チリの風 その910  2020年10月19日ー25日

とうとう投票の日が来ました。
さて今週のサンティアゴは毎日かなり暑いけど最高気温が30度に少し届かないという感じの日が続きました。
気温が上がっても湿度が低いので、散歩をしていて日陰にある公園のベンチに座ると汗も引き、おまけにこの時期いつも風が吹いているので最高の気分になります。日本の夏とかなり違いますね。
私の住むロス・ドミニコス地区のレストランはショッピングモールの中の店を含めほとんど全部営業中です。それを嫁さんと少しづつ楽しんでいます。今週は3軒の店に入りました。顔なじみの従業員もいます。そのうちの1軒は私の家の斜め前ですが、金曜日にオープンで最初の客になりました。
スポーツは5日も楽しみました。日曜日のマラソン練習はいつもの4名で実施。ルートに3カ所の投票所があったので、歩行者道路は人であふれていました。そした昼食後に、投票所に行きました

(政治)

1)ピニェラ動向
 コロナの問題がひどいマゼラン州(12州)の州都プンタ・アレナスを訪問し現地の州知事などと対策を含め各種の面談。そのあと、海軍とマゼランの記念式典を行いました。日曜日の特別記事でピニェラ対UDI党の争いが書かれていましたが、最右翼のUDIはピニェラが自分たちの言うことを聞かなければ、すぐに対決するようで、現内務大臣が国会に召喚されていることももめる理由の一つとか。新内務大臣はUDI党員です。
次期の大統領候補の有力候補3名の中でなんと共産党のハドゥエ区長がトップになりました。ほかの左翼候補者もそろそろ出馬してきそうです。
2)新憲法
 マラソン練習をしているとき、多くの人が投票所に集まっているのを見ました。昼のニュースで一部の区では、投票所に入るのに長い列で、なんと数ブロックも続いていて、1時間以上並んでいると聞きました。私は午後の老人専用時間に行ったので投票所には全く問題なく入り、私のブロックに行くと誰もいませんでした。つまり1分で投票が終わりました。結果は・・・
 事前の予想では60・40で憲法改正に賛成が60%でしたが、今のところ(最終ではありませんが)80・20と改正賛成者が圧倒しています。投票は朝8時から夜8時までで、義務投票ではなく、自由投票でした。投票数が多かったのは市民の共感を得たわけですね。
 プロビデンシア区のレストランが制裁を受けましたが、投票の日はアルコールは販売できないのに客にビールを売ったらしい。。

(経済)

1)銅価格と為替
  銅の価格はポンド当たり3.15ドルと2018年6月以来の高い数字になりました。このためペソは強くなって1ドル781ペソになりました。少し前は1ドル800ペソを超えていたので、ドルに投資している人は泣いているとか。
2)新憲法とチリの将来
  ウォール・ストリート・ジャーナル誌に、チリで新憲法が成立すれば貧困層が増える、汚職が伸びる、自由が制約されるだろうと厳しい予測がされています。もちろんそれが当たるかどうかはわかりませんが、プロが何かの根拠で判断しているのでしょうね。その予想が当たるとチリは目も当てられないような惨めな結果になりますね。チリ共産党は現在の警察システムを変えべネスエラ方式にしたいとか???
  それから2020年代は始まったばかりなのに、それはチリにとって失われた10年となるとされ、この先チリの経済成長率は年2%を超えないだろうとか。そんなに長い間、今まで続いていた元気が元に戻らないのかな?コロナ問題のほかに昨年からの暴動騒ぎがここまで大きな影響を与えたのですね。しかしまだ始まったばかり、10年後ではなくそれ以前に元に戻したもの。、
  今週の発表ではチリの年金制度はラテンアメリカで最も優れているとなりました。世界のトップレベルですからラテンアメリカのトップは当然でしょうね。反政府運動では必ずこの年金制度AFPをつぶすと叫ばれます。民間制度を止めて政府が管理するよう要求しているわけです。言ってみれば親方日の丸方式ですね。

(一般)

