チリの風  その945  2021年6月21日ー27日

肌寒い日が続くサンティアゴです。
近所を歩いているとおばあちゃんから声がかかりました。ご主人は地震の専門家でチリに来て50年になるとか。ロシア系の人です。なんと生まれた場所は中国とか。(それで私に話しかけたのかな?)
ちゃんと運動してる?と聞かれたので「はい。今日も朝、走りました」と回答。スポーツを続けると心身ともに健康が保てますよと言われました。彼女が庭の手入れをしているのを何度も見ています。
86歳の女性が74歳の私に教えてくれます。約30分、立ち話をしました。
今週は雨が多くて、スポーツの量は少し減りました。
土曜日、朝、雨が降っていたのでマラソンはやめましたが、しばらくしてやんだのでカランの丘に行きました。ところが係官から「今は外出禁止令ですが、週末は10時までスポーツができます。従ってこの遊歩道も9時45分まで入場可能です」と言われました。まぁ往復歩いたので散策にはなりましたが。
日曜日はマラソン練習。寒かったです。偶然、マラソン仲間と会い、ゴール地点で話し合いました。懐かしい。
明日はカトリックの祝日なので、3連休。今回も多くの車が首都圏から出かけて行きました。

(政治)

1)ピニェラ動向
世論調査で、彼を支持する人が相変わらず低調です。もう良くなるわけはないですね。
月曜日、第1回の先住民の日の祝日で大統領はマプチェの人とお祝いをしました。
それから2年前の社会騒動、昨年のコロナ問題に関連して、夜間外出禁止令とか軍人を警察の補佐として使うなどの特別令(戒厳令と言うのかな?)の延長を考えました。与野党ともに反対はないと思われましたが、なんと与党のUDIが外出禁止令を止めろとか言いだし、そうでなければ自分たちは反対票を投じるとか。最終的に国会で9月末まで延長が決定しました。いやはや。
それからピニェラは新憲法委員会の発足準備の会であいさつの演説しました。
この土曜日、彼はテムコに飛び、現地で州知事などと面談。市民の安全を守るため最善を尽くすといろんな案件を提示しました。マプチェ問題で少しは役に立つことを任期の最後に出来るかな?
2)大統領選挙
第1回のテレビ質疑インタビュー会がありました。月曜日は与党側の4候補者、火曜日は野党側の2候補でした。市民の反応で最も好印象を与えたのは月曜日は最右翼UDI党のラビン、火曜日は新左翼のボリッチだったとか。夜遅くに2時間ほど続いた番組なので、最後まで見る気力はなかったですが、一番不思議だったのは与党側の4名の候補者(全員がピニェラ政権で大臣職を経験)がまるで反政府の様なコメントをしたことです。誰も、「ピニェラはよくやっている、したがって私は彼の路線を進めていきたい」と言いません。
ピニェラに人気がないのでその作戦はうまく行かないと考えているのでしょうね。最近、犯罪が増加しているがピニェラは手を打っていないとし、自分ならこうすると厳しいコメントもありました。
ラビンは先の同性結婚案に触れ、おかしな結婚は認めがたいとキッパリ。彼が大統領になったらどうなるかな。
野党側はメインの社会党キリスト教民主党DCが参加せず共産党新左翼でしたが、二人はまるで親友・僚友と言う感じでした。昔、1968年ですが、全国学園闘争があったとき、私は北大でグループを作り新左翼として反政府運動をしましたが、その時共産党(民青)とはしっくりいきませんでした。しかしチリでは問題なさそう。
べネスエラ問題で新左翼はべネスエラ問題は早急に解決させたいとしましたが、共産党はそれは彼らの問題、他国が口をはさむべきではないとコメント。新聞の社説に共産党候補の報道規制に関する考えを認められないとでました。
社会党の候補ナルバエスはDCの候補プロボステに私たちもお互いの方針を発表しましょうと誘っていますが、プロボステは拒否しています。

先の選挙で州知事・市長・区長が選ばれましたが、祝日の翌日の火曜日が新任式になります。新しい風が吹くかな?

(経済)

1)銅価格と為替
今週、5日間毎日銅の価格は上昇し1ポンド4.28ドルで終えました。このため為替でペソが強くなり1ドル731ペソでした。
2)株式市場
少しづつ上昇していますが、まだ4371ポイント。5月の選挙の後に暴落しましたが、それ以前の数字4500までまだ戻りません。
3)中銀の公定歩合
現行の0.5%を来月に0.75%に上げることを計画中とか。じゃ、チリ経済は順調に回復しているのですね。
4)ガソリン価格の上昇
なんと30週も連続で値上がりし、97オクタンで1000ペソに近づいています。最初の価格の約15%アップですから物価上昇率の10倍のペース。
全然関係ありませんが、自動車の販売は正常化です。昨年2020年は暴落でしたが、今年の5月の新車の販売数はその前の2019年を上回っています。つまり正常化してきているわけです。
それからIMF推定の数字ですが、チリの貧困層の推移は次の通りです。1990年は国民の68%その中に入りました。それが97年に42%に下がり、2010年に23%、2017年には9%まで来ました。ところがそれが逆に動き、2020年は12%に上がっています。

(一般)

