チリの風  その909 2020年10月12日ー19日

今週、マラソン練習をするとき、半そで半ズボンで走りました。今シーズン初めてです、夏が近いですね。毎日30度近い温度になるサンティアゴです。
火曜日、サン・ラモン山岳公園に入りましたが、8時に公園がオープンするとき長い列ができていました。週末ならわかりますが、夏休みでもないのに週日にそんなことは初めての経験でした。学校が閉まっているし、ほかにすることがない人がそんなにたくさん山歩きをしているのですね。4時間ほどで2万歩強を歩きました。日曜日のマラソン練習はいつもと同じ仲間4人で楽しく10kを走りました。早い仲間は40分台、私は残念60分台。60分が切れませんでした。いつかそのうち。

(政治)

1)ピニェラ動向
  ピニェラを支持するのは18%と低くなっています。もう任期の終わりまでこの数字は変わらないでしょうね。今週、ピニェラは元大統領のフレイ、ラゴスとテレビ画面で面談、彼らと現状について話し合いました。もう一人の大統領バチェレットは都合が悪く参加していません。右のピニェラが左の元大統領に相談しているわけですね。会談の詳しい内容はともかくチリでは右も左も同じようなものだということになります。
2)国会
  前厚生大臣マニャリッチを糾弾する会議で、73対71位の僅差で彼は無罪となりました。有罪になるとどんな処置をとるのかわかりませんが、もう前大臣なので大臣職を辞めさせられることはないですね。彼は自分が大臣をしているときに一部の区長ともめたことを反省すると謝りました。次は内務大臣が国会に呼ばれます。
3)昨年の10月18日(暴行事件の開始された日)以降、チリは国としての危険性が高まったのかと問う特集記事がありました。株式市場はその日から1年間の比較で日経平均は7.1%、ダウジョーンズは6.9%上昇しましたが、チリは37.3%も下落。もっともブラジルも31.1%落ちています。為替では1年前を100とするとチリは115、ブラジル通貨は146、アルゼンチンペソは206ですから他国に比べるとチリペソは大きな動きはありません。そのほかの幾つかの指数も考慮して、結論としてチリの危険指数はブラジル。コロンビア、ペルーなどと比較すると安定している由。

  国際機関の発表で経済・厚生・教育などの分野を総合した南米の区・都市のランキングでベスト10にチリから5つが入りました。首都圏やバルパライソ市などですが、チリの現状を見ているとそれほど住みやすいとは思えませんが、ほかの国はもっとひどい状況なのだなということがよくわかります。トップはウルグアイモンテビデオでした。

  来週、チリでは国民投票がありますが、今日はボリビアの大統領選挙の日。ボリビア人が多く住むチリ北部ではこの週末は自宅待機令なので、投票できませんでしたが、首都圏ではラス・コンデス区で投票所が設けられ、ボリビア人が多く投票しました。

(経済)

1)IMFの発表でチリの今年の経済成長はマイナス4.5%になりそうとか。この数字は前回推定のマイナス5.2%より良くなっています。
2)9月の倒産は474社で前月より56%アップ。前年対比でも40%アップと、毎月ひどくなっているのが確認されています。ただここに来て自宅待機令が緩んできたので10月からこの数字はよくなっていくとみられます。失業率が底を打ったように。
3)銅の価格は3.05ドルと高値が続き、為替は1ドル796ペソとほとんど動いていません。

(一般)

