チリの風 その976 2022年1月24日―30日

最高気温が30度ほどの日が続きました。まだまだ夏ですね。もっとも毎日、風が吹き、そして湿度が低いので木陰に入ると気持ちの良いこと最高です。
土曜日のサッカー教室は10数人の参加者で楽しく練習。小さな子供のプレーが上達しているのを見るのが楽しみです。
日曜日は仲間と3人でマラソン練習。彼らは10キロ走りますが、私が同じ距離を走ると彼らに待ってもらう時間が長くなるのではショートカットして二人より早くゴールに着きます。30歳下の二人に勝てるわけはありません。
週日に一人で走る時はちゃんと10キロ走っています。
今週は山歩きは無かったですが、丘上りはしました。
パタゴニアの話の練習を毎日しています。
こうして何かすることがあるのはうれしいです。

用事があって入った倉庫で見つけた古い文芸春秋を読みました。「クーデター前夜のチリから帰って」大学教授の文章ですが、よく書かれています。もう何度も読んでいますが、チリのその時の情況が目に浮かびます。

(政治)

1)ピニェラ動向
 コロンビアのカルタヘナで行われたプロスール会議に出席。南米のほとんど全部の国が参加する組織で国の安全・発展などを協力するための組織です。彼はこの組織の大事さを認識し、お互いに協力して南米が発展していきたいとしました。
国民は犯罪の増加、不法移民の継続、麻薬組織の巨大化を3大問題点と考えていますが、ピニェラは最後まで何もできませんでしたね。
2)ボリッチ動向
 3月から大統領としてどの家に住むのか、内縁の女性はファーストレディとして任命されるのかが話題になっています。
各大臣は発表されましたが、その下の各省の次官が今週の火曜日に発表される予定。もちろんそれはまた話題・問題を呼ぶでしょう。
さてその大臣に任命された中で、約3分の1の7名が海外生活を経験しています。軍事政権の時に欧州へ逃げ出した家族の人が中心ですが、キューバに亡命したのも2名います。世界の動き・考え方を身をもって知ったわけですね。元大統領のバチェレットもその一人ですが。ところで世論調査でボリッチの内閣を評価するとしたのは 50.1%でした。意外と人気がないですね。
3)新憲法委員会
 2月の大きな動きがあるらしい。大統領の任期を4年から5年にするとか、再選を認めるとか、いろんな提案に決着がつくわけです。しかしボリッチの側近がこの委員会で作った新憲法は国民に拒否されるかもしれないと弱気の発言。どうなるかな?
4)政治不正
OECD加盟の27か国の中で政界の不正が調査され、チリはアメリカ大陸で不正が少ない国の3位になったらしい。1位はカナダ、2位はウルグアイ、そしてチリが3位。今までだったら素直に喜んだけど、最近のニュースを見ているとチリがそんな上位にいると私には思えません。

(経済)

1)銅価格と為替
1ポンド4.39ドル。1ドルは799ペソでした。銅の価格は1月の中頃、4.5まで上がりましたが、最後は1月初旬の数字とほとんど同じでした。高値安定が素晴らしい。為替も1ドル800ペソ周辺が続いています。

2)失業率
 12月の失業率は首都圏はかなり下がり8%台、コロナ以降で失業した労働者に、なんと50万人、仕事が回って来たとか。このまま続くかな、コロナの再発でまた失業者が増えたりして。

(一般)

1)コロナ問題
 毎日・毎週のように数字が悪くなっていきます。今日は新規患者が28430人・陽性患者合計は11万人でした。
 患者数が増える理由は2つあって、PCR検査数が増えることと、陽性率が上がることです。今のチリはその両方の理由で患者数が増えています。以前、一日当たりの検査数が5万人ほどだったのが今では10万人。そして陽性率も今日は19.8%と以前の2倍3倍になっています。隣の州のビーニャに遊びに行った観光客が、海岸に設けられた臨時PCR検査室の前に長蛇の列。もしかしてと思う人が並ぶのでしょうね。
このままいくと昨年、一昨年の様にサンティアゴは自宅待機令が出そうです。止めてほしいですが、どうなるかな?
2)デモ
以前の様にこの金曜日、イタリア広場でデモがあり、警察と衝突しました。また近くのレストランを襲いオーナーが怪我をしています。政治デモと言うより暴行ファンクラブみたいですね。
来週の火曜日に大規模デモが予定されているとか。現行の年金システムを破壊する運動とか。ボリッチはそれを支援するのかな、ピニェラみたいに反対行動をするのかな?大混乱が心配されています。
また北部のイキケで4千人が参加したデモがありました。今週、麻薬販売をしていた4人組を警官が捕えようとしたところ、彼らは警官に殴りかかり、一人の警官は顔を殴られ負傷。それがちゃんとビデオに収められてニュースに出ました。その逮捕された4人組はべネスエラ人でした。今日のデモでは、不法に入国する外人移民を認めない、政府は街の安全を守れと訴えました。イキケ市長はどうしてチリ国は国境を守れないのかとクレーム。毎日、不法に入国している移民の入る所は分かっているのですから、そこを見張ればよいだけですが。
南部のマプチェ問題は継続で、警官が休みの日に家族と車で移動しているとき、覆面グループに襲われ負傷しました。その地区の住民は政府は何をしているのかと怒っています。
それから3年前の社会騒乱の時に警官の発砲した銃弾に当たったとか、いろんな理由で負傷した人がいますが、それらの被害者に政府は年金を出すことを決定しました。約22万ペソです。人権委員会はその提案を評価しながらも額が少ないとクレームしています。
例の年金援助案は来月から実施になりました。250万人がそれを受領できるそうですが、素晴らしいニュースですね。
3)ホームレスと不法占拠
現在1万6600人がチリのホームレスの数と言われます。主な地区はサンティアゴとイキケです。98%はチリ人ですから、2%は移民と言うことになります。仕事を失い家賃が払えなくなって、公園や道路のわきにテントを張って寝泊まりしているわけです。元の生活に戻れるか、そのまま長い間、住み着くのか誰にも分かりませんね。
同じように、不動産屋が土地を購入して家屋の建設を始めようとするとそこに不法占拠している家を撤去させるため裁判沙汰になります、つまりいつ工事が始められるか分かりません。そういう例が多くあるとか。

(スポーツ)

1)サッカー
 対アルゼンチン戦は1対2で負けました。私は負けると予想していたので驚きませんが、世界大会に行ける可能性は無いですね。まだ残っている3戦を全勝すると行ける可能性はあると言う人がいますが、いつまで同じことを言うのかな?
来週、もう1試合、ラ・パスでボリビアと戦いますが、勝つ可能性は少ないでしょうね。
来週からリーグ戦が始まります。
2)ホッケー
 なんと男女とも地区予選を勝ち抜き、次の世界選手権に出場が決まりました。
チリのスポーツはサッカー以外あまり知られていませんが、ほかにも世界レベルのスポーツがあるのですね。

以上