チリの風  その919  2020年12月21日―27日

クリスマスの25日、サンティアゴは34度まで気温が上がりました。もう夏至にもなったし本格的な夏です。クリスマスでも、今年はコロナ問題から、いろいろ行動が制限され、私も息子家族に会ったけど食事も出来ませんでした。クリスマスの翌日、公園で子供が自転車やローラースケートなど、プレゼントしてもらったもので遊ぶのが通常でしたが、自宅待機令が出ていますから、今年はそんな子供は一人もいませんでした。

マンションの改修工事は進んでいます。職人さんが8時ころ着きます。私はそのあと外に出てマラソン練習。まだ暑くないのでそれほど汗をかかずに走れます。さてマラソン仲間と連絡を取ってこの大晦日、31日の朝に一緒に走ることになりました。たまには一人で走るのとは違うそんな楽しみも味わいたいです。


(政治)

1)ピニェラ動向
  モネダ宮殿で先住民の代表と面談し、来年の新憲法制定委員会のメンバーを選ぶ国民投票で先住民代表に17の席を用意するとし、先住民の歴史・知識が現在のチリの基礎になっているとコメントしました。マプチェ、アイマラなどのほかにイースター島パタゴニアの先住民にも席があるとか。木曜日にやっと到着した1万人分のコロナのワクチンが首都圏の病院関係者に接種されるのをピニェラは厚生大臣と一緒に観察しました。その後、ワクチンは南部のプンタ・アレナスなど各地に運送されました。世界の様子を見ると都市閉鎖などをしても問題解決にはならないとみられますから、ワクチンが救世主に見えます。もちろん副作用とか、薬の品質などいろんな問題は出るでしょうが。ワクチンがこの先どのように、どれくらい入ってくるのかが注目されます。中国製ワクチンは1月初めにつくとか。
2)各党・グループの大統領候補選定活動
 今まで民主化してから中道左派が多くの大統領を出しましたが、共産党がその連合に入ってから中道のキリスト教民主党DCは居心地が悪くなり、さらに新左翼が進出してきたので連合の中に留まるか、独立するかを考える必要があります。さらに政府側も最右翼UDI党と中道右翼RN党の対立もあり、同じ中道のDCがRNと手を組み、右翼中道左翼の3つに分かれて戦うという可能性もあります。1月に大きな風が吹くでしょう。与党側の候補者では、世論調査では一番人気は前国立銀行総裁のシーシェル、次いでプロビデンシア区長のマテイです。

(経済)

1)全般
1982年の民主化以降、今年は最悪の年になりました。GDPは第1四半期は0.1%のプラスでしたが、そのあとは第2が14.5%、第3は9.1%のマイナス。第4は少しは上向いていると言われますが、どうなるでしょう。失業率は年初の7%くらいから3月以降急上昇で13%を超えました。最近は11%ほどと少しづつ良くなってきています。で、来年は正常化するのか。コロナ問題は継続なのかが心配されます。これはピニェラの失策によるものではありませんが、運がなかったわけですね。それでもあの混乱を何とか切り抜けたのは大蔵大臣のブリオネスの手腕によるものでしょうか。
2)銅価格と為替
銅はポンド3.53ドルと高値安定。このため為替は1ドル716ペソと勢いをつけて益々ペソ高に向かっています。
3)中国問題
 毎週のように中国が話題になりますが、外国資本が送電などチリの基幹産業を抑えるのはどうだろうとコメントされます。今週はチリ南部の鉄道に中国製の汽車が導入されるとされました。コロナのワクチンも中国から大量に来るようですが、品質は大丈夫かな?

(一般)

