チリの風  その943 2021年6月7日―13日

サンティアゴは良い天気の日が続いています。最高・最低気温は25度・5度と言う感じ。つまり家を出る時間によって冬服と半そでを着ます。と言うことは冬服を着た人の横に半そでの人が歩いているわけです。
とうとうサン・カルロス山岳公園がオープンしたと聞いたので行ってきました。そこはコロナ問題で1年以上閉まっていました。久しぶりに懐かしい道を散策。出口で、気が向いて年会員の登録をしました。
週に1回とは言わず2回でも来てあちこちのルートを歩こうかと思ったわけです。
ところがこの土曜日から全日自宅待機令になってまた閉鎖。いやはや。
日曜日は州知事選挙がありました。もちろん朝一番で行ってきました。投票所にはほとんど人はいませんでしたから、1分で投票を終えました。

(政治)

1)ピニェラ動向
 北のアントファガスタに飛んで、アタカマ砂漠に出来た太陽熱発電所の開所式に参加。
 南米初のシステムで、自然破壊や汚染をしない新しいシステムと喜びました。
 チリでは現在25%の発電がこのような新いシステムによるものです。

 そして多分、最後の外遊として欧州に行くはずでしたが、首都圏全域に完全自宅待機が出されたため、国の様子を見るため出張は中止になりました。
 新聞に彼に関して「孤独・悲愁・終焉」と題された文章が掲載されましたがもう敵も味方も彼を尊重していないようで、惨めに孤立しています。
 私の眼にはそれほどひどい仕事ぶりには見えませんが、リーダーシップが不足なのでしょうね。

2)大統領選挙
 今週の世論調査の結果では人気の3人が13,14%の支持率とほとんど同じでした。
 それは共産党のハドゥエ、キリスト教民主党DCのプロボステ、そしてUDIのラビンでした。
 左・中・右の3人がぴったり並んでいるわけです。
 大統領選挙の予備選挙に向け候補者の討論会が企画されています。右翼の4名の候補者は6月21日、左の二人は(共産党新左翼)6月22日です。DCと社会党の候補者は何故、参加しないのかな?

 地方首長選挙は今日行われ、自宅待機のはずですが、選挙投票所には自由に歩けることになりました。
 投票数は先月よりかなり減少しました。
 サンティアゴの場合はDCのオレゴが新左翼に勝ちました。右翼の候補者は1次予選で負けています。知り合いに、この投票には行かない、どっちが勝っても同じだからと言われましたが、右翼側の人には意味のない選挙とか。
 チリの16州の中で3州は先月の選挙で決まったので、今日の選挙は13州。
 首都圏で勝ったのはDCですが、先の選挙で惨敗したのがDCえすが、今日は風が変わって他の州でも勝っています。新党首はこれなら次の大統領選挙でも勝てそうと喜んでいます。今日惨敗したのは与党側で、わずか1勝。野党が強いのは明白です。

3)新憲法委員会
 まだ会議は始まっていないのに混乱は絶頂と言う雰囲気。一部の委員は自分たちが新憲法を作るのだ、現行憲法にもう意味はないとしすべて破棄・破壊の意気込みです。
 特に「民衆リスト」グループの破壊的行動は目覚ましく、新聞に新憲法は一部のチリ人のためのものになりかねないと書かれました。昨年、軍事政権の憲法を変え、市民の手による新憲法を作成すると喜ばれた時と雰囲気は全く違いますね。

(経済)

1)経済成長率
 チリ中銀の発表で今年は8.5-9.5%の成長率が見込まれるとか。コロナ問題が落ち着けば、そうでしょうが・・・
2)物価上昇率IPC
 5月は0.3%、過去12か月で3.6%とインフレになるかもと言う噂はありましたが、通常です。
3)銅価格と為替
  1ポンド4.55ドルと高値安定、1ドルは721ペソとペソ高が続きます。少し前は1ドル800ペソだったのですから、かなりの高値ですね。
4)南米への投資
  ブラジル・アルゼンチン・コロンビア・ペルーとチリの5か国への投資に関する問題が検討されました。
  経済成長率・失業率・物価上昇率など通常の数字に政治問題が加算されるわけですが、チリの場合1昨年前の10月の社会騒動が大きく影響しています。いつもチリの風で書いていますが、素人の私の感じる不安はプロの目にも大きく影響しているわけです。困った。

(一般)

