(政治)

1) 大統領選挙
与党側の候補が一本化しました。UDIのマテイ労働大臣に絞られました。競争相手のRNは候補者を出せず、しかたなくマテイ援護を党として決定したもの。マテイは早速大臣職を辞任し、候補者の仕事に専念する由。
しかしバチェレット対マテイ。この二人の女性ほど対決することを運命付けられた人間は世界中でも少ないでしょうね。小説の世界よりずっと不思議です。私がこう書くと藤尾さんは大げさだからと言われそうですが、事実です。
二人の父親は空軍の幹部で、若いときアントファアガスタ基地で一緒に働いていますから、その子供たちは同じ学校に通っています。親友と言うほど出なくても二人は一緒に自転車でそこらを走り回ったらしい。
軍事政権後、バチェレットは反主流派として空軍内で孤立し、最後は拷問されて死亡、家族は欧州に亡命しました。主人を殺されて亡命したチリ人家族が楽しい生活を後れるはずがないでしょうね。それでもミチェル・バチェレットは立ち直って現在、英語・フランス語とドイツ語を流暢に話します。
さてバチェレットは前回、大統領職についたとき、殺された父親の恨みを個人問題として前面に出しませんでした。抑えていたのでしょうね。
しかし今回の大統領選ではこの問題もでるでしょう。加害者側?のマテイは喜んでは出さないでしょうが、バチェレット側がマテイを暴力的な軍事政権を継いでいると攻めて・・。今週、早速、軍事政権時の被害者連合がマテイの父を裁判にかける動きをしています。
現在の日本では左右の対立と言ってもピンと来ない人が多いでしょうが、日本も大学紛争とか70年安保の時代は左右が対立していました。チリはまだそのイメージが継続です。それがバチェレット対マテイになります。
2) 「政府は連月、大臣を失いガタガタ」と野党から批判されています。今週も候補者マテイ労働大臣が辞任しました。野党は現政権は次の大統領選挙に勝てないだけでなく、この政権が終わる来年3月まで持たないのではときつい嫌味。
3) さて第2次予備選挙もなく、一方的にUDI党のマテイ候補が統一候補に決定されたのは、作戦好きのRN党首ララインらしくないですね。アラマンがRNが挙党体制に入らないことから候補になることを拒否、他の候補者に何人か当たったもののマテイに勝てそうな人材がいなかったと言われますが、今までの動きを見て入れば、このまますっきり騒動が終わるとも思えず、また大地震が起こるかもしれませんね。
4) 11月の大統領選挙に国会議員選挙が付随されますが、候補者選びが深刻です。与党連合、野党連合内共にがっちり肩を組んで歩いているわけではないので、油断をすれば自党の候補者が降ろされてしまいます。
また落下傘部隊と言うのかな?その選挙区に今まで全く関係なかった議員候補が本部からノミネートされるとその地区の党員は歯軋りをするらしい。南部地区の党員が何故サンティアゴから送られてきた良く知らない候補者を応援する必要があるのかとテレビのニュースで憤っていました。私の住むサンティアゴ東部地区のUDI候補はほんのわずかな間にもう4人目です。UDIの好きな人でもこれは困惑でしょうね。最新候補は先のUDI大統領候補だったゴルボルン。彼は百貨店の社長をしているときに顧客から毎月経費と称して金を抜いたことから候補を引き摺り下ろされましたが、また国会議員候補になりました。彼も党もそうした経緯は気にしないのかな?