チリの風  その964  2021年11月1日-7日

今週の最大の話題は土曜日に4人でアポキンドの滝に行ったことです。それは8時間コースですが、その日は7時間半で歩きました。仲間とそうした歩きを楽しめるのは最高の幸せです。晴れた日でしたが、気温は26度とそれほど上がらず、運が良かったです。その日、一日で2リットルの水を飲みました。でも滝の水量は以前よりかなり少なくなっていました。

その他では静脈血栓症のための血液検査をするためチリ大学病院に。いつも患者が長い列を作るので、朝6時半過ぎに出発。病院に7時半に着いたら、もう一部の受付の係員は仕事を始めていました。私のように月に一度ならともかく、彼女たちは毎日、そんな早くから働いているわけで、大変ですね。
水曜日の夜中に地震がありました。実家に行っていた嫁さんから12時過ぎに電話がかかってきて、かなり揺れたけど大丈夫と聞いてきました。私は寝ていて気が付きませんでした。熟睡していたのか感覚が鈍くて気づかなかったのかどちらかですね。前回の大地震から10年経ちましたから、いつまた地震が来るかわかりません。近くにサン・ラモン断層がありますが、その丘に多くのマンションが建っています。よくそんな危ない地区の住居を買うものですね。大地震で倒壊するのは時間の問題と思われます。

ラソンは週日、一人でちゃんと10キロ走りましたが、日曜日の仲間との練習は前日の滝歩きのため散歩にしました。

(政治)

 1)ピニェラ動向
   マプチェの射殺事件に関連して、既に2週間以上経過した軍隊の南部派遣を継続するよう議会に承認要請しました。
   それに関してモネダ宮殿で閣議を招集して同問題の検討をしました。
   これに関連して(一般)3のマプチェ問題に詳しく出ます。
   そしてキリスト教福音派の日を祝って、ピニェラはモネダ宮殿に同派の人たちを招待し、お祝いの会を持ちました。
 2)新憲法委員会
   与党グループがUDI党とそれ以外のグループに分裂しました。大統領選挙のケースと同じですね。それとは別に元ニュースキャスターの委員は、同委員会の中で右翼系の諸党の動きには厳しいものがあり、彼らと一緒にやっていく気がしなくなったと同グループ辞任を表明。左翼系が委員会の多数を占めるので右翼系は締め付けがきつすぎるのでしょうか。
   委員の一人の先住民がマプチェが射殺された事件に関し緊急記者会見を開きました。マチと言う称号で知られる女性ですが、最初はマプチェ語で、それからスペイン語で演説。「一体いつまでチリ政府はマプチェを殺し続けるのか?」としました。
   私は、昔、アルト・ビオビオに旅した時、彼女と偶然会って話したことがあります。彼女はその地区の先住民のリーダーでした。近くの川にダムが作られた時、彼女は建設会社からお金を抜いたと言う噂を聞いたことがありました。噂が正しいかどうかは分かりませんが。この女性は委員会の議長をしている人とは別の女性です。
 3)大統領選挙
   新左翼の候補者ボリッチがコロナ検査で陽性になりました。彼はもちろん、他の候補者も濃厚接触者として厚生省は数日の自宅待機を要求しました。
   このため支援グループはともかく、候補者は演説会などのどこにも行けない状態です。(ほかの候補者はPCR検査が陰性だったので来週火曜日から通常行動が認められます)
   そこでこれはボリッチの作戦だったと言う噂があります。どうでしょうか?
   ボリッチの政策が発表されたのでその検討が進められています。昨年の選挙以来、チリは左翼が大多数と思われていますが、今週の世論調査では極右のカストが1位を占めています。
   もし彼が大統領になれば、ブラジルの現行右翼大統領と似たタイプになるだろうと言われています。
   決選投票がボリッチ対カストになれば昔のアジェンデ対ピノチェットのイメージがでてきます。
   ちょうど50年前の11月、キューバからカストロはアジェンデ援護のためチリ入りして、そのまま居残り、なんと24日も滞在しました。
   選挙まであと2週間ですね。
4)国会
   国会でピニェラ弾劾の委員会がありました。投票の結果、同票になり弾劾を推し進める案は消えました。ただ来週の本会議での投票はこの結果とは全く別に取り扱われます。鉱山の売買に不正があったと言う件は裁判所の手にありますから、それを踏まえて議論すればよいのではと思いますが。
   厚生年金の4回目の引き出しに関する投票も来週です。私には全く意味がないと思われますが、左翼・右翼が面子で戦っているようです。
   最近、投票率が低いので次回から選挙を義務制にする動きがありましたが、国会で改正するに至らず、次回の選挙は自由投票になります。
   政治清潔度ランキングが発表されましたが、それによると1位はデンマーク、日本は21位。チリは34位でした。南米ではウルグアイに次いで2番目。詳しいことは分かりませんが、結果を見るとそんなものかなと言う気はします。
   いつもチリの政治はアルゼンチン、ブラジルよりはマシと思います。

