チリの風  その911  2020年10月26日ー11月1日

いよいよ11月。年末も近いですね。昨年末は暴動騒ぎでひどい混乱でしたが、今年の大みそかはコロナで静かかな?
最高気温と最低気温の差が20度の日が多いサンティアゴです。例えば28度と8度です。最低気温が5度の日もあってその夜はかなり寒かったです。
今週の山歩きは久しぶりにプロビンシア山の第1展望台。通常ルートでなく冒険コースを歩きました。距離は短くなるけど斜面が急なのでスリルがあります。そういえば今年の1月にこの山で一番長いコースのアポキンドの滝へ日本人学校の登山教室で歩いたのを思い出します。その時は7時間歩きましたが、またいつか行けるかな?
日曜日はいつものように仲間とマラソン練習、楽しく走りました。
道を歩いていると買い物客が長い列をしているところがあり、見るとハロウィンの仮装の服やお面を売る店でした。政府はそのお祭りをコロナに感染しないようにしながら楽しんでほしいとしています。そうそうスーパーマーケットでクリスマスツリーが売り出されていました。
久しぶりに、友人を招いて夕食会。コロナ問題で、こんな集まりは長い間実施できませんでした。正常化の一歩ですね。

(政治)

1)ピニェラ動向
  新憲法に改正されることが決まってからピニェラはテレビ演説で、これは市民、民主主義の勝利だと宣言しました。なんだか、彼がそのアイデアを推していたみたいですね。右対左の勝負なら、政府は憲法改正拒否となるはずですが。彼はこの結果を民主主義の勝利としたわけで、当然与党側のUDI党は反発しますね。そのUDI党首は私たちは反対に投票した20%の代表としてこれからも戦っていくとしました。
  新聞の社説に与党側はこの投票に一致した意見がなく、各自がばらばらに行動したが、将来のためにはそれを避けて、意見の一致を探ることが必要だろうとされています。当然ですね。それが今日、なんと与党の1党エボポリが現政権とは距離を開けると爆弾宣言をしました。詳しいことはわかりませんが、大事件になるでしょうね。もっとも混乱は野党の左翼も同じですが。
  世界にこの投票が報道されましたが、それに関して専門家がチリは民主主義が進んでいるとほめるコメントもありました。もっとも現法憲法は左翼政権時に改正されたとは報道されず、軍事政権下のものとなっています。さてUDI党の党員の内務大臣が国会で憲法違反として調べられますが、それが通ると大臣職を外されるかもしれません。野党は同大臣はトラック業界のストの時と、警官の人権問題で適切な手を打ってこなかったと訴えています。もっとも彼の弁護側は警察の問題は内務大臣ではなく国防大臣と話をすべきと軽くいなしていますが。ピニェラは日曜日、カメラの前で、自分の人生で今年ほど難しい・厳しい年はないとしました。もっともその後にかといってじっとしているつもりはない。政権最後の日まで自分のベストを尽くすと宣言。どうなるでしょう。
2)新憲法
  新憲法が78%の投票で認められました。圧倒的な勝利でした。投票者数は752万人と過去最大で市民の熱意が感じられますね。また同時に投票された新憲法を作成する人に関しては2種類の選択があって選挙で選ばれた一般人がそれを作成する、もうひとつの案はその作成準備者の半数を国会議員にするというものでしたが、79%の投票は一般人だけにすると国会議員を切り捨てました。現行議員は国民に信用されていませんね。来年4月にこの憲法作成委員会のメンバーが選ばれるとか。1,2年で作成してそれを受諾するかどうかもう一度国民に投票させることになるようです。

3)学校教育
  多くの市町村が文部省に学校での授業再開を認めるよう申請中です。私立では261校が最近オープンされ、674校が授業の再開の計画を進めている由ところで少年院を運営していたセナミが解散し、新組織が設立されます。非行少年が入れられた少年院で暴行騒ぎなどが続き死亡者も出ていますが、その組織を改革するのではなく新組織にするわけですね。

(経済)