1)コロナ問題
この木曜日に首都圏で10地区がレベル2に上がりました。患者数が減少しているので私の住むラス・コンデスは緩和されると思いましたが、今回は医学的な数字ではなくが政治的な判断で、今まで90日間レベル1の完全自宅待機になっていた区をレベル2にして週日は外出許可が出るようになったわけです。医師会の判断とは全く逆のやり方です。与党内のUDI党から強い要請が出たのでしょうね。厚生大臣は今回の方針を決めた会議に医師会のメンバーもいたので、全く知らなかったとは言えないでしょうとコメント。
しかし不思議なことに、それに続いて来週の火曜日から首都圏の24の地区がレベル2に緩和されました。ラス・コンデス区もその中に入っています。山岳公園が再オープンすればすぐに山歩きをします。これで首都圏の大半の地区が週日は外出可能です。学校授業もあちこちで再開でしょうね。
ただ緊急病棟は90%の使用率で一向に低下しません。
月曜日、新規患者の陽性率が6.5%と4か月ぶりの低い数字になりました。今週、新規患者数が減少しましたが、それはPCR検査数が減ったからで大きな意味はありませんが、陽性率が下がっているのは良いことです。土曜日も6%でした。
一番南のマゼラン州は接種適応者の接種率が目標の80%を越えました。他の州も早く追いつきたいですね。
もう首都圏で10代の青少年の接種が始まっています。現在は全国平均で1回の接種者は80%、2回は65%ですから、2回の接種者が80%になれば集団免疫が見込まれます。
今週もファイザーの50万人くらいのワクチンが到着しました。順調です。ワクチンがないと苦しんでいる国が世界中にありますが、チリは順調に入手しているわけで、それを無料で国民に接種させているピニェラ政権はよくやっていると思います。誰も褒めないけど、たまには私は彼を誉めます。

さて今週のコロナ問題で話題になったのは二つあります。
1)厚生大臣パリスは欧州のあちこちで中国製ワクチンのシノバックは役に立たないと言われるが医学的根拠を示さないで一方的に批判するのは容認できない。チリでシノバックはファイザーとともにワクチンとして接種されているが、効能があることはチリ国内で確認されているとしました。
2)変異種デルタ株がチリで発見されました。
その患者は今週アメリカから入国したチリ人女性です。父親の死去で葬式に出席するため帰国しました。通常10日間の隔離(そのうち最初の5日間は政府指定のホテル)になりますが、彼女はホテルは1日だけで、南部の実家に戻り、葬式やその他の集まりに参加しました。その後、彼女が発病すると濃厚接触者も次々に発病しました。
同地区の町長は政府はこの病気の恐ろしいことを理解していないのではないかと厳しい批判。また同地区の司法は彼女が政府から指示のあったことをちゃんと実行したかどうかチェックを始めました。彼女が指示を守っていなければ、例えば5日間の自宅待機とか、彼女は法律違反になります。
しかし政府が人的問題として、彼女の自由を認めたなら、厚生省の責任は大きいですね。このデルタ変種に今までのワクチンが効くかどうか調査が進んでいます。もしだめなら新しいワクチンが必要と言うことになります。それならいつまでたっても終わりませんが。
2)大気汚染
サンティアゴは空気が汚れてきて月曜日に警戒警報が出て走行できない車の数が増えました。
サンティアゴは夏はほとんど雨はなく、冬に降るのですが、今年は冬になっても雨が少なく歴史的な干ばつの年になると心配されていましたが、水曜日に雨になったので、ほっと安心。さらに金曜日も雨でした。もっとも火曜日5ミリとか金曜日15ミリで大雨ではありませんが。
週末は晴れると言う予想だったのに、土曜日も少し雨でした。そして雨がやむと気温が下がり、最低気温はマイナス2度になりました。街の後ろの山は雪で真っ白です。
ホームレスの人を収容する施設がオープンし、食事も用意されています。
3)外人追放
先日に続いて今週も72人の外人が追放になりました。大半が不法に入国した人たちです。人権委員会からこうした追放はいけないと言うコメントがでますが、誰もいないところを案内人に金を渡し、不法に入国するのは、チリだけでなくどこでも認められませんね。従って彼らの人権を守れと言うならチリの国権はないのかと言うことになります。もっとも私も移民の一人ですから、大きなことは言えませんが。

(スポーツ)

1)サッカー
ベスト8に進出しました。週末、代表チームはサンティアゴに戻り準々決勝戦の準備をします。 今週はまずウルグアイ戦。何とか1対1の引き分け。そして最終戦の対パラグアイ。先の試合で負傷したブルガルとマリパンの代わりを誰にするか問題になりましたが、なんと0対2の惨敗。これほどひどい試合は最近には珍しいほど。このレベルではどこにも勝てません。パラグアイは自国で、毎年レベルが下がって心配と言われているレベルのチームです。そのチームに完敗。ベスト8に入ったからと言って、次の試合で終わるのでは。
10チーム中8チームが予選突破なのですが、本当にやっと、と言う感じ。
チリは4試合が全部終わり勝ち点5,月曜日のほかの4チームの試合がありますが、チリが4位になりそうです。
その場合はほかのグループの1位(ブラジル)と対戦します。


以上