1)12日の月曜日は祝日でした。その日はコロンブスアメリカを発見した記念日です。アメリカでコロンブス像を倒す抗議デモがあります。今週も起こっています。彼を英雄とする考え方と、犯罪人と考えるグループがあるわけです。日本ではそれは知られていないかな。チリでは1921年から、その日を祝日にしています。つまり右翼も左翼もその日を祝っているわけです。スペインからの侵略者がラテンアメリカで殺人・暴行・略奪を繰り返したことは明白ですが、その子孫が今でも権力を握っているのでその犯罪について問題視されることはありません。今週もマプチェの問題は継続していますが、彼らはチリ政府(略奪者の後継)と戦う姿勢を維持しています。チリが独立した2百年前はマプチェの拠点のテムコ地区(9州アラウカニア)から南はチリ領土ではありませんでした。
 2)コロナ問題
  今週、感染率が4.5%の日がありました。一番ひどかったのは6月ですが、38%の日がありました。つまりPCR検査を受けた人の3分の1以上が感染者だったのですね。今は20人に一人と激減です。このまま収まっていくのでしょうか。厚生省は勢いは毎週下がっていると発表していますが、また来年に現在の欧州のように第2波が襲ってくるかもしれませんね。現在、チリでは首都圏より南部の州に問題が大きくなっています。
3)反政府運動
  いつもの通り、金曜日にサンティアゴのイタリア広場に2千人ほどのデモ隊が集まりもめました。デモ隊の暴力行為に野党も拒否反応を示していますが、共産党だけはデモ隊の動きを支持しています。人権委員会の発表ではこの1年間に起きた人権問題の90%が警察によるものとしています。先日、デモ隊の一人が川に落ちてけがをした件で、その人は警官に投石を繰り返し、警官グループが迫ってきたとき逮捕されるのを避けるため、逃げはじめ、そこで警官に川に突き落とされたのか、間違って(事故で)川に落ちたのか調べられています。
  デモ隊への放水で車いすの人が道路に投げ出されたのがニュースに出ましたが、そんなひどいことをまた警察がと言われた時、その車いすの人間が、直前に警察の装甲車に投石していたのが流れました。車いすに乗って暴力デモをする人がいるのですね。その日、デモ隊の一部が、広場にあるバケダーノ将軍像を赤く塗りました。それを内務大臣はモネダ宮殿のモニターで見ていました。全部塗り終わってから警官が広場に入ってデモ隊と対決しましたが、何故その前に来て,像にペンキを塗るのを止めさせないのかな? 土曜日に区役所の人間がその像を元の黒色に塗りました。すると日曜日のデモでまた赤く塗っています。どうして?
  
  金曜日のデモの後、デモ隊の一部は近くの大きな薬局に入り、そこは危険を察して錠をかけていましたが、ガラスを破って中に入り薬品を盗むほか、レジを壊して現金を取りました。昨年と同じく略奪行為がこれから日常になるのですね。
  警察・陸軍は何をしているのかな?そんな犯人を捕まえても人権委員会からクレームは出ないと思いますが。そんな暴力デモが週末も続きました。

  この日曜日は反政府運動発祥1年記念でイタリア広場に警察推定で2万5千人、マスコミでは10万人が集まりました。道路の封鎖(タイヤなどを燃やす)、建物へ放火(警察の持つ教会)がありました。教会の塔が焼け落ちました。一時消えたようでしたが、9時のニュースでまた出火したとか。ほかの建物への放火もありました。そこだけでなくプエンテ・アルトでは警察署にモロトフ爆弾が投げ込まれたりしています。首都圏だけでなく、地方で例えばラ・セレナ市で同じような暴力デモがありました。昨年起きた事件を見直してどうすればそういった事故を抑えられるか検討したはずですが、現状は昨年と同じ。経験を活かしていません。それではピニェラの人気が上がるわけはないですね。今夜9時過ぎに政府はこれらの事件の総括をしましたが、暴力デモにもかかわらず、地下鉄と公共バスには被害が出なかったと発表。その内務大臣に記者団から質問が出て
   1)どうしてピニェラが出て政府見解を発表しないのか
   2)昨年の反政府デモの原因になった社会格差の是正はどうなったのか
  内務大臣は私は大統領の指示の下で働いている、社会格差是正のためこの1年間、働いてきたと回答。次の日曜日は憲法改正を問う投票日ですが、どんな問題が起こるでしょう。警察・陸軍は狼藉行為を抑えられるかな?

(スポーツ)

1)サッカー
 ワールドカップの南米予選でチリは第2戦をホームでコロンビアと争い引き分け。2戦目を終えて0勝1敗1引き分けで下位低迷です。
 FIFAの最新ランキングではチリは世界の17位。実力はもっと低いのではと思われますが。
 日本はその近くの27位です。
 チリはアメリカ杯で連勝した時の選手が、もう年齢が上がっているのに、まだメインで出ているわけで、レベルが落ちるのは当然。
 若手の成長がなければ、これからも世界大会には出られませんね、
 国内リーグ戦は首位のカトリカが不調で、先週は引き分け、今週は敗戦と勝ち点を稼げず2位と同率になっています。今週の試合は球場が停電になったため試合は終了していませんが、50分まで0対2で負けていたので敗戦はほぼ間違いなく、リーグ戦の行方が分からなくなりました。


以上