1)失業率
  7ー9月の失業率は12.3%と前月より若干改善。毎月少しづ良くなっているのが数字で出ていますね。確かに今月は17万人が新たに仕事を手にしたとか。政府は光熱費などの未払を来年4月まで認め、その間は電気・水道などの供給をストップしないとか。失業などで収入がなくなった人の援護になるわけですね。貧困層への援助金は数か月払われましたが、今月が最後になるとか。それから最低賃金は国会で32万500ペソを6千ペソアップするとなったようです。2%アップですね。
2)産業指数
  今年3月から急激な下落をしたチリ経済ですが、ここに来て正常化へ戻ってきています。小売業は先月は9.5%の上昇、工業指数は5.3%の上昇を示し、チリが正常化しつつあるということを確認しています。過去12か月の総合指数も今まで10%以上の下落でしたが、9月は4.3%のマイナスでこのままいくと年内に正常化ができそうです。
3)銅価格と為替
  銅の価格はポンド当たり3.03ドルと先週より少し下がりましたが、3ドルを超えているので安心。コデルコ銅公社は前年対比1-9月で生産量が増え、コストが下がり、銅価格が上がったので利益が上昇し国庫に納める額がほぼ2倍になりました。大蔵省はニコニコですね。為替は1ドル770ペソと少し前には790ペソでしたからかなりペソ高になっています。

(一般)

1)コロナ問題
  ワクチンが開始されました。最初にそのワクチンを注射した人は今までずっとワクチンの最初の対応者になると言ってきたがそれが現実になったとコメント。どうすればテスト・ワクチンをしてもらえるか連絡先などが報道されています。新規感染者が1000名を切った日がありましたが、それは5月以来初めてです。もっとも翌日は元に戻りましたが。
2)マプチェ
 アラウカニア州(第9州)で9台の重機・トラックに火がつけられ全焼。10数名の覆面グループの犯罪です。その場にここは自分たちの領土だ、お前たちは出て行けという趣旨のパンフレットが置かれてあったとか。またその州で警備の警官が襲われ、銃弾を受け、病院に運ばれましたが、死亡。彼は防弾チョッキを付けていなかったようですが、警察のミスという声もあります。内務大臣は即時に同州の首都テムコに飛び様子を見ました。状況は厳しくなる一方ですね。
先週、マゼランが欧州人として初めてチリの領土に来た500年記念日でしたが、その100年前の記念行事の時のニュースがでました。それによると、その日、チリ政府はスペインの高官を招待し、両者で新天地開拓400年記念の祝福をしました。先住民が殺されていったというのは全く問題になっていないわけですね。

3)反政府運動
  政府はこれまでの暴動で逮捕されたデモの参加者に政府の特別な恩赦を認めないことを明白にしました。この金曜日もいつものようにイタリア広場でデモ隊が集まりましたが、人数は少なく盛り上がりはなかったようです。先週の日曜日、憲法改正が決まった後、この広場に大勢の市民が集まり喜びの声を上げましたがまるでサッカーでチリ代表が勝った時のお祝いのようでした。夜遅くまで騒ぎは続きましたが、警察は夜間外出禁止令を発令し逮捕することはしなかったようです。
 4)移民
  べネスエラ人の入境が続いています。毎日数十人がペルー国境やボリビア国境から不法に入境。イキケの奥の村は700人の人口ですが、そこに450人のべネスエラ人の不法移民がテントを張って住んでいます。村長はこれでコロナが蔓延すればどうすればよいのかと困惑。しかし食事も提供しているようです。どうなるのでしょうか。

(スポーツ)

1)サッカー
 国内リーグ戦は最終日が近いですが、人気の2チーム、コロコロとチリ大学は両方とも敗戦。コロコロは下から2番目で2部リーグに陥落の可能性があります。チリ大学は真ん中辺ですが、監督が交代させられました。
 先週の1位が敗戦、2位が引き分けたので、カトリカは急に先週の3位から勝ち点で同点首位に上昇。2,3位のチームはもう残り試合はないですからカトリカがあと2試合のうち、一つでも勝つか引き分ければ優勝です。


以上