チリの風  その948  2021年7月12日ー19日

最低気温が連日マイナスのサンティアゴです。と言ってもマイナス1度とか2度です。
今週の山歩きは石塔巡りコースを久しぶりに仲間と歩きました。今年は雨が降りませんが、登山道のそばの木が何本も枯れて倒れていました。可哀そう。山から街を見るとスモッグで覆われていました。毎年の通りですね。
もちろんマラソン練習も続け10キロを走っています。
嫁さんと歩いていたら青空市場でトピナンブル(菊芋)を見つけたので喜んで3キロ買いました。コロナ問題になってから見たことがなかったのでずいぶん久しぶりです。毎日、野菜サラダと料理に加えてその味を楽しんでいます。
日曜日は大統領選挙の予備選挙。私は朝8時に家を出て投票所に。5月の選挙と同じところ。朝早かったので他にはほとんど誰も見当たらず、投票を済ませました。嫁さんは実家の方で投票しましたが、昼頃には長い列ができていて1時間半も待たされたとか。
来週から首都圏は都市閉鎖がなくなるので、学校のサッカー教室、仲間とのマラソン練習など今までの楽しみがまた戻ってきそうです。うれしい。

(政治)

1)ピニェラ動向
APECの面談がテレビ画面を通じて行われました。日・米・中・ロなどの首脳とピニェラは堂々と会話をしました。少しは役に立つかな?
2年前、社会暴動のためその会議のチリ開催が不可能になったのを思い出します。
2)大統領予備選挙
今週の最大の話題ですが、投票率は極端に低く、5月の投票の半分くらいでした。つまり次の大統領選挙は投票が義務制度になるかもしれませんね。
さて、驚きました。最右翼UDI党と最左翼の共産党候補者が有力と言われていたのに、二人とも負けて本選挙に出られません。右翼側は独立派の前国立銀区総裁のシーシェル、左翼側は新左翼の若手ボリッチでした。彼は10年前、ペンギン運動と呼ばれた学生運動で名前を上げ、国会議員になりました。
もちろん本選挙には今日の予備選挙に出なかった社会党キリスト教民主党も候補を出しますが、有力なのは今日勝った二人。両極端が出ないので、私も落ち着いて候補者を選べます。
然し私が政界を見る目がないのはわかっていますが、プロと言われる人の予想も全く当たらなかったわけで、チリのプロも大したことはないですね。
3)新憲法委員会
民衆リストグループは新憲法委員会でかなりの勢力を誇っています。
この金曜日、街の中心地のアルマス広場で政治犯釈放を要求するデモがあり、デモ隊は警察と対決、2名が逮捕されました。その二人は新憲法委員会の委員で民衆リストに所属しています。そしてその時間は委員会が行われており、その二人は会議場を抜け出してデモに参加していたわけです。(そんなこと許されるの?)
しかし新左翼の過激グループのような組織が新憲法を左右するのですね。不思議な気がします。
以前、警察と対決した学生グループがモロトフ爆弾を投げつけたことがあります。
その学生が後に逮捕され、現在、勾留されていますが、その家族は私の息子は政治犯だと釈放を要求しています。
共産党グループが、新憲法に関し3分の2の認証がなければ新しい動きが認められないのはおかしい、それを多数決に変更せよとし、そうでなければ委員会をボイコットすることも考えるとか。 
委員会が始まって2週間が過ぎましたが、この委員会について世論調査では51%の人が彼らはよくやっている。その成果が期待できると考えています。
私の様に悲観的な意見は少数派なのですね。
さてこれは私の推察ですが、この新憲法委員会で左翼グループはマプチェの独立を認める動きをするかもしれません。マプチェの中心地アラウカニア州(第9州)の完全独立は無理でも半自治州になり、同州の運営をマプチェが実施すると言うものです。今は冗談に聞こえますが、この委員会ならそれくらいやるでしょう。
もっともその委員会が決定したことをチリ国民が是非を決めるわけで、すべての作業を拒否して現行憲法を継続となれば、ほとんど冗談の世界ですね。

