(政治)

1) 選挙
 先週の地方選挙は政府が何とか勝ちました、野党側も勝利宣言と全く不可思議な現象が起こりました。市長選挙は民生化して初めて野党側の獲得票数が政府側を上回りました。市会議員の方は与党側が多数決を抑えました。で、両方とも勝利宣言となったわけ。しかし市長と市会議員のどっちが重要かな?これって大統領選挙で負けても、国会議員の数で勝ったと言うような事かな?市長選挙の結果は与党側は38%、野党側は41%の得票を得ています。

 政府側はなんと57市長を失い、特にその中でもキリスト教民主党(DC)は落ち目が目立ち、(市長の数は前回の99から今回は58市長に激減)選挙後1週間もしないうちに同党党首アルベアルが引責辞任しました。

 与党側の動きとしては、現在与党連合に関与していない共産党をどのようにグループ化していくかについて検討開始したようです。 

しかしDCと共産党って犬猿の仲ですよ。どうして同じグループになって総選挙を戦えるのでしょう。DCは左翼化していく与党連合を離脱し、中道連合をRNと組むのが一番自然な動きです。で、チリの政界は極右のUDI, 中道連合のDCとRN、左翼連合が社会党共産党などとなるはず。で、次の大統領は中道のピニェラが勝つか、左翼側のラゴス前大統領がなるか、右翼から、またラビンかな?の3候補の対決になるわけです。

とにかく日曜日の特集で与党の大統領候補はいなくなったと書かれています。4人の候補のうち、DCのアルベアルは党首を辞任した時点で大統領候補も辞任、残りの3人(ラゴス前大統領、フレイ元大統領、インスルサ米州機構議長)はマイナスイメージが強すぎて与党内を結束する牽引力がないとするもの。つまり新しい候補を捜さなければ次の大統領選挙には勝てないとしています。

2) バチェレットの外遊

 中米コスタリカで開催されたイベロアメリカ会議に出席のため選挙混乱の後始末もせず外遊に出た彼女ですが、内政はもはや彼女を必要としないかのようで、その間に各党は独自の結論を出し、来年の大統領選挙に向け動き出しました。

 蛇足ですが、その会議にはいつもスペイン国王が出席していますが、もうスペインが宗主国として中南米を抑えた時代はとっくに終わったのだから、スペインも大統領の出席だけで国王は引退してはどうですか?会議の後の親睦会に参加するだけでもその是非を問われるべきだと思います。

これなんかアジア国際会議に日本から天皇が出席するのと同じですよ。中国、韓国の反発は目に見えるようです。
バチェレットは帰国後、選挙の後始末として、内閣改造を計画中らしい。でも内閣を入れ替えても何ら目新しいことはなく、市民の注目を浴びることは不可能ですね。冷たいようですが、彼女の使命は史上初の女性大統領と言うことだけで、政治経済の厳しい現状に対処する能力に欠けるのは明らか。すでに命運は尽きています。


3)イキケ病院での不始末
 エイズ検査で陽性反応が出ながらそれを患者に知らせなかったと言う不始末が続いたイキケ病院事件で、当初、自分は無罪と主張していた厚生大臣が辞任を要請し、バチェレットはこれを受理しました。私は大統領の信任を受けていると辞任を拒否していた大臣は、コスタリカにいるバチェレットと電話連絡したところ、世間がうるさいからこの際、辞めてくれないかと要請されたのでしょうね。

 先週、チリの風で書いたように、大臣が辞める、辞めないより大事なのは何故そんな不可解な現象が起こったのか、そして継続しているのか、それにどう対処しているのかを明らかにする必要がありますが、政治責任の方が優先され、一般市民が置き去りになっています。それでは国民は納得しません。