1)マゼラン海峡
  ちょうど500年前の1520年10月21日。マゼランは大西洋から太平洋に入りました。いつも言っているようにマゼラン隊は陸地が見えると近づいて上陸し食料を略奪し、女性に性的暴行を加えて出発していったわけですが、世界1周の英雄という見方と犯罪部隊の悪リーダーともいわれます。ピニェラはマゼランの功績をたたえ、この地区をチリの領土として守りぬきたいとコメント。それからわずか100年ほど前に新しくチリ人になった欧州からの移民がこの地区に住んでいた先住民を、2万とか3万人と言われますが。殺していったというのも言いません。
2)マプチェの戦い
  今週はトラック9台に放火されました。ピニェラはマゼランやそのあとのスペイン人の侵略を称える考えは変えるはずはないが、先住民マプチェ(そのほかにも種族はいますが)の保護、連携・連帯意識を作ろうとできないのかな?テレビのニュースでマプチェが森林の私有地に入り、そこの警備人と向かい合う場面がでました。警備官はピストルを手にここから出ていくように言いますが、数の多いマプチェも武器を手にどんどん進んできて、警備官はピストルを足元に発砲。そういう事件は日常茶飯事のようです。200年前は逆にチリ人が中に入っていってマプチェを殺していたのでしょうね。
3)反政府運動
  先週の金曜日、イタリア広場でバケダーノ将軍の銅像の周りで大騒ぎと書きました。次の日の新聞の1面に出た写真でデモ隊が持っていた3本の旗が写っていました。チリの国旗と、マプチェの旗とコロコロの旗です。それはチリで一番人気のあるサッカーチームです。
  その次に10月18日の日曜日、暴動騒ぎ発生の1周年記念日に、その広場でデモ隊の喧嘩がありました。右翼と左翼の喧嘩かと思いましたが、違ってそれはサッカーのコロコロファンとチリ大学ファンでした。サッカー場で争えないので反政府運動でぶつかっているわけですね。しかし他の国の人には理解できないでしょうね。
  バケダーノ将軍の銅像がいつも壊されそうになるので、陸軍はその広場からほかの場所に移すことを考えているとか。その将軍は太平洋戦争に参加しています。太平洋戦争って第2次世界大戦と違いますよ。チリ対ペルー・ボリビアの戦争です。そのあと、彼は南部のアラウカニアでマプチェ弾圧に参加。最後は政治家になりました。ところでその日、ハドゥエ区長がデモ隊に入っていました。
  その日、デモ隊に燃やされて教会の塔が崩れ落ちたのが日本のニュースになったようですね。日本の知人・友人から、藤尾さん、大丈夫ですか?というメールが届きました。
  さて今週の金曜日は、その定期デモがほとんどありませんでしたが、今日の日曜日、夕方からいつものデモ隊が集まり銅像の上に上って旗を振っていました。長い布に1973年を忘れないと書かれてありました。軍事革命の起きた年です。
  社会格差について2006年から今年までの調査で、厳しい問題があると考える人は2006年の54%から安定していて2018年には48%に下がっています。それが昨年から急増し昨年67%、今年は77%とチリ社会が破綻していくようです。私はここに1979年から住んでいますが、この2年でおかしくなったとはとても思えません。誰かが民衆を操っているのでしょうね。
4)コロナ問題
  一段落したようで、特に目立った話題はありません。今日の投票にもマスクを着けて、前の人と距離を取って、投票に必要なペンは各自が持ち寄るようにという指示が出ていました。

(スポーツ)

1)サッカー
  リベルタドール杯に参加しているコロコロとカトリカのグループ最終戦は今週行われそれぞれは敗戦、勝利でした。コロコロはグループの最下位、カトリカは3位で終えました。国内リーグ戦はあと1試合ですが、首位が変わりました。ウニオン・カレラが首位、2位はウニオン・エスパニョーラそしてカトリカは3位です。ただしカトリカは途中で中止になった試合を含めてまだ2試合を残しているので、それを1勝1引き分けにすれば首位に戻ります。さぁどうなるかな。


以上