チリの風 その912 2020年11月2日―8日

火曜日と土曜日に、最高気温が32度まで上がったサンティアゴです。9 月、10月と2か月間ほとんど雨は降っていませんから乾ききっていま す。 今週も山岳公園の山歩き、マラソン練習をいつものように楽しみました。 荷物を整理していると古い雑誌が出てきました。 その中に軍事革命前のチリ の様子が書かれている文章がありました。アジェンデの失敗がうまく書かれ ています。
さて私(筆者)はチリの会社で働いていた時、部下にその日( 1973年9月11 日)のことを詳しく聞きました。バスの運行が止まったのでしかたなく歩い て家に帰ると数時間もかかった人もいました。それらを使って小説を書くつ もりでした。考えたストーリーは、日本から来た無銭旅行者が、その日モネ ダ宮殿の前に行くと逮捕され、国立競技場に送りこまれました。3日目に左 翼活動と関係がないことが分かったと釈放され、街に戻ります。どうして生き延びるか苦労していたら、 チリ人の女性と知り合い、苦しい中の毎日でも甘い生活をしばらく楽しみました。彼女と別れて旅に戻り、日本につきました。時間がたってから現地からの情報で、その女性がチリの大統領になったとか。

(政治)

1)ピニェラ動向 先週報告したように。9月の経済指数が良くなってきたことから、彼は 喜んで民間会社 を応援のため訪問しました そしてチリでコロナワクチンを開発している4グループ( チリ大学、カ トリカ大学など)を激励し安全で有効なワクチンが完成する のを待っているとコメント。今週は中国製のワクチンが到着しテス トが 始まりました。 さらにチリが主張する南極領土の維持のために何をすればよいか委員会 を開き協議しました。
そして新内務大臣を任命しました。 ペレス前大臣は国会に呼ばれ下院で 尋問された結果、彼の仕事は憲法違反となり大臣職が宙づり になりました。最終決定は上下院の両方での確認が必要ですが、一つ決 まった段階で彼は辞任しました。ピニェラと面談せず、電話 で辞めますといったらしい。彼は自分の問題で政府に迷惑をかけたくな かったと言っています。そのためピニェラは次の内務大臣を 選ぶことを余儀なくされました。 同じUDI党員で首都圏の中央駅区のデルガード区長を選びました 。他の 党から選ぶとまたUDI党首が噛みついてきますからね。しかし 短期間で内務大臣という重職をする人間を見つけ説得し、任命するので すからピニェラも大したものです。新大臣もがんばっています。
ところで前内務大臣は新大臣の就任式に出席していません。 国会で大臣罷免の投票をする前に、先週、政府と同調しないと発表した 与党の一つエボポリ党はこの問題ではペレス大臣を支援する と発表しましたが、野党側の結束は固く多数決で与党は負けました。

最後に今日の午後に訪チしてきたコロンビアのドッケ大統領と第5州の別 荘で面談しました。コロナ問題などを話し合ったとか。 新聞の社説に先の新憲法制定が投票で認められたが、それが野党側の勝 利に結びつくわけではないとする論文が載りました。右と左 の対決ではなかったとするわけですね。
警察問題 幹部の入れ替えが決定しました。人権問題から非難・批判を受けている 警察組織の改革として組織のトップクラス数名を 変えまし た。ただし警察軍の長官をそのまま据え置きです。どこまで新しい風が 吹くでしょう。
2)国会 バイデンが当選したアメリカの大統領選挙の開票作業は信じられな いほ どひどい状況でしたが、政治の世界はどこも同じだと思わさ れます。ピニェラは即時バイデンに祝福のメールを送り民主主義を大事 にしようとしました。そのバイデンはバチェレットの大統領 就任式に出席しているとか。記憶力の悪い私は覚えていませんが。 それと関係はないですが。チリの国会で議員数の縮小案が否決されまし た。ピニェラのアイデアで私にすれば最も優れたもののひと つでしたが、議員にとって賛成案に投票して議員 数を縮小することはな いですね。不愉快な議員が多いです。 また話題になっているのは厚生年金の第2回目の払い戻しです。 こうし て将来の年金の基礎を縮小していけば、その人たちは年金生 活に入って泣くのは当然。議員のレベルの低さには驚かされます。 来週 最終決定がされるらしい。、

(経済)

1)物価上昇率IPC 10月のIPCは予想より高い0.7%でした。これで今年になってからは 2.8%、過去12か月では3.3%の上昇です。数字が上がっているの はこの前の厚生年金10%払い戻しが影響しているといわれます。 10月 の新車販売は好調だったとか。一部の階層は正常化しているわけですね。
2)銅価格と為替 チリの銅の生産量は世界の3分の1を占め1位です。次いでペルー、中 国でした。
今週の銅価格は3.14ドルと急上昇しました。 そのため1ドルは753ペソと2019年12月以来のペソ高になりました。強い ペソが続くかな?
3)ラタム航空 この第3四半期は5億7千万ドルの赤字だったとか。経費は以前の半分ほど になっているのに収入がないわけですね。航空会社が飛行機 を飛ばせなければ、赤字になるのは当然です。 ここで書きたいのは収 入が前年対比半分ほどというのは数字の上では正しいけれ ど、1月から3月までは前年より高い数字で4月からほとんどゼロになって いることです。最近少しづつ良くなっていますが。10月の 比較では、昨年ブエノスアイレス行きの便は数社の合計で週に84便でし たが、今は2便。国際線は63ルートがあったのに今年は14だ け。23の航空会社がサンティアゴ空港を使っていたのが今は10だけ 。世 界中の航空産業が瀕死状態になっているわけですね。
4)材木業 業者が泣いているとか。理由は需要は増えているのに供給がなく正常に 営業ができないとか。南ではマプチェ問題が日常になってい ますから、育林はできても伐採・製材・搬送が困難です。こんな問題、 チリだけかな?

(一般)

1)コロナ問題 毎日ニュースになりますが、一時の狂乱はなくなりました。 世界で一番 ひどい状態はアメリカですが、大統領選挙の運動で大勢の人 がマスクもしないで距離もあけずに群衆デモをしていれば新規患者 の数 が減少しないのは当然ですね。どんどん死亡者が増えても

トランプ政権はびくともしていませんね。 チリの場合、一番患者が多いのは南部の都市のテムコ、プエルト・モン それにプンタ・アレナスです。
2)反政府運動 どういうわけか、落ち着いてきました。いつもの金曜日のイタリア広場 のデモはテレビのニュースを見てい るとデモ隊より警官の数 の方が多いように見えました。ところで昨年の暴動騒ぎでプエルトモン の教会に放火した男が7年の刑を言い渡されました。 首都圏の地下鉄駅の放火犯などもどんどん刑が確定すれば暴動は減少す ると思います。

(スポーツ)

1)サッカー 国内リーグ戦は前半シリーズが終わましたが、先週同点首位だったカト リカが勝利を収めたので単独首位が決定。(まだ遅れている 試合もありますが大勢には影響なし)
ワールドカップの南米予選は来週から始まりますが、 その参加選手が発 表されました。30代後半のベテラン選手が多いのが目立ち ます。13日は対ペルー、17日対べネスエラです。これに2連勝するとトッ プクラスに入れるのですが・・・ チーム別の南米大会コパ・スダメリカはチリから参加のカトリカ、 ウニ オン・カレラ、コキンボが勝ち進んでベスト16に入って
います。

以上