チリの風  その953  2021年8月16日ー22日

天気予報が当たって、今週のサンティアゴは雨が降りました。予想では50ミリほど降ると言われましたが、私の地区ではそれほどではなかったようです。もっとも大雨で水害になった地区もあります。後ろの山脈は雪で真っ白になっています。雨は降らないと困り、降りすぎても困るわけです。ただ今週の雨は少しの助けになっても全般的には今年の雨不足の危機は消えていません。
今週もスポーツを楽しみました。山歩き、丘登り、マラソン練習です。ただ土曜日のサッカー教室は雨のため中止になりました。残念。
来週、南部の移住予定地フルティジャールへ出かけます。どんな旅になるかな?天気予報ではそこは毎日雨です。

さて、チリ人の知人から、日本ありがとうと言われました。???
なんでも日本の海上自衛隊がチリのプラットを讃える儀式をしたとか。プラットはチリ対ペルー・ボリビアの太平洋戦争で戦死したチリの海軍軍人です。プラットは武士魂を持っていたと海自が認めてくれてありがとうと友人は私に言ってきたわけです。

(政治)

1)ピニェラ動向
ニュブレ州で政府が建設した160軒の新築家屋の譲渡式に出席し、市民の喜びの声を受けました。
2)中道左派のピンチ
民主化して以来、中道左派はチリの政治に大きく関与してきましたが、今回の大統領選挙では、同グループの代表が大統領になれないどころか決選投票にも届かない可能性があるとか。
キリスト教民主党DC、社会党、そこから分かれたPPD党などですが、リーダーの高年齢化により国民に与える影響力を失ってきたわけですね。
そのグループの大統領候補を選ぶ内部選挙が土曜日に行われました。これは政府の運営ではなく同組織によるものです。百万人は投票するだろうと言われていましたが、内部では最低50万人はほしいとされていたとか。結果はわずか15万人でした。いかに市民の関心がないかと言うことが分かります。勝ったのはDCのプロボステでした。
そのことに関して元大統領のラゴスは政府が実施した先の大統領選挙の予備選挙に参加しないと言う極めて大きなエラーをした各党首脳に責任があるわけだとしました。
「そんなん素人の私にもわかるで」と言いたいところです。
野党の中のもう一つのグループ共産党新左翼中道左派を追い越すなんて、2年前には夢にも思わなかったですが・・・。
3)新憲法委員会
 二つ話題があります、この委員会では通常の過半数ではなく新事項の決定には委員の3分の2の承認がいります。それはやたらと現行憲法を変えないことと言う意味ですね。それを共産党過半数に変更しようと戦略を立てましたが、今週の委員会で既に決まった通り3分の2が決定条件と確認されました。つまり新憲法は現行憲法から変わるでしょうが、それほど大きな変更はないと言うことになりそうです。
先週、話題になったアランシビアの件は新憲法委員会の中の人権委員会に彼は籍を置くことになるが、軍隊に暴行された人が証人になるような集まりには参加できないことになりました。彼は市民から選ばれた私を排斥するなんて人権問題だとクレームしました。彼らが左翼グループを拷問したのは人権問題ではなく、それを咎めるのは人権問題なのですかね。

(経済)

1)銅価格と為替
  銅は週の半ばに3.9ドルと3月1日以来初めて1ポンド当たり4ドルを割りましたが、最後は4.1ドルと何とか4ドル台をキープしました。このため為替は1ドル790ペソとペソ安が続いています。
  銅だけでなく鉄の価格も下がっています。5月から下り始め、価格はトン当たり218ドルから160ドルと26%も下がっています。
2)経済成長
  アメリカ銀行の推定でチリの今年度の経済成長率は今までの推定8%を上方修正して9.5%になっています。
ピニェラは私たちの努力で数字は更に上方修正され、今年は2桁になるだろうとにっこり。彼の予想の10%まで行くかな?
同じ推定では、チリの来年は2%ほどの成長とか。
毎週、チリの風で書いているように今年は経済成長率は上がり、失業率は下がり、インフレも大きな問題はないと順調に今まで来ています。
しかし銅価格の落ち方がひどくなると数字は下がりますね。
今週、上記の情勢を見た政府関係者は現行の一般家庭への経済援助はここまで、もうこれ以上続けられないとしています。銅は命綱と言うのははっきりしていますね。大盤振る舞いはこれでお終い。ただし新聞の社説に、財政問題に触れ、社会問題・コロナ問題の2大課題を抱えている政府がその問題の解決・軽減に支出を増やすのは非難されるべきではないとしています。

