チリの風  その944 2012年6月14日―20日

火曜日の深夜、多分2時ころ、寝室の出窓に当たる雨音で目が覚めました。久しぶりの雨でした。
さて日本の友だちから手紙が来ました。驚いたのは宛先が私が20年前に住んでいたところでした。その私の家は不動産屋に買い取られ、近所の家を合わせて今はビルになっています。私はそこロス・ドミニコス地区に今まで35年ほど住んでいます。郵便局の人が私の新住所を知っていて届てくれたわけです。もう私は普通の移民ではないですね。もちろん、すぐに返事を書いて日本に送りました。
スポーツはもちろん続けています。遅いけどちゃんと10キロを走っています。
日曜日はカランの丘の遊歩道歩き。もう2度、歩いていますが、今週から公園がオープンしたので行ってきました。肌寒い日でしたが、多くの人が歩いていました。下の街を見ながらのんびり歩きを楽しめます。赤ちゃんを乳母車に乗せて歩くこともできますよ。サンティアゴ在住の方にはお勧めの所です。今は週末の朝10時までだけオープンとか。
今日は父の日だったので息子夫妻が赤ちゃんと一緒に挨拶に来てくれました。

こうして人生の最後の時期を楽しんでいます。

(政治)

1)ピニェラ動向
葬式に参加しました。PDI私服警察機関の女性警官が捜査をしているとき、犯人グループに発砲され死亡。
彼女の葬式にピニェラは参列し遺族に挨拶をしました。しかし警官も仕事の上でこうした事故があるわけですね。
ところで警察幹部になるための警察学校に入学したいと申請する人の数が昨年は今までの平均から86%も下がったとかもう魅力のある仕事ではなくなってきたわけですね
さて新憲法委員会が来月から始まりますが、そこで今日ピニェラは全テレビ局を通じて演説しました。「委員会の責任はすべてのチリ国・チリ国民にとって大きなものになるのは当然ですが、それを実行するのは政府・国会で委員会ではありません。
現行憲法が施行されている現在で、それを否定するようなことは認められません。」
まるで委員会が反政府運動をやっているような雰囲気ですね???
2)国会
祝日
全く不可解ですが、明日の月曜日は先住民の日となり祝日になりました。冬至の日ですね。マプチェは太陽神信仰ですから、その日、神が私たちの保護を一層進めてくれる日としてお祝いします。インカも同じですね。しかし全く唐突にこの祝日が決まりましたが、意味が良く分かりません。緊急で議決されなければいけない案件とはとても思えませんが???
そのため月曜日にいろいろ予約が入っていた人はほとんどすべて中止・延期になります。
3)大統領選挙
先週の州知事選挙の結果ですが、与党側の惨敗に終わりました。選挙のあった13州で与党側が勝ったのはたった1州、残りは全部、野党側か独立派でした。首都圏の場合、中道のキリスト教民主党DCと新左翼の争いでしたが、最初の集計発表では新左翼が60%を取りリードしていました。ところが東部の選挙区では、例えばラス・コンデス区とか、ビタクラ区では70・80%の票がDCに。合計でDC候補が勝ちました。DCは左翼ではないですが、東部地区ではDCは新左翼よりましと思われたわけです。新左翼の票が集まる地区と右翼の票が多い地区はそれほど状況が異なるわけですね。
先月の投票率は40%でしたが、先週は何と20%。北のアントファガスタ州などはわずか10%。もう国民のほとんどが今回の選挙に興味を示さなかったわけですね。新聞に投票しなかった人のコメントが多く掲載されましたが、例えば二人の候補で、「どちらも好きではないならやめた方が良いでしょう。」
それで急に投票の義務化が叫ばれ始め、国会で議決されますが、もしかすると次の大統領選挙は義務制になるかもしれません。
さて年末のその大統領選挙ですが、共産党のハドゥエが政策を発表しました。現行年金制度は廃棄します。貧困層の援助方針を続々と。もちろん金持ちに増税してそれを賄うとしています。これに対し与党側の候補者は世論をごまかす政策が実行できないのは明らかだと軽くあしらいました。キューバカストロやべネスエラのチャベスは政権を握ったときの公約を実行せず嘘をついたのは歴史に残っていると。しかし、なんとその後、最右翼のUDI党ラビンが女性保護などの名目で金銭援助を約束。右と左のプレゼント合戦になっています。
今週、べネスエラ人の人と話をする機会がありました。60代のその人は最近のチリでの共産党の躍進ぶりが昔のべネスエラの動きと似ているとコメント。また違う機会にチリ人と話をしていると、チリはべネスエラとは違う。共産党に勝手なことをやらせないって。それは昔のアジェンデ政権が復活すれば、またピノチェットの軍事革命が起きると言うことなのかな? それは軽く考えることではないですね。このあたり、チリの風もニュースをまとめているのか小説を書いているのか分からなくなります。
もしそんなことが起きれば藤尾さんはどうするのと聞かれて明確な回答はできませんでした。日本に戻るの?
それからハヅゥエの問題点として共産党が勝てば報道の自由がなくなると言われています。
来週から候補者の議論がテレビで報道されます。

