(政治)

1) 内政破綻
与党の「新多数」グループを形成する中心党の一つはキリスト教民主党DCですが、DCがそこから外れるようなコメントが党首のゴイッチから出ました。与党崩壊です。
バチェレットはそれをどう処理するのか前面に出てコメントすることなく、自然体です。やる気が全くなのでしょう。
中道左派政権として、民政化以来チリの政治を牛耳ってきた、いや担ってきたグループがとうとう終焉を迎えるわけです。バチェレットが第2次政権で共産党を入れ、中道のDCを疎外し始めたことから起きた結論ですが、以前から予想された結末ですね。
しかし与党側の大統領候補者が11月の選挙で勝てそうにないと言われているのに、それをどうすれば改善できるのか、検討も実行もしない与党側の政党にはあきれてしまいます。既存政党に期待はしていませんし、政治家そのものにもうんざりされています。また新しい星が出てくれば別ですが。
つまり大統領選挙は全く盛り上がっていません。与党側の一政党PROのマルコ・エンリケボリビアに入り、モラレス大統領と面談。自分が大統領になればボリビアの海問題を話し合いたいとしましたが、チリ外相から軽くあしらわれました。例の国境問題もチリとボリビアの関係者の面談がありましたが、大事な項目で合意に達したことは無いようです。
と書いた後、風が変わりました。土曜日のDC党大会で、ゴイッチ党首はDCが与党連合から離脱して独自の道を歩く方針を確認をするつもりだったのですが、問題が起きました。次の国会議員選挙に現職議員リンコンを党の公認候補から外そうとすると反対が起き、結論は党員の投票によることになりました。リンコンは離婚した奥さんに家庭内暴力をふるっていたと裁判になっています。ゴイッチ党首は同じ女性として暴力を振るう人間をDC党の議員候補と公認することは不可能としたわけです。しかし彼は「有罪になったわけではない(元の奥さんとネゴしたのかな)」と選挙区の住民を入れた応援団を作り強烈に党首に反抗。投票で彼が勝ちました。
党首は自分の主張が退けられたことから、風が逆風になった訳で「数日間ください、大統領候補を続けるかどうか考えます」潔く引退するかな? 
深読みすると全く人気のない彼女が大統領選挙の候補者として運動を続ける必要はない。従って何かの理由をつけて不出馬を宣言したと言うことも考えられる。
他の党(左翼のPPDなど)は「DCを切ったわけではないから彼女が候補者を辞退すれば、もう一度ギジェル応援で全党が合併しよう」と色目を使い始めました。
2) 移民問題
明らかに雰囲気が変わりました。昨年なんか、黒人が街にあふれるのを嫌がる雰囲気が蔓延していましたが、今ではすっかり馴染んでいます。
バチェレットはチリで生まれた子供もそうでない子供も、子供の権利は共通だとし、移民の子供の教育にも力を入れることにしています。
隣国から(ボリビアよりペルー経由が多い)不法にチリに入る移民者が後を絶ちません。先日、不法移民グループが全員逮捕された時、彼らを商売として扱う移民輸送者が裁判に掛かりその他は釈放されました。私の見方では、全員が不法にチリに入国していることを知っているので即時釈放はおかしいのではと思います。
ベネスエラから多くの移民が来ていますが、その多数は高等教育を受けた人とか。医師の資格を持っているが仕事が見つからないので雑貨店でレジをしている人が番組に出ていました。なんでもその国の最低賃金はチリの10分の1とか。
北朝鮮とベネスエラは住みにくい国のトップでしょうね。アフリカ・中近東にもそんな国はありそうですが。
1982年にはチリの移民の数は8万人、それが2015年には46万人に増えています。移民数の増え方はラテンアメリカのなかでチリがトップだとか。
移民局長が辞任しました。彼は自分は(もしくは自分たちは)法に則って移民を取り扱っているわけで、古い移民法の改正をバチェレットは行わず、それに基づかないで政府が好き勝手なことをするのは容認出来ないとしたらしい。
3) 軍隊の不正
警察から飛び火して、今度は陸軍です。二つ問題が見つかっています。まず年金者が身体障害があるとして上乗せ年金を受領していること、年金生活者を再雇用すること。軍事省は陸軍に問題の明白化について詳細を要求するとか。
4) ゴミ捨て場
大騒ぎになっています。政府は安易に第5州のチルチルを新たなごみ捨て場に選びました。現場のクレームに対し、政府の方針、安全・公正を認めないやの発言は認められないと強気に出ました。しかしチルチル町の町長は政府が決まりを遵守せず、ごみの排泄・鉱山の排出物、さらに養豚場など、他の場所で嫌がられるものをすべてチルチルに押し付けるのは容認できないと、大手のゴミ処理会社の現地の事務所・トイレ・食堂などを出入り禁止にしました。ごみ会社は、それを他の場所に替え、首都圏からのゴミトラックは通常通り運行しています。勿論この問題はますます大きくなっていくでしょうね。