チリの風  その918  2020年12月14日-20日

普通ならクリスマス一色と言う時期ですが、今年はそうでもありません。

何もしないで生きていけるなんて素晴らしいという意見と、何もすることがないなんて生きる値打ちがないと言う意見があるかもしれませんが、今の私は仕事もボランティア活動もなくなりボケっとしています。通訳やガイドの仕事、そして子供とサッカー教室、登山教室を楽しんでいたのが懐かしいです。
マンションの改造工事をしているので、騒音とほこりに悩まされ、家具が全部ベランダに置かれてまるで倉庫の中で生活しているようです。それでも仕事をしていると考えて辛抱します。

丘に登って下の街を見ると、東部の空は青空ですが、中央部、西部はスモッグで覆われてています。コロナ問題で経済活動が止まった時は大気汚染も少なくなったのですが、皮肉な事実。この先どうなるでしょう。
今週も金曜日を除いて毎日30度の暑い日が続きました。

一人でマラソン練習を続けています。

(政治)

1)ピニェラ動向
  15日はチリと中国が友好条約を結んだ50周年記念日でした。ピニェラは習近平と電話で会話した由。その時、習近平は彼に中国訪問をするよう誘ったらしい。
  チリの外務大臣は中国漁船がまだチリ領海で不法に操業を続けているとコメントしていますが、ピニェラは習にクレームはしなかったのかな?

  それから全テレビ局を通じて、コロナワクチンが2万人分到着してくる。それを無料で希望者に提供するとしました。来週に到着しますが、まず最初は病院関係者にワクチンをしてもらうとか。チリの検査機関はそのファイザー社のワクチンを認定したので、年内のワクチン注射は確認されました。そのほか中国製のワクチンもチリに入るらしい。
  今、チリの大企業は大半が自宅勤務をしていますが、ワクチンの効率が確認され始めたら、来年6月ころから事務所に戻って働くことになりそうです。誰もそれを保証できませんが、会社の中でそう言う噂が出ていると聞きました。

  政府は今までコロナ問題による貧民層援護の寄付を数回実施していますが、そのクリスマス版として330万家族(約800万人)に一人当たり5.5万ペソを寄付するとしました。頑張ってこの企画を来年も継続すると言われています。

  内閣改造
  防衛大臣のデルボルデスが辞任しました。彼は前国民改革党RN党首です。次の大統領選挙に出るためと言われます。このためプロフリカ鉱山大臣をその後任にし、ホベットエネルギー大臣に鉱山大臣を兼任させることにしました。ホベットは発電に風力・太陽などを使用する緑の政策を進めそれが認められたため、2つの省の大臣を兼任することになったわけです。 大統領候補として右翼の方はUDIのラビンとマテイが先行していますが、デルボルデスもすぐに追いつくでしょう。国立銀行のシーシェル総裁も辞任しました。彼も大統領職を狙っているのですね。

  それからピニェラがマスクをつけないで海岸を散歩していたことが問題になっていますが、規定で250万ペソの罰金を払うことになりました。自分で訴えて罰金を払って喜んでいるようです。これは日本でも報道されたようですね。先週、世論調査で彼を評価するという人が7%と大きく下がったことを書きましたが、新聞の嫌がらせで「俺は7を取った」と喜ぶピニェラの漫画が出ました。これはチリの学校で学生を評価するのに7段階に分け、7が最高です。(日本では5ですね)

  先日、最右翼UDI党の党首選挙がありましたが、現職党首が秘密話をしました。新聞の日曜日の特集に出た彼女は「ピニェラ政権は崩壊の危機にあった。誰も知らなかったようだが、それは昨年11月の新憲法受け入れの時で・・・」とコメント。その時、UDIがどうして新憲法是非の国民投票を受け入れることにしたのかは言っていませんが、ピニェラと秘密の取引をしたのでしょうね。何それ?
 2)国会
  国会で議論されている暴動犯の特赦について、もし法案が成立すれば大統領としてそれを拒否するとピニェラは発表しました。上院議会の議長は大統領の議会に関する脅しを喜んで受けるつもりはないとキッパリ拒否しました。昨年からの放火・略奪・破壊犯として約800人が刑務所に入っています。まだ有罪とは決まっていないのですが、彼らの裁判は進んでいません。野党側としては、反政府運動家として、彼らを釈放するのを狙っているわけですね。もっとも野党の中でも何人かはこの法案に反対している議員もいます。
  それから今週、デモ隊が横断幕を掲げましたが、それには政治犯の仲間を釈放せよと書かれていました。地下鉄の駅を壊した犯人は政治犯なのですかね。不思議なことは、その多くの暴力犯が刑務所に入っていても、同じような犯罪は続いていますが、地下鉄の駅への破壊・放火事件は皆無です???どうしてかな?自分にとっても不便になるのを身に染みたのかな?
  さていつものように今週も金曜日に暴力デモがあり、モネダ宮殿を囲もうという呼びかけで、その近くをはじめ各所でデモ隊が警察と衝突。最近で一番、目立った騒動になりました。120名が逮捕されました。火炎瓶を投げて捕まった中に14と15歳の少年がいました。強盗などでも青少年の犯罪が増えています。

