(政治)

1) バチェレットの動向
選挙が終わってすぐに彼女はピニェラにお祝いの電話をかけ翌日、月曜日ですが、朝9時にピニェラの家を訪問して朝食を一緒にしました。単なる挨拶ではありません。2時間も話し込んでいますから。
それから翌日、村が半壊した泥流の大惨事が起こった南部の村チャイテンを訪問し被災者に慰めの言葉を掛けました。もっとも彼女にクレームをした被災者もいるらしい。
その災害で死者は15名、まだ数名の行方不明者もいて懸命の捜索作業が続いています。
300家族のその村の半数が崩壊しているので、政府は全ての家族を近くの地区に移動させる計画をしているとか。もっともそのアイデアに対し、安全面から賛成する家庭と生まれ育った故郷を捨てたくない家族の二つに分かれるらしい。 
さて彼女の息子が裁判になっています。もう3年もたったのだからいい加減に無罪若しくは裁判事項から外してほしいと言う要請を彼が出しましたが裁判所に拒否され、裁判継続です。彼の嫁さんも有罪になりそうです。
2) ピニェラの動き
選挙の翌日のバチェレットのピニェラ訪問は隣国アルゼンチンの国会で話題になりました。何党か知りませんが、議員が国会で「チリでは選挙の後、競争相手と正常な話し合いができる。我が国では一生憎み合って生きていく。これはチリの方がレベルが上なのでは」
その後、ピニェラ邸への現職大臣行脚が続きました。内務・大蔵・外務…と軒並み。まるで新大統領へひざまずくようでした。さすがにラゴス元大統領が表敬訪問した時は共産党はいかがなものかとそれを批判しました。
大蔵大臣は懸案事項は現政権では可決しないので次期政権で解決する必要があるとコメント。例えば新年金制度ですが、バチェレットは面目ありませんね。
3) 与党側政党の動き
3月までは与党、その後は野党になりますが、選挙に負けたことについて反省の様子はほとんどなし。もっとも新左翼は敗戦の理由は自分たちではなく旧左翼だとし、来年の国会で旧左翼とどう提携するか(全面提携か、事務手続きだけか)検討中とか。
私の眼には責任の根本はバチェレットでしょうね。彼女が公約を実行しなかったので同系統の候補者がいろいろ公約をしても説得力がなかったのでしょう。
それと共に主要な敗因は候補者ギジェルの人気の無さです。元ニュースキャスターでカメラの前で話をするのは慣れているが政治家として群衆をひきつける魅力はありません。彼を選んだ各政党のエラーでしょうね。
与党連合の中心キリスト教民主党DCは民主化の後の第1,2次大統領を出していますが、このまま与党連合組織に残るか、離脱するのかはっきりしません。DCの中心メンバーのエイルウィンが、彼女は教育大臣を経験していますが、自分は共産党と同じメンバーの組織にいるよりピニェラのグループの方が落ち着けると発言して揉めています。
こうしてチリで政権が左翼から右翼に移行しました。少し前の南米は左翼主義が横行していましたが、風が変わり各国で右翼化が進んでいます。ブラジル・アルゼンチンがそうです。南米10か国でチリを含め右翼が6、左翼系が4か国です。それはベネスエラ、エクアドルボリビアそしてウルグアイ
アルゼンチンはばら撒き政策をしていたフェルナンダKの年金を正常化しようとするマクリ現大統領が民衆と戦う緊迫事態ですが、バチェレット政権はそれほどひどくはありませんでした。
チリの動きを見ていると、良い面も悪い面もちゃんと理解できます。政治だけでなく経済・一般もですが、日本と違うチリの動き・考え方がチリの風の読者にうまく伝わっているかな?      
世界幸福度ランキングで156か国中チリは南米トップの20位、日本は51位でしたが、金持ちが幸せではないと言うことでしょうか。