チリの風 その977 2022年1月31日ー2月6日

今週のサンティアゴは連日最高気温30度くらいでしたが、日曜日に35度まで上がりました。来週はもっと暑くなりそうとか???
もっとも朝晩はかなり涼しくなってなっています。
そして木の葉っぱの色が
少しづつ変わってきています。秋が近づいているのでしょうね。
今週の山歩きは少し長く歩きました。それは来週の登山教室の目的地が最長距離のアポキンドの滝なのでその下見を兼ねて歩いたからです。
最近、雨が全く降らないので、乾燥して、山の中を歩いているとあちこちに枯れた木が倒れているのを見ます。
何十年も生き続けてきたのに運がなかったのですね。
ラソン練習もちゃんと実施。今週は3日走りました。日曜日のマラソンは仲間と3人で楽しく走りました。
ゴールしてから、いつも練習しているパタゴニアの講演の一部を聞いてもらいました。

(政治)

1)ピニェラ動向
中銀総裁が次期の大蔵大臣になったので、ピニェラはその職に、現在その組織で幹部として 働いているロサンナ・コスタを新総裁に任命。彼女は女性として初めてその職に就きます。ピニェラは彼女に励ましの電話をかけたとか。
それから外務大臣に外務省高官のカロリーナ・バルディビアを任命しました。
その件ですが、最近、不法移民問題が大きな問題になっており、内務大臣が北部を訪問し、隣国ボリビアとその問題で話し合いの場を持つと発表しています。じゃ、外務大臣は何をしているの?となりますが、彼はバケーションでスペインにいました。野党側から、今はバケーションを楽しんでいる時ではないのではと疑問の声がでたわけです。それで帰国してきたアラマンは即時、辞任を発表しました。ついでに政界から足を洗うと発表。彼は一時は大統領候補になったほど人気があったのですが、最後は惨めでした。
もっとも辞めた本当の理由は他にあったのかもしれません。あと1か月でピニェラ政権は終わるわけですから、その間、ぼんやりしながら、仕事に励んでおりますと言うのが普通でしょうが・・・。
2)ボリッチ動向
各省の高級次官の名前が発表されました。全員で39名です。男性が20名、女性が19名でした。大臣の場合と違って新左翼系が多くなりました。他の党などから大臣を選んだので身内の新左翼からクレームが出たのでしょうね。新左翼共産党で21名。独立派が11名。社会党などの伝統の左翼はわずか4名でした。
以前、中道左翼の政権時、中心だったキリスト教民主党DCは全く新政権から離れ、独自のグループになりました。同党内でそれを認める勢力と以前の様に政権の中枢にいるべきだとするグループが争っています。つまりチリが民主化して以来今まで権力を分かち合っていた中道・左翼グループが分裂してしまったわけですね。同じように右翼側ももうバラバラです。私にとって馴染んできた政党・政治家が古くなってきたわけで、それがこのように新しい勢力に変わるのは良いことでしょうね。

3)新憲法委員会
 各項目で市民の声を聞く仕組みがあり、それが発表されると100万人を超える市民が登録しました。
そのほとんどが女性・若者とか。

市民は項目を決定する権利はありませんが、市民が全員反対すると委員会がそれを無視して賛成する気にはならないでしょうね。銅鉱山の国有化についてはあちこちから心配の声が上がっています。アジェンデがやったのと同じようなことを繰り返すのかと心配するわけです。
それらの手続きが全部終わって新憲法が整えば、それを最終的に市民が認めるか拒否するかの投票になるわけです。
もっとも新憲法委員会のバラバラの動きを心配する声はあちこちにあります。

(経済)

1)経済成長率
中銀の機関イマセックの発表で昨年12月は10.1%の上昇とか。昨年は1,2月はマイナスでしたが、その後毎月大きく伸びて、年間平均で12%まで上昇しました。2020年はその前年対比5.8%のマイナスでしたからそれを取り戻したわけですね。同じような傾向がラテンアメリカでも起きましたが、昨年の成長率の平均は6.8%ですから、チリはそのほとんど2倍の速さで成長したわけです。
さて今年はどうなるでしょう。イマセックの予想では3.5%です。
大蔵省はこの先の4年間の予想数字を発表しました。銅の平均価格は今年は4ドルを越えますが、その先は毎年下がる見込み。原油価格も同じ傾向。物価上昇率は今年が6.5%、その先は3%に落ち着きます。国庫収支は借金が少しづつ増えますが、GDPの40%くらいが継続とか。
特別年金で毎月大量の人に政府援助を出すのを金持ちへの増税を資金にするとしましたが、それが足りないと政府の支出になるわけです。しかし、この予想ではそれが原因で経済破綻とかにはならないようです。
で、この発表によるとボリッチ政権は特に大きな危険は持っていないと想定されています。当たるかな?
2)銅価格と為替
1ポンド4.48ドルと先週よりずっと上がりました。チリにとってありがたい状況です。為替は1ドル817ペソとペソ安になりました。銅の価格が上がるとペソ高になるのですが、今週は逆でした。