(経済)

1)世界競争ランキングでチリはまた順位を下げました。
経済・政治・社会などの総合力の比較ですが、2005年は世界19位だったのに年々ランクを下げ昨年は44位。
最近のチリの雰囲気を見ていると無理もないと言う気もしますね。
2)銅価格と為替
1ポンド当たり4.18ドルと大きく下がりました。一時は5ドルに近づいていました。専門家は中国経済は安定しているから銅の価格は下がらないと言っていましたが、当たらなかったかな。
そのため為替も雰囲気が変わってきて公式では1ドル735ペソでしたが、一般相場では750ペソに近づきました。
世界の通貨の中で対ドルで一番弱いのがチリペソと言われ始めました。少し前800ペソでしたから、そこに戻っていくわけですね。

(一般)

1)コロナ問題
 少し状況は変わりました。多くの新規患者、死亡者、そして高い感染率ですが、それが少しづつ減少しています。
 例えば陽性率は先週は10%でしたが、この週末、7%が続きました。ワクチン接種の好影響だとよいのですが。
 今の所、接種1回の人は80%、2回の人は63%です。
 さて政府とうまく行かない医師会がコロナ抑制案を提示しました。3週間、徹底的に社会活動を抑制するのが基本です。
 それには政府のワクチン接種者への移動パスの停止も入っています。
昨年、最初に首都圏が全面自宅待機になったとき、道を見ると車も歩行者も消えました。近くのガソリンスタンドがつぶれました。週に2回、買い物に行く以外に許可が出ないのでマラソンも登山も散歩も出来ず、地下の駐車場から上まで走ったり家の中の廊下を歩いていました。今は移動パスがあるので毎日、いつでも外に出られます。
医師会の案が通れば昨年の苦しみが戻ってくるわけです。
入院患者の中の70歳以上の占める比率が先月は10%だったのが今月は15%と上がりました。
これに関し、専門家は二つの可能性があるとしています。それは中国製ワクチンシノバックの効用が低いことと、感染者の増えている若者が家族内で中高年に病原菌をばらまいている可能性です。
入院患者の割合は70歳以上15%、50-60代45%、40歳以下40%です。
今週も150万回分ほどのワクチンンが到着。ワクチン不足はありませんが、現在対象になっている20歳の若者はワクチン接種に行きません。今まで長い列ができていたのに今週は注射場がガラガラでした。
それから悲しい実情ですが、今週も各地で秘密パーティで多くの逮捕者が出ました。コンセプシオン市の場合は最悪で、警察がそこに踏み込んだ時、逃げようとした一人が窓から落ちて即死でした。
完全自宅待機令で首都圏の学校は全部オンラインですが、父母が政府に対し、授業再開をするよう要求しました。教師組合は健康が最も大事だとそれを拒否しています。

2)マプチェ問題
 マプチェ関連でアラウカニア州で2名の誘拐殺人事件が起き、警察は麻薬・銃器などの関連で捜査を進めています。
 もう11名逮捕されていますから、かなり大きなグループと言うことは明白。彼らの銃器・麻薬等の関連が明らかになれば大ニュースになるでしょう。それから先日の警官射殺にも関係していると言われています。

(スポーツ)

1)サッカー
 ブラジルでアメリカップが始まりました。
 やっぱり・・チリの選手が一人感染してホテルで10日間、閉じ込められます。ボリビアは2名。この調子だとちゃんと最後まで続けられるかな?
 オリンピックでいえば、陸上で10名、水泳で5名とかになり合計で毎日何十名も感染しそうですね。
 先日、ワールドカップの南米予選でチリはアルゼンチン、ボリビアと戦いましたが今週はアメリカップ戦で同じ2チームと対戦。なんだか不愉快な成り行き。もちろん偶然ですが。
 そしてその結果は対アルゼンチンはまた引きわけ。そしてボリビア戦はチリは1対0で辛勝。新聞にイギリス人のゴールで勝ったと出ました。ゴールを決めたのブレレトンで彼はイギリスで生まれイギリス育ち、スペイン語は全く分かりません。ただ彼の母親がチリ人なのでチリの国籍ももっています。
 チリで一番有名な選手はサンチェスですが、彼がけがをしたので22歳の若いブレレトンにチャンスが巡ってきたわけです。
 チリはこの試合1対0で勝ちましたが、ボリビアは何度も攻め込み、テレビで見ていて私はやられたと思った場面が3度もありました。チリの監督は先週のボリビアよりずっとレベルの高いチームだっと本音を吐いています。チリのレベルが下がったのかな?
 次は明日のウルグアイ戦。それに勝つか引き分けると予選通過はほぼ決まりそう。ウルグアイもベテラン選手が中心ですから毎年勢いは減っています。ただチリ代表の選手のスキャンダルが流れ出し、どうなるかわかりません。初めてのことではないですが。


以上