  そのほかに安楽死を認める法案が論議されています。生きていけないと考える人の人生は難しいですね。

  それから厚生年金の2回目の引き出しが進んでいますが、議員の中で3回目を進めようとする声が出ています。もういやはやと言うところ。
  

(経済)

 1)チリの赤字
  上記のように国債の発行が毎月・毎年、赤字を膨らませています。その総額はGDPの32%になっています。しかし新聞の記事に、「それはまだかわいい方だ、G7の国の赤字率は3位がアメリカでGDPの131%、2位はイタリアで161%、1位は日本で266%」と書かれていました。
 2)銅価格と為替
   銅価格が上昇を続けています。ポンド当たり3.61ドルと2012年2月以来の高い数字。そのため為替もペソ高が継続。1ドル721ペソまで来ました。これは昨年10月の社会不安が起こる前のペソに戻ったわけです。
   今年はドル安の年と言われますが、ユーロ、円、元がドルに対して高くなっています。それは経常黒字の地区でドルに対して強くなったのですが、チリの場合は銅の価格が影響しているのでしょうね。もっとも銅の価格が永遠に上昇するわけはなく、しばらくするとまた以前の状態に戻るのは間違いないと思いますが、どうでしょう。
  

(一般)

1)コロナ問題
  先週の週末は首都圏全部がレベル2になり、外出が禁止されましたが、警察に特別許可を申請したのは181万人、許可をなく外出して捕まったのは1262人でした。この日曜日は申請者は過去最高の160万人だったそうですが、私も今日、外出許可をもらって買い物に行きました。遠いスーパーマーケットを選び、遠回りして行きました。買い物をしているのか散歩をしているのかわかりませんね。
  
  金曜日に患者数が2404名と7月末以来の高い数字でした。
  先週、次の文章をチリの風に書きました。
  週末にかけてずっと数字をあげ、金曜日は新規患者が1807名と2か月ぶりの高い数字でした。さらに土曜日は2139人になったのでチリの第2波は確実と思われましたが、PCR検査数が過去最大の48054人だったとかで、検査数を増やせば患者数が増えるのは明白です。つまりもし検査数が4万人だったら患者数は1780人ほどだったわけで、それほどチリの状況が極端に代わっているわけではありません。

  今週の数字とその7月の数字を比較すると7月の時点は2万人ほどの検査数で、陽性率は10数%。現在は4万人以上で陽性率は5%ほど。つまり7月と同じくらいの2万人だけ検査すると、患者数は半減します。もしこの作戦をとれば、ピニェラは私たちの努力が実り、患者数は半減しましたと言えるわけです。なぜ患者数を増やす作戦(検査数を上げること)をとるのか、よくわかりませんが。製薬会社が売り上げを増やすため、政府の後ろから押しているのかな?まさかね。
  
  そのあと3日連続で新規患者数は2000名を超えています。昨日の土曜日は2191人でしたが、なんとPCR検査数は50285名。どうですか、私の理論では患者数の増加は検査数の増加によるものです。噂では首都圏は再度、外出禁止令レベル1に戻ると言われますが、厚生大臣はそれを否定し、もしその様なケースになれば全首都圏でなく患者数の多い区が選定されるだろうと。それは少し前に実施されていた方法ですね。なんでも明日の月曜日に発表されるとか??
  10月以来、久しぶりに患者総数が1万人を超え、土曜日に13000人になりました。

2)皆既日食
  南部での皆既日食は、観測地で一番有名なのはプコンでしたが、天気は悪かったのに何とか皆既日食は観測できました。
  マスコミによると同地方で観測したのは18-20万人とか。ほかの情報では観光客は8万人とされていました。
  もしどちらも正しいなら半分以 上の観測者は地元の人ということになります。  
  しかし昨年の皆既日食に外国観光団が殺到したのを思い出すと、観光者数の予想50万の6分の1だったわけですね。
  それも今回は大半はチリ人だったのですが。
3)木材不足
  少し前に書きましたが、テレビのニュースで木材製品が不足で大工さんが困っているとまた出ました。ただ付け加えて、それはチリだけでなく南米のほかの国でも起こっているとされました。どうしてかな?

(スポーツ)

1)サッカー
  南米カップ戦の準々決勝に進出したカトリカとコキンボは敵地でそれぞれ2対1で勝利をおさめ期待を持たせました。さて今週、ホームで対戦した2チームはなんとどちらも敗戦。しかし0対1で負けたコキンボは総合点で準決勝に進出。1対3で負けたカトリカは敗退になりました。カトリカの場合、敵地でゴールした選手がコロナで出場禁止になったのが響いたとか。勝負の世界は厳しいですね。国内リーグ戦は土曜日、首位のカトリカが最下位のコロコロと対戦。結果は引き分け。誰も喜んでいません。首位のカトリカ、最下位のコロコロの順位は変わりません。


以上