チリの風  その947  2021年7月5日ー11日

先週と同じく最低気温は零度近いですが、日中は太陽が出てポカポカする日和が多かったサンティアゴです。
ただ火曜日は目が覚めると地面が少し濡れていました。霧雨でしょうね。その日、チリ大学病院に血栓症の血液検査に行きました。朝6時45分に家を出ましたが、真っ暗です。早く行かないと病院の受付が長蛇の列になるのでそんな早朝に出ます。支払い・採血・医師の面談と流れます。
すべてが終わってから地下鉄で2駅歩いて中央市場に行きました。まだ地面は濡れているのに露天商がずっと並んでいます。100ペソでも稼ぐ必要があるので通行人に声を掛けます。毎日こうして冬の日でも1日中外にいるのはきついですね。
今週はサン・カルロス山岳公園が再オープンしたので山歩きをしました。第1展望台へオリジナルルートで。登りははヨレヨレでしたが、下りで元気が出て、次回はもっと難しいコースを歩く気になりました。戻ってきて風呂ですが、いつものシャワーでなく、足を延ばして湯船につかり贅沢な気持ちになりました。
ラソン練習も文句を言わずにちゃんと10キロを走っています。
土曜日に息子一家と一緒に娘も来て楽しく会話。最後にフジオ ファミリーバンドでアンデス民謡を一緒に歌いました。

(政治)

1)新憲法設立委員会
 しかし、そんなアホなこともあるわけですね。先週の日曜日に第1回の集まりがあり、次の日、月曜日に第1回の会議のはずでしたが、なんと会議場の機械がちゃんと機能せず中止。火曜日はそのマイクやビデオの修理で休み。
 チリ大学長がそれなら私たちの会議場を当分使用されてはいかがですか提案したとか。
 何とか、火曜日に修理が終わり水曜日から会議が開始。政府の担当次官はこの不手際で辞任しました。
 その会議場は昔のチリの国会が置かれていたところです。現在の国会議事堂は隣州バルパライソに設置されています。
 その旧議事堂はサンティアゴの考古学博物館の隣で、中に入ったことはありませんが、私は良くその近くを歩いています。

 会議が始まって直ぐに政治犯の釈放を求める声が出ました。議事堂の外にその政治犯と言われる人の家族が並び憲法会議は市民の社会格差を是正するのを最重要事項にするよう要求しています。私もそれは正しいと思いますが、
 地下鉄の駅を壊し、建物に放火し、店に入って略奪行為をするのは格差是正とは関係ないと思いますが、どうでしょう。
 そういう行為は長い間、出ませんでしたが、今週また集団で略奪行為がありました。早く政治犯を釈放しろと圧力をかけているのでしょうか、頭の古い私は、そういう犯人を逮捕して刑務所に入れてほしいです。
 なんと新憲法委員会で、この議題が可決しました。つまりそれらの政治犯、さらにマプチェで刑務所に入っている囚人を政治犯として釈放するのを委員会の目標にするというものです。3分の2以上の委員が同意したのですね。
 金曜日にイタリア広場にデモ隊が集まり、政治犯釈放を訴えました。先年では金曜日の大騒ぎが毎週でしたが、最近では珍しい事件で、警察隊と衝突。逮捕者が出ました。
つまりこれからまた毎週同じようなことが起きるのでしょうね。地下鉄の営業には影響しなかったのは幸運です。
 またその他の大事件ですが、現行規制では新憲法委員会は新規の提案を3分の2以上の賛成がなければ取り上げませんが、それを共産党過半数にしろと言い始めました。そうなると大した議論がなくても現法憲法をすべて改善・改正いや破棄できるでしょうね。
 この委員会は現行のチリの国歌・国旗も変えるとか???
 いつも同じことを書いていますが、この委員会はチリの将来を大きく変えますね。良い方向にか悪い方向かは分かりませんが。
 2)大統領選挙
 予備選挙に与党側から4名候補者が出ています。
 最右翼のUDI党から一人、中道右派から3名です。私の想像ではUDIを支持する市民は3分の1、中道を支持するは3分の2です。つまり中道が一人に絞られれば、絶対その候補者が勝ちます。しかし現行では逆に最右翼が勝つでしょうね。そんな簡単なことを中道派はわからないのかな?
 野党側は共産党が勝つでしょう。そうなると予想通り大統領選挙の決選投票は最右翼と最左翼の対決になる可能性が高まります。
次の日曜日18日に大統領予備選挙があり、その6名の誰かに投票します。