キューバ問題がチリでも爆発
同国領事館の前で政府側と反政府側のキューバ人がぶつかり、けが人が出ました。デモの参加者は、「私はトイレに行くとき新聞紙をもって行っていました」とか。
つまりトイレットペーパーがないわけですね。店にはあるがそれを買う金がないのか、田舎では店に品物がないかのどちらかです。
キューバでデモ隊が多く逮捕されていますが、国連の人権委員会の動きはありません。一体何をしているのかとクレームが出ましたが、やっとバチェレットはデモで逮捕された人の釈放を願うと発言しました。
これに関して新左翼共産党の対立が深刻化でした。共産党は他国のことに口を出すなとしていますが、新左翼は国民の声を聞けない政府はどの国でも問題としています。
キューバと同じような問題を抱えるべネスエラですが、今週の発表ではチリの移民の41%がべネスエラ人でした。2番目はペルー人。
生まれ育った母国にはもう希望を持てないとする人が移民になるわけですね。今週、べネスエラ野党側の人間がチリに亡命を依頼し、チリ政府はそれを受けました。べネスエラ側は怒り心頭で、「わが国とチリの友好関係を傷つけるようなことはやめてほしい」と。
私はキューバもべネスエラも行ったことがありますが、土地の人と話をしていて彼らの生活が大変だと言うことは良く分かりました。
4)州知事の就任
先の選挙で選ばれた新知事が今週から仕事を始めました。組織が無茶苦茶とか決裁が順当ではないとか、前任者と対決するケースがかなりありそうです。

(経済)

1)チリ中央銀行公定歩合を引き上げました。
0.5%だったのを0.75%に。もちろん借金のある人には直接影響しますね。経済が活性化してきているという証拠でしょう。
2)銅価格と為替
1ポンド4.24ドル、1ドルは746ペソと大きな動きはありません。銅価格が高値安定はチリにとって最高のプレゼントです。
3)イマセックの発表でチリの6月の経済成長は18%と過去最高の数字。もっとも毎年こんなに成長するわけはなく、来年の予想は3%前後です。
5月の家屋の販売は前年対比110%と倍になっていますが、その前年の2019年よりは低いとか。つまり昨年は最悪で少しづつ元に戻ってきていると言うことですね。

(一般)

1)コロナ問題
先週の予想が当たって、自宅待機令が大きく崩れています。首都圏は全部の区で来週の月曜日からレベル3になって週日も週末も自由に歩けるようになりました。少し前、日に9000名も新規患者が出ていたのに、今週は1000人、2000人と急激に下がっています。陽性率も10%を越えていたのに今週は毎日3%。
ワクチン接種の結果がこの数字で証明されています。さぁ終焉に向けて進むかな?
中国ワクチンの効用について発表されましたが、チリの例では接種後に病気になったのは2%、入院したのは0.1%となって、ワクチンの有効性が確認されています。
こうして国民の80%の生活がレベル3になって通常化しているのに、まだ全日自宅待機のレベル1の地区もあります。
土曜日に南の地区で住民がそれに抗議して道路を封鎖しました。
ただし国境は今月25日まで封鎖されます。もちろん近々オープンされるのは自明ですね。
2)マプチェ問題
先週、過激派グループのCAMのリーダーの息子が警察との銃撃戦で死亡しましたがその葬式の席に護衛団として覆面をした複数の人間が機関銃をもって式場に現れ空砲を発砲しました。
政府はそのグループを追跡するよう指示を出しました。
CAMの森林会社襲撃で発砲され、重傷の職員が出ています。
アラウカニア州の平均収入は全国平均より約30%低く、最低レベルです。
3)祝日
この金曜日はカトリックの祝日でした。3連休だったので、金曜日と土曜日にサンティアゴから26万台の車が郊外に出たとか。隣州のビーニャの海岸に観光客が溢れました。レストランのオーナーはニコニコ顔でした。
4)地下鉄7号線
レンカ区とビタクラ区の間を結ぶ7号線がいよいよ決定しそうです。26キロの距離で19駅が作られるとか。路線の近くの人は完成の日を夢見るでしょうね。

(スポーツ)

1)サッカー
国内リーグ戦が再開しました。注目のコロコロ対カトリカは引き分け。
10試合が終わった段階で首位は勝ち点20のラ・カレラ、続いて19のアウダックスとカトリカ、コロコロは17で第4位です。
しかし国内リーグ戦よりチリの女子代表がオリンピックでどこまでいけるかどきどきします。彼女たちは今、札幌ですね。がんばれ。


以上