(一般)

1)コロナ問題
 木曜日一日で35197人の新規患者が出ました。5週間前の12月の木曜日は1700人でしたから、20倍以上の急成長です。金曜日はさらにひどく37468人。毎日記録を破ってます。今週は合計23.5万人の感染者でした。
感染率も20数%まで高くなっています。
PCR検査数が以前は1日5万人位だったのが、10万人、15万人と増えているのが患者数の急増に関係していますが、陽性率の増加も顕著です。陽性者の合計は14万人にもなっています。
しかし街の雰囲気として慌てていると言う感じはありません。
今年の夏のバケーションは日帰りでなく、ホテルに泊まる旅が昨年より23%も増えています。政府のコントロールがなくなった(少なくなった)からですね。
病院に入院する患者、人工呼吸が必要な重症者なども増加していますが、政府は今までの様に自宅待機を命令しません。首都圏は全く自由です。
1月31日の新聞に最新のオミクロンとその他の変異種との比較と言う表がでました。チリで一番多く患者が出たのはデルタですが、一番被害が大きかったのはガンマでした。
 そこでそのガンマとオミクロンの比較です。
約7000名でどちらもほぼ同じです。
さて入院した比率と死亡者数ですが、ガンマはそれぞれ922名(13.3%)352名(5.1%)
オミクロンは64名(0.9%)3名(0・04%)で、全くレベルが違いますね。
それで政府は経済活動の援助を考え、市民に通常の生活を認めているのでしょうね。

2)山火事
 山火事の季節になりましたが、パタゴニアフエゴ島で火事が起きています。1月25日に始まった火事ですが、最初、400ヘクタールの大火事と言われましたが、辺鄙なところにあるその島には消防が十分でなく、週末1,300ヘクタールまで増えました。いつ鎮火するのかな?
3)デモ
 イキケで反移民のデモが激しくなっていますが、その問題で内務大臣が現地を訪問し問題の解決を図りました。しかしイキケ市長が不法移民が毎日入ってきているのを知りながら手を打たなかったピニェラ政権の責任は大きいとクレームしています。
ニュースに出ましたが、何台ものバスに乗って移民がイキケ方面からサンティアゴに入ってきました。1台に何十人ですから合計では何百人以上にもなるでしょう。でもどうしてそんなバスが認められるのかな?バス会社の責任はどうなのか、その通過を認める検問所の能力は低すぎる・・・彼らがチリに正規に入っていないのなら、不法移民として処置を取る必要があるのですが、
内務大臣はこの件に関しボリビア政府と話し合うとしています。
ボリビアからチリに毎日入って来るのですが、ボリビアとしては出て行くのは問題ないとするのでしょうか。

予想された火曜日のサンティアゴの大規模デモは実施されませんでした。
しかし金曜日のデモは毎週の通り行われ、先週デモ隊に襲われたスナックの店がまた標的になり、店主は銃をもって抵抗しました。もう2年ほどもこの金曜日デモは続いていますが、ピニェラは何もできませんでした。
4)マプチェ問題
ショックでした、覆面をした男がトラックを襲うのが全部撮影されテレビのニュースに流れました。
その日、盗んだ車に乗ったその犯人は、車を止めると銃を持って外に出て,対面を走ってくるトラックを止めます。運転手は運転席から降りると逃げようとしますが、追いかける犯人ともつれて転倒しました。
殺されなかったのは幸い。同じ日に重機に何台も火がつけられました。犯人グループは自由に走り回って犯罪行為を実施しているみたいです。派遣されている軍隊は何もできないのかな?
何件もの殺人事件が起きていますが、犯人は捕まりません。犯人グループは地域をよく知っているので、どの地点で攻めて、それからどこへ逃げるかちゃんとわかって実行しているのでしょうね。しかし軍隊・警察の能力が問題です。

(スポーツ)

1)冬季オリンピック
 オリンピックが始まりましたが、チリでは話題になっていません。
2)サッカー
南米予選でチリは敵地でボリビアと対戦し3対2で勝利を収めました。引き分けすると私は思っていましたから意外でした。でも試合を見ていて、やばいと思ったことは度々あり、引き分けか敗戦をする可能性が高かったのは事実です。勝てたのは運があったのですね。これで残りの対ブラジル・ウルグアイ戦に勝てば、本大会に出られそうです。私はそんな可能性は無いといつもの通り思いますが・・・
今週から国内リーグ戦が始まりました。人気の3チームの成績はコロコロ、チリ大学、 カトリカの全部が勝利でした。


以上