チリの風  その971 2021年12月20日ー26日

1年が過ぎていきますね。読者の皆さんにとって今年はどんな年だったでしょう。
家の外に出られなかった日が4か月以上あった昨年は悲しみ・苦しみの連続でしたが、今年は私にとって最高の年でした。
すべてが正常化したからです。サッカー教室・登山教室、そしてチリの歴史の授業など子供との関係が元に戻りました。アポキンドの滝の長いコースを歩き、マラソンも走って元気になりました。その「中高年の元気さ」がテレビ番組になったのも良い思い出です。そして今週、小説を書き終えることが出来ました。完成に協力してくれたチリ在住の先輩の今村さんに感謝します。小説の最後の部分が難しかったのですが、何とかうまくまとめました。読者に喜んでもらえると思います。このブログに全編が掲載されています。
白内障の手術もうまく行ったし、静脈血栓症の病気も悪化していません。健康に恵まれ、まだ飛んだり跳ねたりできます。
そうそう年初に10年ぶりに会社員になれたのも嬉しい思い出です。
嫁さんと二人でチリ南部の旅を8月にしました。11月の北部の旅は彼女の仕事の関係で中止になり、残念でした。去年の訪日計画はコロナで延期になりましたが、来年は行けるかな?
嫁さんとはうまく行っているし、二人の子供が社会人として活躍しているのがうれしいです。
さて今の住居は売りに出ていますから、多分、来年中に南部移住の夢が実現するかも。
年を取っても夢を追い続けています。

今週も最高気温30度の暑い日が続いたサンティアゴです。スポーツは5日楽しみました。山登りは4か月ぶりに近郊のマイポ渓谷に行ってトレッキングをしました。日曜日のマラソン練習は3名で走り、来年も頑張ろうと誓いました。

いつまでこんな幸運が続くか分かりませんが、幸せを感謝しながら生きています。

(政治)

1)ピニェラ動向
  月曜日、次期大統領のボリッチをモネダ宮殿に招いて会談。見た感じはまるで同僚・同グループの人間と話しているようで、敵対グループの二人には見えませんでした。来月の彼の最後の外遊になるコロンビア訪問にボリッチを招待しました。これに関しては賛否両論で違った外交政策を持つボリッチが同行するのはいかがなものかと言われています。
それからコロナのワクチン接種が始まった1年記念として関係者を呼んでお祝いをしました。このワクチンのおかげでチリ社会の安定が守れたとしました。
また多くのスポーツ選手をモネダ宮殿に招待して今年も頑張りましたねと褒めました。
2)新大統領の動き
 先週の大統領選挙は投票者数が830万人と新記録、ボリッチは55.9%で460万票。これも新記録でした。35歳の当選も最年少記録でした。
株式市場はその前の金曜日は4358ポイントでしたが、選挙の後の月曜日は4100を割るほどの下落。どうなるか恐れたのですね。それが意外と混乱は少なそうだと見えたので、週末4298まで戻りました。同じように為替も月曜日、大きくペソ安になりましたが、金曜日少し落ち着きました。
ボリッチは毎日、ニュースに出ています。彼の事務所は新モネダと呼ばれています。
現在の焦点は組閣問題です。彼の属する新左翼の政党には大臣をたくさん出す可能性はありません。共産党の党首が、彼が必要なら私たちはいつでも応援すると言っています。ボリッチは社会党の党首と面談しました。
私の心配は厚生年金問題です。左翼が言ってきた現行のシステムAFPを潰すことがどう実施されるかです。現行制度に問題があるから、こう変換すると言うならわかりますが、単純に潰してしまえでは混乱が起きるだけでしょう。政府がすべての責任を負うとして親方日の丸にすれば資本運営は、現在の日本とチリの例ではっきりしていますが、チリ式の方がうまく行っています。
チリが政府運営の新方式にして、それがうまく行かなければ一般市民が、何十年か後に年金をもらいだすときに苦しむことになるのですが。

 然し与野党とも分裂状態です。左翼系が勝ったから野党側は大喜びと思われるかもしれませんが、そんな雰囲気はありません。予備選挙に野党中心の3党(社会党、PPDそしてキリスト教民主党DC)は参加しませんでしたね、全く理解できない不始末。おまけに本戦で、候補になったDCのプロボステは下位低迷。誰が責任を取るのでしょう。
与党側も同じで最右翼のUDIと中道系の改革党RN、エボポリなどはちゃんと話が出来ていません。
新聞にピニェラが右翼で勝った唯一の大統領とする記事が出ましたが、これは私が先週書いたようにピノチェット崇拝の最右翼から候補者が出れば国民の多くは応援しないと言うこと同じです。
ラテンアメリカで多くの国が左翼化していると言われます。ブラジルも次の選挙で左翼が勝つだろうとか。しかしそれは国民の左翼化でしょうか。ブラジルの場合、現在の右翼の大統領があまりにもおかしいので、仕方なく左翼に戻すとみられています。チリの場合も右翼政党が極右候補を推したので、左翼が勝った可能性もあります。単純に左翼が人気があるわけではないですね。右翼も左翼もひどいのがアルゼンチンですね。破綻寸前のようです。

3)新憲法委員会
 まずボリッチが訪問し、委員会議長のマプチェの女性と面談しました。
 それからバチェレット前大統領が訪問し、「皆さんが将来のチリを代表しています」と励ますのか、圧力をかけているのか分からないコメントをしました。バチェレットの影響力はこれからも強くなるのかな?

(経済)

1)来年のチリ経済は厳しい・困難な状況が予想されると言われていますから、次期政権で誰が大蔵大臣・経済大臣になるかが注目されています。その二人の力で正常化が図られるのですから。
2)銅価格と為替
 銅価格はポンド当たり4.34ドルと上昇。為替は1ドル864ペソとペソ安になりました。
3)サクランボ
サクランボの輸出は年間20億ドルとワインと並んでいます。1997年は6400トンの輸出だったのですが、2008年に44500トンに、2018年は186000トンに。そして2022年の予想は387000トンです。昨年初めの中国での汚染が大問題になりましたが、生産者は中国以外は考えられない。他の国への輸出も実施しているがもっともよい製品は中国に送っているとコメント。この先どうなるのでしょうか。

(一般)

1)コロナ問題
  水曜日の陽性率は1.68%と10月9日以来の低い数字でした。毎週、状況が良くなっています。
  厚生大臣は第4回目の接種は来年2月15日以降を考えるとしました。
  クリスマスと年末年始に国民が騒げば、来年2月にまたコロナの悪い波が押し寄せると言う注意が出ています。今年9月の建国記念の時と同じ注意書きですね。もっとも新変異種はそれほど大きな影響を与えないと言うニュースもありますが。
2)マプチェ問題
 アラウカニア州で3カ所の森林火災が発生。家屋への放火もありました。また銀行ギャングを逮捕しようとした警察との銃撃戦で犯人の一人が死亡。現在、森林火災は一番燃えているのは9000ヘクタールまで燃えており、取り調べをしている警官が2名負傷したとか。
これらは偶然、同じ地区で起こったのでしょうか、それともその背後には同じグループが存在するのでしょうか。
その近くの州でも数台の重機が放火されました。また森林火災は多くの所で起きています。
南部に軍隊を派遣しテロ活動を抑えることになっていますが、こうして毎日・毎週同じような事件が起きるのは悲しいことです。ボリッチは少しは問題を軽減できるかな?
大統領選挙が終わって1週間たちました。今の所、大掛かりなデモや騒動は起こっていません。しかし次の政権時にアジェンデ政権の時のような、混乱が起こると言う噂は出ています。


以上