チリの風 その986 2022年4月4日-10日

この週末、サンティアゴの最高気温は23、24度で秋の気配です。朝早く外を走ると指先が冷たく感じます。
昨年から眼科に通っていますが、今週、指示された目の検査に行くと、係の人が日系3世でした。彼女は私にどこの出身ですかと聞いてきました。神戸と答えると、私の祖母と同じところですと大喜び。おばあちゃんは終戦後、日本では将来がないと南米を目指した移民家族の子供さんでしょう。私と違って、命を懸けた移民の旅だったでしょうね。
山歩きは、先週見つけた新しいルートを一人で歩き始めました。もうその山系は40年以上歩いていますが、まだ知らないルートが見つかるわけです。楽しい。
ラソン練習で、週日10キロを走りましたが、今年の新記録がでました。にっこり。もちろん日曜日は仲間と一緒に走りました。そのうちの一人は来月のサンティアゴラソンでフルを走るので気合が入っています。私も昔はそれに参加していたのですが。
土曜日に今年度の第1回サッカー教室がありました。大人・子供で20名弱。いつものように楽しく練習しました。
また娘の所に行って話し合いをしました。彼女の人生の新計画が楽しみです。
いつものように今週も幸せな毎日でした。

(政治)

1)ボリッチ動向
 アルゼンチン訪問
 最初は飛行場に到着した時、そして飛行機の中で記者団に囲まれ話をするのがニュースになりました。向こうについてフェルナンデス大統領と政治・経済・文化などの話し合いをしたのも大きく報道されました。現地の経営者との集まりもありました。

これが将来の両国の関係にどう影響するかな?
戻ってきてチリ社会の安定化について新政策を発表しました。
しかし彼にとって頭の痛いのは内務大臣問題です。
2)内務大臣
新内閣開始でまだ1か月もしませんが、内務大臣は3つの大問題を抱えました。マプチェ問題で、ピニェラを批判し、彼の4年間の政権で同地区の犯罪は4倍になっている。従って彼と同じような軍隊を出して力で抑えると言う方針はとらないとし、現地でマプチェと面談するとしましたが、同地区を訪問した時、銃弾で脅され、全く話し合いは無しに終わりました。そしてマプチェ問題をウオルマプとしました。それは国境を挟んでチリ・アルゼンチンに住むマプチェ族を表すので、アルゼンチンから国内干渉をしないようにと苦情が出ることになり謝りました。
最後は不法移民問題です。彼らを国外追放にした飛行機が、彼らをその国に降ろさないで(入国を禁止されたのか?)またチリまで連れて帰ったと、ピニェラ政権を批判しました。しかしそれは嘘の情報だったとバレて、謝りました。このエラーはひどいので彼女を罷免すべしとするコメントが出ています。ボリッチは帰国後、彼女と面談し、その後、彼女を支持するとしました。
隣のペルーで、内閣が頻繁に入れ替わっていますが、チリもそんなことになるのかな?
新聞の社説に、これは彼女一人の問題ではなく、たった1か月で新内閣の疲労が表立っているのではとされました。
これに関しては問題点(もしくは課題点)として先ず、大使の任命問題が出ています。ボリッチは大統領候補の時、「大使はそれまでの政治的経験を考慮して任命したい。何かの褒美でその職を与えることはしない」とコメントしていますが、先月の彼の任命した大使は、全く逆ですね。社会党共産党の関係者を大使にしています。2番目は厚生年金の引き出し。これも大きく彼の見解が変わりました。3番目はマプチェ問題。ピニェラを批判していたが、新政策を全く実施できず、問題が悪くなっています。4番目は警察軍との関係。批判と協調が入れ替わり。5番目は教育問題、そしてコロナ対策問題。
つまりピニェラ政権を批判していたのに、自分たちが政権を取っても何も新しいことを実施していないと言うわけです。
もちろん、何もできないので疲労するなら、この先、新政権への世論の批判は厳しくなりますね。
3)新憲法委員会
 3社の世論調査で、全部が9月4日の新憲法可否の投票でノーが勝つだろうと発表し、問題になっています。ラゴス元大統領は新憲法を成立させるための努力をすぐに始めるべしとしました。まだ新憲法は完成していませんが、委員会のイメージがパッとしないのは事実です。
4)厚生年金積立金の引き出し
 5回目の引き出しを国会で審議中。いつまでこんなアホなことをするのか不可解。ボリッチは議員の時は引き出しに賛成しましたが、この引き出しがあれば、チリ経済に悪影響すると、現在は反対の立場です。