(経済)

1) 経済成長指数イマセックが発表されました。その9月の指数は前年対比15.6%アップと予想以上の高い数字でした。
2) 銅価格と為替
   1ポンドは4.41ドル、為替は1ドル815ペソと先週とほぼ同じ。鉱山関係者の人と話す機会がありますが、銅価格が高値安定なので、今年は利益が出そうですと喜んでいます。専門家のコメントでは中国経済の動きが怪しくなれば銅の値段はすぐに下がるとされていますが、同じことを毎月言っていますね。

3)株式市場
   今週、一時株価が3.1%もあがりました。一日としては1年ぶりの良い数字。もっとも平均株価は4400ポイントくらいで一時の5000ポイントとはまだ程遠いです。

一般

1)コロナ問題
  7日連続で感染者比率が3%を越えました。また土曜日は感染者数が2895人と7月初め以来の最大の数字です。感染者数は11000人を超えたままです。それでも政府の規制はそれほどでもなく、先週のサッカーの試合、カトリカ対コロコロは3万人が観戦し、殆ど満員でした。それなら病気の感染はあるでしょうね。
  このためワクチン接種の希望者が拡大し、接種所に長蛇の列が出来ています。接種所によって、週末もオープンしている所があります。
  さてコロナによる各国の死者数が調べられていますが、それを基に平均年齢がどれくらい減少したかが発表されました。2020年で人口10万人当たりの年齢減少が大きかったのは1位はロシアで男性は7歳、女性は5歳減少とか。チリの場合は世界14位で男性は2.4歳、女性は1.1歳でした。

2)マプチェ問題
  南部ビオビオ州のカニェテでマプチェのグループが軍隊と衝突し、銃撃戦になりマプチェ側に死者1名、負傷者3名が出ました。
  然し銃撃戦になれば、軍隊側にも負傷者が出そうですが、一方的にマプチェ側だけでした。銃を扱う能力に差があると言われるかもしれませんが、私には不思議です。
  ただ、一般の人やマプチェ側のコメントでは、政府発表とは全く異なっていて一方的に軍隊が発砲してきたとなっています。
  殺された人はデモに参加していたのではなく、家に帰るためそこを歩いていただけとか。
  先年、マプチェの青年が警察に射殺された時、同じように銃撃戦になったと政府は発表しましたが、全くのウソで警官が遊び半分に(???)発砲したことが分かり、その警官は裁判になっています。今回も同じようなケースだったと言う可能性はあります。
  今までと同じくトラック・重機への放火に加えて貨物列車が燃やされました。同地区にある下院議員の別荘にも数名が入り込み、トラクターなどを燃やしました。
  マプチェ側の重火器を所有したグループがデモ行進をしているビデオが公開されました。最後は全員が空に向かって発砲しています。つまりマプチェグループが武装しているのは自明です。
  マプチェ側は、自分たちの領土から出て行けとしています。彼らはここに2回の侵略があったとします。最初はスペイン人、そしてチリ人だとします。これは歴史的にみれば正しいですね。1500年代にインカを破ったスペインがチリに侵入しています。
  今から200年ほど前にチリが独立した時、テムコがあるアラウカニア州はチリ領土に入っていませんでした。その後、チリが侵入を始めました。
  「マプチェは差別をされていると訴えるが、チリ中どこに行っても貧困で苦しむ人間はいて、それはマプチェだけではない。」とするコメントがありますが、違う問題を混ぜているのですね。
  マプチェ問題と関係ありませんが、今週もいつものように金曜日にサンティアゴのイタリア広場周辺でデモがあり、道路封鎖などから混乱が起きました。

(スポーツ)

1)サッカー
  面白い展開になっています。コロコロは選手がコロナから回復するまで待ってほしいと火曜日に予定されていた試合を土曜日に延期させました。
  2位のカトリカはその前に試合をして勝ったので、一時首位につきましたが、土曜日の結果はコロコロの勝ちでまた首位は入れ替わり。しかし日曜日のカトリカ対チリ大学の宿命の戦いでカトリカが勝ったのでまた首位に返り咲きました。もちろん次のコロコロの試合の結果で様子は変わりますが。
  来週11日にW杯戦の南米予選、チリ対パラグアイの試合が敵地であります。


以上