。彼が更迭され、その後にキリスト教民主党DCのブルゴスが任命されるとそのG90グループの人間は次々と辞めさせられ、リケルメだけが最後の砦として残っていたわけ。
G90グループはDCを嫌悪しており、次の大統領選挙で元大統領のラゴス(彼はPPD)が勝てば、彼らは再度政府の中枢部に復帰できると考えています。この辺の動きがいやらしいわけですね。これが今週のチリの政治の動きのメインになります。与党内の中道DCと左翼側(社会党系と共産党)の争いは日常ですからね。 
もっとも野党側も似たようなもので、結局は左翼も右翼も見苦しいのは同じです。 
もう一人のアパブラサは現在アルゼンチンにいます。旅をしているのではなく政治亡命です。彼は左翼ゲリラのメンバーでチリ最右翼のUDI党の創設者を殺し、隣国に逃げたのですが、そこの左翼政権キヒネルグループは彼を匿って、チリ側の要求を拒否し受け渡しをしませんでした。クリスチーナKが失脚した現在、マクリ政権は彼をチリに戻すことを考えているようです。チリ与党グループの共産党はそれはアルゼンチンの国内問題で、チリ政府が口をはさむべきことではないと彼のチリ返還を認めない動きをしています。それはアルゼンチンの国内問題じゃないでしょと言いたいですね。
2) ピニェラの発言
市民調査の結果ですが、バチェレットを支持する人が少し増え、拒否する人が少し減少しました。教育問題が市民の支持を得たと言いうコメントが出されています。
さて次の大統領選挙に左右ともに大統領経験者が出る可能性が高まっています。右のピニェラと左のラゴスです。ピニェラは「この二人の対決はその辺の素人サッカー試合でなく、クラシックと呼ばれる伝統の一戦になるだろう」
ここまでは問題はなかったのですが、その後に「良かった。私は運が良かった。私の家族は犯罪を犯していない」と発言。問題になっています。
バチェレットは夏休み中、マスコミに出ませんでしたが、この月曜日から出勤します。懸案の労働法改正や妊娠中絶法案など大問題を抱えているし、息子夫婦の会社の問題も新しい疑惑が出てきて彼女を悩ませそうです。
3) マプチェ問題
アボット検察長官は内務大臣ブルゴスの要請を断り、マプチェ問題専任の検事を任命することを拒否しました。しかしマプチェにょる家屋・車両への放火問題は連日のように継続しています。