(一般)

1)コロナ問題
 先週と同じです。チリのコロナ問題は落ち着いています。PCR検査の陽性率が週の初め1.3%でしたが、それは検査を始めて以来最も低い数字でした。ところが翌日、1.2%を記録、金曜日は1.1%、いかに正常化してきているかが分かります。
患者数は9000名まで行っていたのに、今週は一日400人の日もありました。
世界でコロナ対策が一番進んでいると言われたイスラエルがまた状況が悪化しているようですが、チリはまだがんばっています。素晴らしい。
ただ9月の建国記念のお祭りで群衆心理からそれまでのルールを守らず寄り添って踊り・飲みが実施されれば、また大きな波が戻ってくる可能性があると言われますが、政府はそれほど馬鹿ではないでしょうね。ちゃんとコントロールするはずです。

海外からの旅行者はチリ人とチリ在住の外人だけ入国できますが、ほかの一般外国人も入国できるようになる可能性が出てきました。政府は近々、その条件を提示するらしい。ニュースの特別番組でチリとペルーの国境の町、アリカとタクナの話が出ました。50キロの距離ですが、物価が大きく違うため、毎日アリカから何百人、週末は何千人もの人がタクナに行きました。買い物、レストラン、病院などすべてが対象でしたが、タクナに取ってチリ人は最重要客でした。ところが国境が封鎖されてしまったので、この1年半、全く交流はありません。商店などだけでなく、現地のバス・タクシーまで大打撃を受けているとか。大変ですね。

2)学校での授業
  新学年が始まったばかりの3月はたった15%の学校が通常の授業でしたが、今週はそれが47%になっています。逆に言うとまだ半分の学校はオンラインでやっているのですね。ただ大学は95%とほとんど正常化らしい。
 学生の88%はワクチンを2回接種しているとか。
世界大学ランキングで、1位はいつもハーバード大学ですが、チリからチリ大学が400番台、カトリカ大学が500番台に入っています。
3)マプチェ問題
 南部の州でロッジが放火され焼死者が出ました。
 ノルウェイから来た学者とピニェラ、そして大臣がモネダ宮殿で面談し、マプチェ問題を話し合いました。彼はチリ人には優秀な人材が多いが、マプチェとどのように話し合うかが上手くいってないように見えるとコメントしています。
土曜日の特集記事で、内務大臣が記者にコメントしていますが、マプチェの多く集まるラ・アラウカニア州では、一部の地区では警察が自由に往来できないとなっています。
彼らは麻薬を財源にして反政府運動を続けていますが、それも正常に調べられないわけです。今年、チリ全土で没収された麻薬は昨年の2倍以上です。
警察が、入れないなら軍隊を使えばよいと言われますが、政府の方針がはっきりしていません。
コロナ問題で隣国と自由に行き来できなくなったので、麻薬生産国に麻薬が溜まりすぎているらしい。これを運ぶためにグループが不法に国境線を超える由。今週も何人もの不法移民が逮捕されています。
ところでルシア・イリアルトが陸軍病院に入院しました。彼女は軍事政権を敷いたピノチェットの妻で、なんと98歳です。
彼女の眼には現在のチリはどんなふうに映るのでしょうか。

(スポーツ)

1)サッカー
観衆が入ったサッカー場で試合が行われています。もちろん満席ではなく一部だけですが。今週の話題はコロコロの活躍で16試合が終わった段階で首位を占めています。2位はラ・カレラ、3位はチリ大学。カトリカはその下です。
3)パラリンピック
 東京オリンピックに続くパラリンピックに出場する選手の紹介がされています。オリンピックはパッとした成績がなかったので、選手が帰国しても全くニュースになりませんでした。誰かがメダルを取っていればモネダ宮殿に招待され、ピニェラと一緒に宮殿前広場に集まったファンに挨拶するはずだったのですが。パラリンピックの結果はどうかな?


以上