(政治)

1) バチェレット
内閣改造をして少し彼女の人気が回復と言う時もありましたが、先日の、大臣辞任から風はまた逆風になり、彼女を支持するは24%、不支持は65%。また新内閣を認めるは24%から18%に下がり、認めないは54%から69%に急増。もうアカンわと言う感じです。
先の大統領選挙でバッチェレットと争ったマテイは「彼女が何を考えているのかさっぱりわからない。政府内でも孤立しているのでは」とコメントしました。 大統領府の長官が辞任してからその席が空席になっていますが、バチェレットは焦らず、そのまま空席にしています。マスコミからそれを何度も聞かれると頭にきた彼女は「長官代理がその職を務めているのだから大丈夫。なぜ同じ質問をしつこく聞くのかしら」ときつい口調で返答しました。次の大臣を誰にするか、そのネゴを政党とするのかしないのか決めきれないのでしょうね。
与党側の小さな党MASの党首が、それに関し、「大事な席を空席にしておくのは政府内が大きな問題をかかけていることを告白しているようなものだ」
また内務大臣が社会党から中道キリスト教民主党DC党員になったことに関し、「大統領に助言したいが、左翼側からDCにスペースを明け渡すことは政府内でのいざこざを増長することになる」としています。もっとも彼は国会議員とは思えないほど軽い人間です。
それに関してファイナンシャルタイムズ紙に「バチェレットは他人を信用しない性格が目立っており、身近だった前内務大臣を切って、新たな内務大臣を任命したが、新内務大臣にそれまでの様に権限を譲与せず、彼女が内政・外政すべてを賄おうとするので政府の動きが止まり、改善がみられない」とする厳しい論調の文が載りました。
チリのウルグアイ大使は共産党員。昨年10月に、おかしな発言をしてチリに呼びつけられていますね。その彼が首になって新大使はDCの元大臣になりました。
共産党は他の党と異なりバチェレットには逆らわない方針で来ていますが、それでもこの大臣人事に関し、党首が早い機会に次期の大臣を決めたほうが良いのではとコメント。現在もめている教育問題・労働法問題で政府案に逆らっている教員組合、労働者連合の両組織のトップは共産党の人間で、バチェレトに取り入る動きと政府に逆らう動きを巧みに混ぜています。
さらに目立った動きとして久しぶりに前大統領ピニェラが野党グループの集まりで演説し、バチェレットを痛烈に批判。政府は仕方なくピニェラは次の大統領選挙の運動をもう始めたのかと皮肉りました。ピニェラ政権の時の国政調査が法に則って行われていなかったと今週、会計監査委員会から発表されたので、政府側はピニェラは私たちの批判をする前に、多大の資金をどぶに捨てるような国勢調査を実施したことを自己批判をすべきだろうとしています。
大統領選挙の前に地方選挙がありますから、このままでは国民の信頼を失っている与党側にピンチですが、それは野党側が国民の援助を得ることが出来ればの話で・・・野党の人気もありません。
バチェレットも何かやらなくてはと農地法改正などの件で、公明正大にするとの法案を準備したらしい。これが通ると自分の息子夫婦がやったのは違法になるわけですね。さてその件でチリ銀行のオーナーと息子の嫁が電話をしていたと社会党の議員が告発。やっぱり隠れてやっていたのかと思われましたが、そのオーナーがそれは全くのニセ情報で「使い捨て電話機を少なくとも4台持っていた」など許しがたいと国会の同問題の調査委員会会長に文書で抗議。その社会党議員は釈明していません。なにそれ?波風を立たせるためには恥も外聞もないの?  しかし社会党と言えば与党ですね。新聞に調査委員会は役に立っているのかそれとも単なるショーなのかと厳しい論調で書かれています。
2) 労働法が改定されました。新労働法が今週、下院で可決されました。これでバチェレットの公約の税法改正、教育法改正そして労働法改正の3大事がすべて歩き始めました。ちゃんと上院で最後まで行くかな? 
それに関してピニェラ政権の大蔵大臣だったララインが「現政権はチリの経済の落ち込みを外部のせいにしているが、私の目にはすべてチリ内部の問題が原因」と厳しいコメント。
労働大臣は労働組合が発展すれば社会の発展はないとするような論議を受け入れるつもりはないと胸を張っていますが、新労働法案が発足すれば有利になるのは労働組合員だけで、それは労働者の8分の1とか。そんな少数の人のために雇用促進・事業拡大のための投資が減少していくのは理屈に合わないと思いますが。
教育法案も依然として、もめていて、教員組合はストを続行。来年から大学教育の無償化の件も、学生連合の要請で、当初は公立大学だけが無償化の対象だったのが私立大学にもその枠を広げる動きが出てきました。私立大学連合の学長がもっとはっきりした枠組みを示してほしいと要求しています。予算大丈夫かな?
3) 前内務大臣と検察
検察から呼び出された前内務大臣のペニャイリジョは、同時に検察に呼び出されている集金係りのマルテリと異なった見解を述べました。マルテリはペニャイリジョが自分が集めた資金を彼がその仲間を使って組織に回したとしていますが、前大臣はそれをきっぱり否定と言うわけです。さぁ、どんどん真実が明らかになっていきますよ。
それから野党側の議員(現職と元議員)が法廷に立ちます。問題はどんどん深みに入っていきますね。来週の法廷で、銀行関係者の様に彼らの一部が収監される可能性もあるとか。しかし同じことが民政化以来20年以上実施されていたのにここにきてあからさまになっているわけで、検察の努力が素晴らしいです。