チリの風   その960  2021年10月4日―10日

久しぶりにセントロ(中心街)に行きました。いろんな規制があってもう1年以上そこには無縁でした。でも現在はコロナ問題が終焉中なので、今までの規制は無くなりました。それで人の動きは以前と同じように見えました。
まずアルマス広場に行き、そこに面した歴史博物館に入りました。ゆっくり回って展示品を全部見ました。それから考古学博物館に歩きました。残念、そこは週に4日だけ開館で、しかも人数制限のため事前に予約を入れる必要がありました。
そこの横に旧国会議事堂があります。国会はバルパライソに移転しましたが、その建物は現在は新憲法委員会が使用しています。
さぁ、どんな雰囲気かなと思いながら近づいたら大勢のデモ隊に囲まれていました。その人たちに、何のデモですかと聞くと、国は私たちに尊厳のある住居を提供するよう要求しているのだとのこと。そんな国は世界にないですね。
そこからモネダ宮殿に向かいました。昔、それに面したビルで10年以上働いていた時期があるので懐かしい通りです。そしてその近くの中華料理屋で昼食を取り半日観光が終わりました。
今週も、山登り、マラソン練習、そして土曜日はサッカー教室とスポーツを楽しみました。今週のサッカーの参加者は21名で、皆おなじみの顔になり、今学年が終わるまで楽しくやれそうです。
さて入れ歯がグラグラしたので歯医者に行きました。レントゲン写真を撮って他に異常のないのを確かめてから、その歯を一度抜き、それを使って再度入れ歯しました。こうして問題は解決です。しかしすぐに治療が受けられると言うのがうれしいです。明日の月曜日は休日なので3連休。首都圏から約20万台の車が郊外に出ていきました。

(政治)

1)ピニェラ動向
大問題です。パンドラ文書で、世界の知名人の不正が報道されましたが、その中にピニェラの名がありました。
ドミンガ鉱山の売却に関し、ピニェラは知人にそれを売却したのですが、不法があったとされています。チリの検察は贈収賄、税法違反などからこの問題を正式に取り上げることにしたため政府と摩擦が起こっています。
ピニェラは、その契約は10年以上前で、つまり自分の第1次政権の前のことで、大統領になることが決まった段階で、自分が関与しているすべての事業で、大統領の職にある間は全く決定に関与しないとしており怪しいことは全くないとしています。さらに同案件は既に検察の手が入っており、彼らは内容を全部熟知しているとしました。
その鉱山は環境破壊の可能性があるとして問題になっています。チリのグリーンピースは操業開始を拒否するよう要求しています。
これに関し国会は彼を糾弾する動きを見せています。
土曜日、ピニェラはモネダ宮殿に与党各党の党首と政府関係者を集め、この問題にどのように対処するか議論しました。与党グループはピニェラを全面的に支援するとしています。

大統領が不正事件でもめていますが、その下の区長があちこちで問題を起こしているのは報告済ですね。先週、元区長で、その後、首都圏知事をしていたのが辞任しました。彼はラ・バルネチェア区長をしていたときの問題が裁判になりそうなので、準備のため辞任したのでしょう。
警察軍の元トップの二人が警察予算の不正使用で裁判になります。こっそり予備の資金を抜けば誰もわからないと思ったのでしょうね。刑務所に行ってほしいです。
隣国アルゼンチンでは近年に2千件を超える汚職問題が裁判になっていますが、有罪になったのは0.5%とか。50%ではないですよ。裁判になると言うことはそれなりの根拠があってのことですが、わずか0.5%と言うことはアルゼンチンでは汚職は罪にならないと言うことですね。それに比べるとチリははるかにましです。私が知らないだけかな?
さてピニェラは新憲法委員会に新憲法で国民を分断させるのではなく、統一すると言う目標で頑張ってほしいと要請しました。もちろん反政府側から怪しい大統領が何を言うのだと軽くあしらわれました。
その憲法委員会ですが、世論調査では委員会に期待出来ない、がっかりしたと言う批判する層が増加しているとか。
ところでもう2年目になりますが、10月18日に高校生が地下鉄の無賃乗車を図ったのが社会騒乱の発端でした。今年もその日に反政府グループが大規模な暴動を起こすとみられ緊張が高まっています。それからいつものように金曜日、イタリア広場でデモがあり、警察と衝突しました。7名の警官が負傷したとか。まるで週末の恒例遊びのようですね。
2)大統領選挙
あと2か月で選挙ですが、全く盛り上がっていません。与党側は先の予備選挙で勝ったシーシェルが全候補者の中で2位の人気でしたが、厚生年金の引き出しをしていたウソがばれて人気が下がり、もう一人の候補者カストに抜かれました。カストは評論家タイプの人間で、相手の弱点を見抜きそれを突くのに長けています。
最初から一番人気の新左翼の若手ボリッチは共産党の圧力を受けていますが、中道左派キリスト教民主党のプロボステが全然伸びてこないため悠々と首位を保っています。
このままでは1次選挙をボリッチとカストが勝ち抜き決選投票になると言われます。評論家のコメントではそうなれば1988年の民主化して最初の大統領選挙の時の様に軍事政権派対反革命の戦いを思い出させるとか。と言うことは若手のボリッチが最後に自滅すれば、ピノチェットの時代に戻るの?
私にはピノチェットもアジェンデも容認しがたいですが・・・