 さて私はそのどちらにも投票したくないのですが、50年前のアジェンデとピノチェットの再現みたいです。
 今週、テレビのニュースでアジェンデがチリの銅鉱山を国営化して50年がたったことを報道していました。
 それらの鉱山は数年後、合併して現在のコデルコ銅公社になりました。世界最大級の銅の会社ですが、それはアジェンデの国営化から出来たわけです。この銅鉱山国営化はその後、チリを地獄に落とす第1歩になったわけですが、それが現在ではチリ国を助ける大きな手段になっています。コデルコの利益が国庫に入り今回のコロナ問題からの市民援助に大きな役割をしているのは自明です。
 そうなると右翼もアジェンデを批判できませんね。

3)国会
 今審議されているのは、同性間の結婚と、投票の義務化の2つです。

(経済)

1)外国投資
 今年の1-5月の外国投資は66億ドルで、昨年同期の20億ドルを大きく上回り、正常化してきたとか。さぁ、どうでしょう。
 新憲法委員会の動きを見ても、この先チリが落ち着いて、安定した進歩を見せるとはとても思えませんが、プロの人の見る目は違うのですね。
2)物価上昇率IPC
 5月のIPCは0.1%。過去12か月で3.8%でした。上昇の続くガソリンに関して政府は税金を下げることを考えています。ガソリン価格には通常より高い税金がかけられていますから。
3)労働時間
 世界の労働時間の比較が発表されましたが、南米ではコロンビアが一番長く2172時間、チリは1825時間。OECD平均は1657、日本は1598、ドイツは1331時間とか。

(一般)

1)コロナ問題
 大きな動きがありました。今週の新患者数は2000人、3000人ほどで、陽性率が4%が継続です。つまり病気が収まってきているように見えます。
 ピニェラは大臣10名ほどを呼び、コロナ対策の本格会議を実施位。その結果、今までの待機令を緩める方向に進むことを確認しました。例えば、もちろん条件が付きますが、夜間外出禁止令を現行の夜10時からを12時からに遅らせる。ジムや映画・公演などの実施、サッカー場の観衆入場も認められそうです。
 2回接種をした人は他州にも旅行が認められます。(レベル2以上の地区のケースですが)
 同じようなことが昨年も行われ、夏休みの前でしたが、その後、病気が再発しました。今回は同じようなことをしても病気の拡散にならないだろうと思われるのはワクチンの接種が進み、もう少しで2回接種者が80%になりそうですから、集団免疫が見込まれるからです。
 うまく行くように祈りたいです。正常化と言うのは素晴らしいですね。コロナ問題の前の生き方をこれから継続したいです。
2)貧困家庭数
 民間の調査組織カセンの発表ですが、毎年チリの貧困層は減少していたのに昨年は逆に動きました。
 1998年は36%だったのが、毎年減少し2019年は一けたに低下。それが昨年は10.8%になりました。しかしそれにコメントがついていて、IMFの推定では12.2%になるだろう、政府の援助がなければ13.7%になっていただろうというものです。当たっているでしょうね。
  今週の発表ですが、失業率は下がっていないが、農業や建設業界では人手不足で困っているとか。正常化の動きは確かにあるわけですね。それをどう進めていくかが問題です。
2)マプチェ問題
  毎週のように継続ですが、今週も南部のティルア地区で森林業者の重機に放火していたグループを警察が抑えこもうとしたところ銃撃戦になり、グループの一人が死亡しました。その青年は同地区で最も激しい行動をとるCAMグループのリーダーの息子でした。
  死体が家族に渡されるとき、グループが警察がマプチェを射殺したことを糾弾すると騒ぎました。同時期にサンティアゴでもイタリア広場にデモ隊が集まり、道路を封鎖して警察批判のデモ行進。一部のグループは近くの商店の略奪行為。今までと同じ様子です。
  警察が青年を射殺するのは認められませんが、彼の所属するグループが数台のブルドーザーなどを燃やし、全焼ですが、ここは俺たちの領土だ、お前たちは出て行けと叫ぶのはどうでしょう。グループはピストルだけでなくライフル銃も持っていたのがビデオに写っています。
  それは500年前スペインがやったこと、200年前チリ政府がやったことと同じです。歴史的にみれば、確かにそこはマプチェの領土でしたから、チリ人がお前たちに権利はないと言えないのですが、200年後の現在では国際法廷でもうその理論は通らないでしょうね。勝てば官軍ですから。
  同地区で警察のグループ青年射殺を糾弾するグループが翌日、近くの町で森林業者を襲い、車、トラックや施設への放火を行いました。そこにはマプチェの権利を主張するビラが置かれていました。

(スポーツ)

1)サッカー
 国内リーグ戦はまだ始まりませんが、チリカップと呼ばれる、1部2部リーグを合わせたカップ戦が継続です。
 有力3チームのうちコロコロだけが残り、チリ大学とカトリカは早くも敗退です。


以上