1)コロナ問題
  世界のコロナによる死亡者数ですが、今年の今までの数字は昨年1年分を上回りました。
  チリの死亡者数は昨年からの合計でとうとう3万人を超えました。
  さて先週と同じですが、今週も新規患者の数は7千人台をキープ、死者数も100名を超え、感染率も10%が続いています。
  病院でもうスペースがないので新規患者は受け入れられませんと言うところが出ています。そして看護師などの労働者グループが通常の休みもバケーションもなく仕事を続けていくことはできないと一部ストに入りました。
  それでも緊急病棟の入院者の84%はワクチン未接種と言われますから、ワクチンの効果はあるわけですね。
  今週もワクチン接種は順調に進みました。集団免疫までもう少し。

  状況が収まらないため、緊急事態として昨日の土曜日から首都圏全域がレベル1になり、全日、自宅待機です。
  今回で3回目ですが、学校も職場も全部しまります。今週まで稼働していた商店・レストランなどもそうです。(食品販売は除く)
  すると与党の最右翼UDI党党首が、それに噛みつきました。全域を封鎖すれば首都圏の人間がどうやって生き延びろと言うのかと言うことです。
  そのため政府は多くの援助案を出し、今週も零細企業への100万ペソ援助などを発表しました。
  UDIは先週は同性結婚で政府とぶつかりましたから、もう与党内で正常な会話はないでしょうね。
  さて、この状況に関する 専門家のコメントですが、このひどい状態が改善されないのは季節が冬になってきたこと、サンティアゴが悪いのは大都市であること、いろんな場所で人が過密の状態が多くある(買い物・交通手段など)、ワクチンの接種が不足とされています。
  ワクチンは現在20代が対象で、すぐに12歳以上の子供までワクチン接種が可能になります。

  土曜日から外出禁止でしたから、その前日、金曜日のショッピングセンター、スーパーマーケットはあふれるばかりの人でした。今日買わなければ、明日から困ると言うわけです。感染者数がまた増えるでしょうね。金曜日の夜、首都圏で秘密パーティがあり参加者が59名逮捕されました。何それ?
2)マプチェ問題
  今週も何カ所かで襲撃があり、トラックが燃やされました。その近くにマプチェの抗議パンフレットが置かれてあったとか。
  ピニェラ政権はこの問題に関し何もできなかったですね。
  今週、チリのニュースで頻繁に流れたのはアルゼンチンの大統領がスペインの大統領を迎えておこなった面談の時のコメントです。
  彼はラテンアメリカの中でメキシコとブラジルを取り上げ、「メキシコには先住民が多くいた。ブラジルにはアマゾンに先住民が生活していた。しかし我が国は欧州から着いた船から降りた人間がアルゼンチン人になった。」と。
  マプチェは長期にわたってパタゴニア南部を抑え、チリ側にもアルゼンチン側にも住んでいましたが、そんな歴史は無視して欧州人種とのつながりを強調したわけですね。彼は左翼の政治家です。
  どこかの大統領がスペインに、「500年前、スペイン人が黄金郷を捜してラテンアメリカに侵略し、殺人暴行を繰り返しながら多くの人が住んでいたここを自分たちの領土にしたことは許しがたい犯罪だ」と言わないでしょうか。
3)大学ランキング
  世界の1,300の大学を比較すると、チリから500位以内に3つの大学が入りました。
  カトリカ大学135位、チリ大学183位、サンティアゴ大学500位以内。立派なものですね。

4)高波
  今週はチリ中部・北部で高波がありました。一番大きかったのは高さ7メートルの波です。
  近くの道路に駐車してあった車が大きな被害を受けています。

(スポーツ)

1)サッカー
 今週は選挙があり、そしてアメリカップがあるので国内リーグ戦は少しお休み。
 さてワールドカップの南米予選は今週6試合目が行われました。
 先週、難敵アルゼンチンと敵地で引き分けたチリは今週はホームで軟敵ボリビアと対戦。
 前半はひどい内容でチリはまるで赤子を操るように一方的に攻め、頻繁に得点のチャンスがありましたが 決まらず終了。楽勝は間違いないと思われたのに、後半は双方が1点でなんと引き分け。
 チリは勝ち点6で第7位。過去数回の予選でこれほど悪いスタートはありません。つまりワールドカップ参加の可能性は殆どありません。
 今日からアメリカップ戦がブラジルで始まりました。チリはそれに連勝した時期もありましたが、その時の選手がほとんど残っているわけで毎年、おっさんになっていく選手では勢いが薄れるのは無理はないですね。希望はベスト4に入ることですが、無理でしょう。


以上