チリの風 その1082 2024年2月5日ー11日

今週も最高気温が30度を超える日が続いたサンティアゴです。午後に外を歩くのは厳しいです。それでも朝晩は涼しいのが嬉しい。
先週は山火事ニュースばかりでしたが、今週はピニェラの事故の件ばかりでした。
しかし似たようなことが身近にありました。妻の父親が亡くなったのです。お通夜(親せきや友人が集まるお別れ会ですね)・葬式と2日間連続で悲しい雰囲気にひたりました。
それでも今週もマラソン練習を3回して、その内一回は10キロも走ったのは喜びでした。
もちろん、そのうち私も他界するわけですが、その日まで他人に介護の迷惑をかけないで一人で生活を楽しみたいです。今週も幸せでした。

(政治)

1)ボリッチ動向
バルパライソ州を訪問して山火事の悲惨な状況を助ける動きと、亡くなったピニェラを讃える動きが今週の中心でした。
山火事
まだ問題継続で、夜間外出禁止令が一部の地区で出ています。市街地区の火事はおさまっていますが、停電が続き被災市民の生活は厳しいです。一番問題の家屋の建設ですが、そのためには延焼した家屋の中のゴミを捨てる必要があります。政府の見込みでは廃材は5万トンになりそうで大きな機械を導入して実践に当たっています。その家族に政府から支援金が渡されることになりました。
ピニェラの事故
自分が別荘を持つ南部のランコ湖にバケーションに行ったピニェラ前大統領は家族・仲間3名とヘリに乗りましたが、操縦に失敗して湖に墜落。乗客全員は助かりましたが、彼は窒息死しました。事故の原因は調査中です。湖中に沈んだヘリは引き上げられ、今日サンティアゴに着きました。つまり操縦のミスなのか機械に問題があったのか調べられます。
彼の死体はサンティアゴに運ばれ、先ず旧国会議事堂(近年は新憲法委員会の会場)に置かれ、一般市民の挨拶が認められました。
そして金曜日に葬式が実施されました。その場で現・元大統領が、彼の功績を讃えました。ボリッチが「社会騒乱の時、その時のピニェラ大統領を不必要にまた異常に攻撃したことは正常な行動ではなかった」と自己批判しました。共産党はすぐに何を余計なことをコメントしているのか、金持ちの好きなようにはさせないと固く誓ったではないかと批判しました。勿論ボリッチはその批判を考えましたが、それでも正論を吐いたわけです。共産党新左翼に対抗して右翼的行動をする必要はありません。彼が自己批判したように4年前の社会騒乱の前はチリはラテンアメリカの中でトップクラスの社会組織を持っていたのです。それを目標に歩いていこうとするわけです。犯罪抑制委員会が動き出し、山火事被害援助が上手くいけば、ボリッチを支援する層が今の30%から50,60%になるかもしれません。頑張れボリッチとなるのですよ。

その後、近くのカトリックの大聖堂に運び込まれ、ミサが開始。大司教が彼を讃えました。その後、軍の護衛の下にモネダ宮殿へ。そこで、彼は2度大統領として、つまり8年間勤務したのですが、その日は大勢の観衆に見守られて宮殿に最後の挨拶をしました。現憲法を変更して3回目の大統領になりたいとしていたのですが、もちろんその日はモネダ宮殿の前だけで中には入れませんでした。ピニェラの遺体を彼が望んだモネダ宮殿を最後の通過点としたのはボリッチの考えでしょう。
しかし私が想像した以上にピニェラは民衆の拍手を受けました。彼の遺体を乗せた車が通る道に大勢の市民が彼の写真やチリ国旗をもって待ち受け、車が来ると手を振りました。
彼の遺体は「思いで公園」と呼ばれる墓地に運ばれました。
ボリッチ政権としては野党のシンボルのピニェラですが、民衆も政界も彼の冥福を祈りました。ピニェラが大統領選挙に出ていれば、もちろん与党側は批判をしていたのは間違いないですが、死亡した彼を傷つける必要はありませんからね。
新聞の社説に、与野党がピニェラの死を悼む祈りを揃って実施したのはチリ社会が正常だと言う証拠になると書かれました。確かにそうですね。
右翼の中も分裂があり、ピニェラは国民改革党RNでしたが、中道右派でしたから、もっと右のUDI党からはしっかり右翼の政策をとれと批判されていました。今回はUDIもピニェラ賛美でした。
さて次の選挙に右の候補に予想されていたのはピニェラとエベリン・マテイですが、ピニェラが消えたので彼女が最有力候補ですね。マテイは今はUDIですが、最初はRNでピニェラと組んで仕事をしていました。ピニェラは自分は右翼でないとして政治的にキリスト教民主党DCに接近したこともあるとか。もちろん次の選挙には極右の共和党からも候補者は出るでしょうね。
日曜日の新聞に1面広告でRN党がピニェラの写真を載せ、一言だけ「すべてにありがとう」と書かれていました。
彼はラス・コンデス区に住み、選挙の投票所は私と同じところでした。私はいつも投票所に一番早く行くことにしていますが、ピニェラもそうです。昨年9月の時は、彼のそばに行って話しかけようとしましたが、彼は車に乗ってしまいました。12月の時は報道陣が待っていました。私は彼の着くのを待たず家に戻りましたが、10分後に彼は来たとか。
もし会っていれば、私は2度あなたに投票しました。3度目も同じように投票しますと言って握手するつもりだったのですが。

(経済)

1)銅価格と為替
銅価格は1ポンド3.67ドルと先週よりかなり下がりました。中国の動きがかなり行き詰っているので、この先もっと下がる可能性がありますね。
為替は、そのためペソ安になり1ドル969ペソです。1000ペソが近いといわれます。
2)経済成長率
 財務省から今年のGDPは2.5%と予想数字が発表されました。
 事前の推定から下がったのはリチウム関連で、SQM社などからの国庫収入が10%以上、下がりそうとか。もっと下がる可能性があります。
3)物価上昇率IPC
1月のIPCは予想より上の0.7%でした。
確かに公共運送のバスや地下鉄の価格は上がりました。ガソリン価格も上がっています。
4)新車の販売
1月の新車の販売は25117台と前年対比9%のマイナスでした。
売り上げ順位で10位に日本から3社、首位はトヨタでした。

(一般)

1)犯罪 
犯罪を抑える法案を作成する新組織が話題になっています。土曜日にニュニョア区で60歳の女性が強盗に遭い、逆らうと射殺されました。
こんな事故がこれからも毎日ありそうです。
2)山火事
 今シーズンの山火事は今まで137か所で起き、そのうち103か所が消火されています。燃焼したのは16572ヘクタールとか。
死者数は131人、負傷者は1108人。3000軒がまだ停電中。

(スポーツ)

1)テニス
先週の話ですが、デービスカップの南米大会でチリはペルーと対戦し、苦しい状況を何とか乗り越え、3対2で勝利しました。
これで次は世界大会のグループに入ります。
2)ゴルフ
PGAツアーのコロンビアでの試合でチリのデルソラル選手は57打で1ラウンドを廻り、世界記録を破りました。この調子が続くと世界のトップに
なりますね。さぁどこまで行くかな?
3)サッカー
昨年の二つの国内リーグ戦で優勝したワチパトとコロコロがスーパーカップ戦として対戦し、コロコロが90分では勝ったのですが
暴れだし、ゲームは中止になりました????


以上