1)コロナ問題
先週、政府はこの月曜日に新しいことを発表するとしましたので、一部または首都圏全部がレベル1に戻り、毎日自宅待機になるのかと思いました。木・金・土曜日と新規患者が2000名を超えて緊急事態が近いと言われたからです。しかし患者数は日曜日は1943人に落ち、少し落ち着いたように見えました。そこで雰囲気が変わり、政府は条例の変更はせず、そのままクリスマス・新年を迎え1月4日に結論を出すことにしました。小康状態と見たわけです。しかし藤尾式に見れば、日曜日のPCRの検査数は45693人だったのですが、その前は6万人近い数字でしたから、つまり同じ6万人の検査をしていれば日曜日は2000人をはるかに超えて緊急事態宣言になったはず。藤尾式を使えば首都圏はレベル1になっていました。そんなことにならず良かった良かった。人口はチリの7倍ほどの日本の検査数は数万件でチリとほとんど同じくらい。つまり検査数を増やせば陽性者が増え、オリンピックが開催できないと考えるのでしょうね。
現在、首都圏は全域がレベル2で、週末・祝日は外出できません。また他州への移動もできません。特別許可をもらわないで他州に向かって道路を走っていると検問所で止められ、元の所に戻るよう指示されます。この週末、首都圏からビーニャに向かった観光客のうち24000人は必要な書類がないと戻されました。その許可が下りる条件は、自宅に戻る(別荘はダメ)、病気の治療を受ける、親族の葬式に参列することなどです。私の息子家族は私の所を訪問するのに老人に食品を渡すという名目で警察に外出許可を申請し入手しています。
コロナ問題がひどい地区は貧困層と過密地区とされ社会問題が表面に出ています。初期は欧州へ外遊した金持ちが患者だったのですが、今では大きく変わりました。患者の平均年齢は当初は中高年が中心で52歳だったのが、最近は若手の不法集会などの影響で年齢が下がり、今週は39歳でした。昨日も各地で不法パーティが行われ、多くの人間が逮捕されています。ガンガン音楽を流し騒げば、近所の人が警察に連絡するのは当然で全員逮捕になります。なぜそんな簡単なことが分からないのかな?
さてチリの南極基地でコロナが発生しました。日本では大きく報道されたようですが、チリではほとんど無し。このままでは2021年の科学研究に影響出るかという記事でした。
2)飛行機の乗客
 11月の航空便の利用客は国内・国際線の合計で60万人で、昨年の同月の200万人からは大幅減少でした。それでも10月よりは39%アップと、今年の末にかけ良くなってきています。さぁ12月はどうかな?
国際線は軒並み大幅ダウンですが、マイアミ便だけはほぼ正常で11月は前年対比僅か16%の減少でした。どうしてマイアミだけ人気があるのでしょう。
ラタム航空は今月から社員に給料を正常に(100%)払うことにしたとか。しかしバスによる長距離の移動は通常時のわずか10-15%と激減です。バス会社は泣いていますね。
3)クリスマス
クリスマスプレゼント
子供にプレゼントを贈るのは、習慣ですから、今週はショッピングセンターや道路の青空市場に大勢の人が押しかけ買い物をしました。混雑したところに行けば、病気が発散しないかな。年金の引き出しが行われたことなども影響したのか、パソコン・大型テレビなどの電気製品は、昨年より40%以上売り上げが伸びているとか。
宗教
今まではクリスマスになればミサの様子がニュースに出ましたが、今はコロナで集会は禁じられていて、全くニュースになりません。キリスト教のニュースと言えば、今週も出ましたが、神父の年少児への性的暴行問題で、見苦しいことこの上なしです。そういえば、ローマ法王のクリスマスミサの中でラテンアメリカ関連ではチリとべネスエラの名前が出ましたが、チリの社会混乱の鎮静化を願うとされました。
4)反政府運動
今週、中央駅区の警察署に爆弾が仕掛けられました。木曜日、用事があって外に出ました。地下鉄のバケダーノ駅で降りましたが、メインの出入り口は封鎖されていました。反対側の小さな出口から外に出ました。まったくデモ隊はいませんでしたが、警官が暑い日に銃を構えて警戒中でした。さすがにクリスマス。この週末は大きなデモはありません。
デモとは違いますが、首都圏のマイプ区で2度、銃による攻撃があり、死傷者が出ました。どこかのグループの間の争いと言われますが、死傷者は歩行者で全く運が悪かったようです。犯罪グループは銃を持ち、敵対グループに攻撃をするのは日常事件です。 10年前はチリには他国のような麻薬組織は無い(少ない)と思われていましたが、今は、コロンビアやメキシコ並みになってしまったと思われます。銃を空に向けて発砲して遊ぶなんて頻繁です。その地区の住民はたまりませんね。
今日、日曜日ですよ、ピニェラはモネダ宮殿で部下を集め協議した結果。組織暴力団(ほとんど麻薬関係ですが)の取り締まりに関し新しい法案を議会に提出するとしました。刑を増やす、警察の調査をしやすくするなどが盛り込まれているとか。遅いけど、何かしているわけですね。

(スポーツ)

1)サッカー
  国内リーグ戦は12月末に全日程を終えるはずでしたが、延期・中止になった試合が多く、このままでは2月半ばまで続きそうとか。選手の契約は12月で終わるケースが多いのですが、次の2か月どういう契約をするかもめているとか。
 首位のカトリカは今日は引き分けで2位と勝ち点3です。最下位のコロコロがどうなるかが見ものとされています。2部リーグに落ちないよう選手のボーナスを用意して1部に残ればそれを払うとか。いやはや。


以上