(経済)

1) 物価上昇率IPC
9月のIPCは1.2%と過去13年間で最高の数字。今年になって4.4%、過去12か月で5.3%と悪い数字が続いています。
ガソリン価格もその上昇の一因ですが、97オクタンは1000ペソを超えています。原油価格の上昇とペソ安が原因でしょうね。9月のIPCアップの原因に肉の価格が10%も上がっているとありました???
2)銅価格と為替
銅の価格はポンド当たり4.19ドルで先週とほぼ同じ。為替は1ドル813ペソとペソ安・ドル高になってきました。
3)海外からの投資
8月に13.5億ドルの投資が記録されています。前年対比73%の上昇とか。昨年はコロナ問題で動きは止まっていましたから。1-8月160億ドルです。
ただし観光に関する投資は止まったままで1994年以来の低い数字とか。いつ外人観光客が戻ってくるか誰もわかりませんからね。

(一般)

1)コロナ問題
 18のお祭りまで新規患者数は一日数百名、感染率0.7%ほどでした。
 お祭りの後、それほど急激には上昇していませんが、毎週、数字は悪くなっています。今週は新規患者数が2日連続1000名を越えましたが、それは8月初旬以来の悪いことです。感染率が1.66%まで上がりました、一時期の2倍の高さです。
 3回目の接種、年少児の接種などまだワクチンが必要で今週も数十万人分のワクチンが到着しました。
 このままコロナ問題が収まってほしいものです。
 厚生大臣は最近の陽性者・入院患者の多くはワクチンの接種が終わっていないとコメント。もう90%ほどのチリ人がワクチン接種済みなのですが。
 3回目のワクチンになるのかな?
 この週末コンセプシオン大学で、学校の許可を得ずに大学生が大パーティ。7千人ほど集まり、翌朝まで飲んだり踊ったり。
 コロナ問題が終わってからにしてほしい。
2)移民
 ハイチ人の移民問題アメリカ・メキシコ国境で大きな問題になっていますが、チリにも彼らは大勢来ています。今年チリに入国したハイチ人は2千人台、出国は3千人台ですが、不法に出国したのが8千人いるとか。不正に入国した人は正規に出国できないので出るときも隣国にこっそり出ていくのですね。テレビのニュースにそのグループが出ましたが、そのメンバーの一人はサンティアゴの中央駅近くで日給2万ペソをもらって働いていたが、それでは生活できないのでまた出ていくとか。
彼らはアメリカに行きたいと言っていましたが、どうしてメキシコまで行けるのかな?
私は彼らのルートと反対にアメリカ・メキシコから陸路で全部の国を通過してチリに入りました。
首都圏で露店商人が急増です。許可なく営業しているのが1300人を超えると報道されました。以前は取り締まりがあったのに今はコントロールをしていないのです。右翼から左翼の区長に代わったので一貫性がないのですね。その売り子は外人がほとんどです。
最初にハイチ人の件が出ましたが、今年のチリへの移民は正規・不正を入れてほとんど全部が、90%と言われますが、べネスエラ人でした。
国境線の管理がうまくできていないのですが、その不正入国ルートを使って武器や麻薬がチリに入ってきているとか。どうしてチリ警察や陸軍はコントロールできないのでしょうか。
3)マプチェ
警官殺害事件でマプチェのゲリラグループのリーダーとその息子が逮捕されました。
調べれば銃器の所持・麻薬関連とかいろんな疑惑が出てくるでしょうね。
先日、家に放火された夫婦の一人が焼死で病院で亡くなりました。そうした事件がなくなりませんね。
運転手が負傷した事件でトラック隊が抗議のため、連日道路を封鎖し、それを解除しようとする警官と揉めました。事件は毎日起こり、長期継続しているのに政府は打つ手がないですね。

(スポーツ)

1)サッカー
ワールドカップ南米予選の3試合の最初の試合が今週リマでありました。チリはペルーに2対0で敗戦。何回も書いているように今のチリには世界レベルの力はありません。次の2試合はチリで行われますが、そのうちの1試合は今日ありました、1万人が入ったサッカー場はチリ応援の熱気が溢れました。しかしチリの技術はパラグアイのそれを上回らず、前半は0対0。しかし後半に運が巡ってきてゴールが2回。結果は2対0でチリの勝利。本当に久しぶりでした。今回の最終戦は対べネスエラで今週の木曜日です。
国内リーグ戦は首位コロコロ、2位カトリカです。その勝ち点の差は5です。しかしカトリカは1試合少ないので、もしそれに勝てば勝ち点差は2に縮み、今月末にその2チームの試合があるのでそれに勝てばカトリカが首位に立ちます。さぁどうなるかな?
2)ラクビ―
2023年のフランスでのワールドカップの予選が進んでいます。今週、チリはカナダに勝ち、最終予選でアメリカと対決します。
それに勝てれば、チリはフランス大会に参加可能です。サッカーは無理だけどラグビーは世界大会にけるかな?


以上