(経済)

1)経済政策
政府は国民援助として下記の政策を発表しました。
チリを安定的に成長させるため、37億ドルの費用をかけ21の項目で経済発展を図るとしています。例えば、次の2年間で50万人の新規雇用を創出し失業率の低下を図る。ガソリンや灯油の値上げを抑える。反インフレとしてバスなどの公共運送費を30ペソ上げることになっていたのを政府の支出で抑え、現状価格を維持する。IFEの低賃金労働者への援助を9月まで継続するなどです。最後のIFE(緊急家族収入案の略です)はピニェラが自分の政権が終わる3月以降も継続するとしたのを余計なことだとクレームしましたが、結局はピニェラ式の継続を認めました。
2)輸出の伸び
 1-3月の輸出は249億ドルで過去8年間の最高でした。
 輸出の半分近くを占める銅の価格が急上昇ですから、輸出額が伸びるのは当然ですね。
 これは年内続きそうです。
3)物価上昇率IPC
 何と3月は1.9%の上昇で、過去12ヵ月では9.4%。これは1993年以来の28年ぶりの酷い数字。中央銀行公定歩合をさらに上げる必要があると言われています。キリスト教民主党DCは食品についている消費税を外すか、減少してほしいと政府に要求しています、
4)銅価格と為替
銅の価格はポンド当たり4.71ドルと4.7の壁を越えました。チリ政府にとって最高のニュースですね。
それでペソは対ドルで強くなるとみられましたが、消費者物価指数がひどくなったのでドルが息を吹き返し1ドル817ペソになりました。
5)果物輸出
毎年、果物の輸出量が増えています。さて先月、ウニフルッチ社がアブダビの会社に買収されました。これで大手10社のうち、半数が外国資本で動いています。一番生産量が多いのはサクランボです。昨年の国別輸出先は1位がアメリカ41%、2位が中国20%、3位はオランダ8%でした。さぁ外国資本が参入してくると言うこの傾向はこれからも続くかな?

(一般)

1)コロナ問題
 低め安定です。新規患者数は5千人を割った所で落ち着いています、今日、日曜日は新規感染者数が3,057人でした。新規陽性率も4.7%。これは94日ぶりの低い数字。そのため、患者数も減少してきて、救急病棟などの余裕もかなりはっきりしています。
来週後半から、道路・公園などでは、マスクなしに歩けることになりました。5月1日からすべての国境がオープンになります。チリ政府はコロナが終焉すると見込んでいるのですね。
本当にこのまま収まるかな?
2)マプチェ
先年、マプチェグループに焼殺されたルーシンゲル夫妻の荘園にまた火がつけられました。マプチェの組織CAMが犯行声明を出しています。
政権交代後、一向にマプチェの攻撃が収まりません。逆に過激化しているようです。過去3週間で83件の攻撃が記録されています。ビオビオ州で37件、アラウカニア州で46件です。その大半は家屋への攻撃です。昨年は1786件と対前年で46%も上昇し、過去10年間で最悪でしたが、今年はそれと同じような傾向です。
3)黒崎殺人事件
もう数年前の事ですが、日本人留学生の黒崎さんが、元恋人だったチリ人のセペダにフランスで殺されたとみられる裁判が始まりました。彼は自分は無罪、彼女を殺した事実は全くないと主張しています。でもどうしてフランスの警察は彼女の死体を発見できないのでしょうか???
4)社会騒乱
3年前の10月に社会騒乱が始まりましたが、その初期に地下鉄の駅を襲う事件が続発。駅に放火して全焼状態になった所も出ましたが、今週、その犯人に判決が出ました。12年の刑でした。政治犯ではないですから、刑務所で反省してほしいです。出てきたら、また同じようなことをするかな?

(スポーツ)

1)サッカー
国内戦は人気3チームがすべて敗戦でした???
今日の段階で1位、2位はコロコロとウニオンが同点首位、3位4位もコブレサルとニュブレンセが同点で並んでいます。
今週からチーム別の南米の最大の大会リベルタドール杯が始まりました。コロコロはブラジルの敵地で勝利、もう一つのカトリカはアルゼンチンで敗戦と分かれました。


以上