チリの風  その898 202年7月27日―8月2日

いよいよ8月ですね。もう春も近いと期待しています。そうはいかないでしょうが。さて雨の多かった7月ですが、今週も来週もサンティアゴは雨は全くなさそう。もう雨季は終わりのようです。
ある日、最高気温21度最低2度の日がありました。
年初、私は現役バリバリの中高年だったのですが、長い自宅待機でヨレヨレ老人になりました。
今週から自宅待機が緩んだので、外に出て、少しでも昔の元気を取り戻そうとしました。新しい風が吹けばまた飛びたいですから。
いつか、「また10キロを走り切りました」と報告したいです。無理かな?

(政治)

1)ピニェラ動向
  二つ大きな出来事がありました。先ず、内閣大改造、そして年次教書発表です。
  内閣改造の噂は以前からありましたが、今週それを発表。6名の大臣を変えました。その中で内務大臣、外務大臣が注目されました。
  新大臣が魅力がある、前大臣より有能そうと思えれば改造の値打ちがありますが、私の目には全くそんな雰囲気はなく、ただ政治的背景から入れ替えたと見えます。
  与党の3大政党(UDI・国民改革党RN・エボポリ)の中で力関係から大臣を変えています。内務大臣はエボポリだったのがUDIになりました。すると先週まで政府・与党間の面談が中断していたのに。急に復活。理由は簡単でしょうね、不満があふれていたUDIが喜んで面談に参加したのでしょうね。外務大臣も有能に見えたのにメンツを立ててRNの古手議員に変えました。ピニェラのやり方にはがっかりします。
  そして金曜日の夜、バルパライソの国会で年次教書の発表。コロナ問題があるので招待された議員は50名とガラガラ。それでもまだ椅子が空いていたのは共産党の議員などが欠席したから。
  ピニェラは「このコロナ問題でチリは空前の危機になっているが、チリが建国して200年の歴史で大きな問題を抱えた ことは何回もあり、その都度、国民が団結して立ち上がってきた。その団結が今も必要だ」と演説を始めました。私はテレビの前に座って、さぁ何を強調するのかと楽しみでした。
  コロナ問題で始まり、その後に経済回復の手段の説明と順調でした。困っている市民を助けるというところでは、援助が国民の手に上手くわたっていないと自己批判するところもありました。これはいつもチリの風に書いてありますね。ところで、中間層に50万ペソの援助をすると言う政府案が国会で少し変更されて成立しました。このコロナで収入が減少した人に50万ペソの援助と、200万ペソほどの貸し付けを金利無しにするようです。この週で40万人ほどがこの特典を受領したとか。

  さて急激に増えている失業者を助けるための方針として、公共事業に前年の50%アップの資金を出しすぐに仕事を始める。零細企業に資金援助して仕事を継続させるなどのアイデアが出ました。その後、話が長く、90分も話しましたので、素人の私はもう疲れてしまって、途中でぼんやり。
  少年院の子供が適切な処置を受けていないと長々と話したのにはがっかり。それは|今、話すことではないでしょうと言いたいほど。この演説に関し、野党側から自己批判が足りないとコメントが出ましたが、確かに公約を実現するのが最重要ですね。最もバチェレットの時も同じだったような気はします。
  (全然、演説とは関係ありませんが、そのバチェレットは母親の死去でスイスの国連事務所からチリに戻ってきていましたが、先週、戻っていきました。チリにいたのは7月3日から25日ですが、その間、全くニュースに出ませんでした。???)

  市民への経済援助が上手く行っていない状況から、厚生年金の引き出し案が成立し、今週からその手続きが始まりました。
  木曜日に手続きが始まると厚生年金会社のそれぞれの事務所の前に長い列。とにかく何とかしてそれを自分の手にしたいと言うわけです。事務所訪問とインターネットでの手続きを含め木・金曜日の2日間で5百万人以上が申請したとか。事務所の前に並ぶ人を見ていると黒人が多くいましたが、それは多分、ハイチなどから来た移民で、彼らは年金がもらえるまで30年もチリですむつもりは無いから、強制的に積み立てさせられている年金を例え10%でも戻してもらえればボーナスをもらうことになるのでしょう。

(経済)

1)失業者の増加
  コロナ問題が起こってから190万人が失業したと言われますが、この3か月の失業率は12.2%と発表されました。しかしその数字には入らない自営業の人で仕事がなくなったのを入れると300万人が働いていないとか。この10年間で最悪だったのは2010年で9.2%、今回はそれを大きく超え、まだ増加しそうです。これをどうするかがピニェラ政権の大問題ですね
2)銅価格と為替
  1ポンド2.92ドルと最近2.9ドル台で安定しています。為替は1ドル755ペソとペソ高が続いています。800ペソを大きく超え900ペソに近づいたころもありましたが、ペソが最近、堅調です。所でコデルコ銅公社がコロナ問題で生産に問題が出ていると言われますが、今年前半では
  74万トンの生産で昨年同期収入より4.7%アップ。収入も増加して国庫への納入は3.8億ドルでした。それは昨年対比20%アップと素晴らしい数字。最も将来の計画などに使う費用は借金をしていますが、それも新記録で借入金は170億ドルになっています。コデルコを民営化しようという意見が出ましたが、政府はそれに反対しています。

(一般)

1)コロナ問題
  今週も新規患者数・死亡者数が全盛期の半分以下と落ち着いています。首都圏で7区自宅待機が緩和された地区の内、6区は緩和しても上記の数字は先週より少なくなりました。つまり緩和が病気の再発につながらなかったわけです。これから緩和する区が増加するかどうか、来週に厚生省は発表するらしい。
2)暴動騒ぎ
  また暴動騒ぎが日常化してきました。金曜日のピニェラの年次教書の発表をしているときに、サンティアゴでなんと19カ所で暴動
  騒ぎがありました。1カ所なら。その辺のやつが暴れるという感じですが、19カ所と言うのは事前に組織が準備して実行したのは明白で、昨年の10月以来の暴動騒ぎが再発ですね。警察・軍隊は何をしているのかな。開通したばかりの地下鉄の駅がまた燃やされたら、チリの信用は地に落ちますね。
 
  それからマプチェ問題です。
  私の想像していたよりもっと現実は厳しいです。新内務大臣は就任後、すぐにアラウカニア州に飛び、現地の知事などと同問題について話し合いました。彼はチリには政治犯はいないとしています。それは刑務所に入っているマプチェは放火・暴動などで裁判所で有罪になっているわけで、チリではそういった犯罪を犯した人間は政治犯ではないとするわけです。そのグループの何名もがハンガーストライキを実施しています。今週も、マプチェグループは12台のトラックに放火し、線路で貨物車も攻撃しています。そして道路上で警察軍と正面で衝突。ガチの勝負をかけています。土曜日、アラウカニア州のクラカウチンの区役所で暴動騒ぎ。それは役所を占拠していたマプチェを一般市民が強制排除しようと攻撃をかけ、衝突しました。近くに駐車していた車両が何台も焼けました。死者は出ませんでしたが、マプチェ対反マプチェが力でぶつかるわけですね。この先、死亡者が多く出るでしょう。これに関し、マプチェグループは内務大臣が反マプチェの応援をしに来たので一般市民がそれに乗って私たちを傷めつけようとしているとしました。


以上