チリの風 その913  2020年11月9日―15日

木曜日まで最高気温は30度近い日が続いていたサンティアゴですが、金曜日、急に天気が変わり10度も下がって最高気温19度になりました。予報では雨も降りそうでしたが、残念、曇っただけで雨はなし。先週も書きましたが、雨がないので首都圏はカサカサです。近郊のカホン・デル・マイポ付近の山に積もっている万年雪が毎年減少し、このままでは首都圏の上水道の供給問題が深刻化するとか。週末はまた元の天気に戻りました。
今週もいつものようにスポーツを楽しみました。山岳公園のトレッキングとマラソン練習です。50代のころのパワーはとっくになくなりましたが、よれよれでも山登りと走りを味わっています。日曜日、仲間とマラソン練習をすると一人で走るより記録が伸びます。
アメリカの大統領選挙がすっきりしませんが、どうして投票者数で勝敗を決めないのでしょうか?州によって一票の価値が違うのはおかしいですね。チリで軍事政権の継続可否の投票が1988年に行われました。ピノチェットは「革命がおこった1973年のチリとその時を比べると国民の生活は明らかに良くなっている。従い、自分の政権を選ぶはず」と考えたわけです。小差でノーが勝ちましたが、彼はあっさり負けを認めました。トランプよりましです。
日本は首相を市民が選べませんから、もっと不思議です。自民党に投票した人でも首相になってほしい人に関しては各自の意見があるはずですから。

(政治)

1)ピニェラ動向
  新内務大臣を連れて南の第9・8州を訪問しました。アラウカニア州では「先住民のマプチェの人と問題があるのは認識している。しかしそれは話し合いで解決すべき」と声明。どんな会話があるのかな?
 土曜日に、チリ南部の幹線5号線がマプチェ族のデモで止まりましたが、その日は警官によるマプチェ青年殺人事件の2年目の記念日でした。マプチェは責任を誰がとるのかはっきりさせようとしています。その警官が個人的に殺人を趣味としていたとは誰も思わないでしょうから。幹線道路の交通が数時間も止まってしまいました。その事件で時の内務大臣は更迭されています。
 同じ土曜日に材木業者の重機が4台火をつけられました。マプチェのパンフレットが置かれてありました。
 その次のビオビオ州ではコンセプシオンで国際空港拡張工事の完成を祝い。この州の発展のために努力を続けたいとコメントしました。
2)厚生年金払い戻しその2
  先日、厚生年金の一部を引き出すことを議会で決め、それが実施されましたが、その第2弾です。
  一般市民は思わぬ金が入ってきたのを喜び、さらに第2弾を要請しているわけですね。まるで与党・野党の戦いのようになって、第1弾が決定した時、新左翼の議員は議会で飛び跳ねて大喜びしました。前回それを見た一部の与党の議員は党の政策に従わず、左翼と同じように引き出し許可に走りました。
  つまり今回は大差で議決されました。細かい点はまだ審議されますが、第2回目の払い戻しもOKです。しかし私は思うのですが、これは政府の人間が後ろで操って議決させているのではないでしょうか。
  というのは政府は今回のコロナ問題で中堅階級・下層階級に援助金を出しましたが、それが足りないわけです。そこで、さらに政府援助を続けるには大きな補正予算(多額の借金の積み立て)が必要になりますが、各自の積み立てを引き出すなら、政府には1ペソの負担にもなりません。議員が私たちは皆さんのために働いていますというのはお笑いですね。責任を将来の政権に渡し、今はのんびりしましょうとするわけですね。
  年金を受領する時が来たら、各自がもらえる年金はずいぶん低いものになるでしょうね。当たり前ですが。年金運営会社AFPも存続の危機になったりして。そんな簡単な論理を議員も市民もよく考えないわけです。
  新聞の社説で与党グループ(チレ バモス)の連帯・合意はどうなったのかとする批評が掲載されました。
3)新憲法制定
  委員会に誰が入るかあちこちで候補者の顔が出されています。以前、雑誌のコメントとしてチリで新憲法ができれば、チリのレベルは下がると見込まれましたが、(チリの風 その910)今週の新聞の特集で、1997年以降に新憲法を作成した5か国の例が出ました。それによると、すべての国で、改正した後、経済は上昇しているとか。それらの国はコロンビア、南ア。エクアドルボリビアそれにべネスエラです。べネスエラの場合は改正した1999年から2015年くらいまでは一応順調でしたが、ここに来て大暴落になっています。ということはチリは1,2年後に改正が成立し、政治経済ともに良くなるのかな?

 

(経済)

1)中国のチリ投資
  中国のSGID社はチリの電気会社CGEを30億ドルで買収。中国資本は既に他の電力会社にも手を付けているので、チリの半分以上のシェアーになります。発電ではなく配電です。そしてほかの部門を含めてもチリに投資している外国の中で中国がナンバー1です。チリにとって中国は銅を購入してくれるお得意様だけの関係ではないわけですね。
  ところで銅価格はポンド当たり3.14ドルと先週とほとんど同じ高いレベル。このため為替は1ドル757ペソとペソ高が継続です。
2)新車のストック不足から価格上昇
  10月の新車の販売は3万6千台でした。これは前年同期より上で、過去の最多の月とほぼ同じくらいの数字です。6月などは1万台にも行かなかったので大きな変化です。メーカー、ディーラーともに先の売れ行きが読めなかったので、控えめにオーダーするとして車の輸入をほぼ止めました。そのため、こうして売れ行きが急に戻ったら、ストック不足になり、価格が上昇するという状況を生みました。このまま売れ行きは伸びるかな?

(一般)

1)コロナ問題
  新規患者、死亡者、PCR検査陽性者比率などはほとんど先週と同じで大きな変化はありません。PCR検査数は一日3万人、 感染比率は4%ほどです。南部のプエルト・モンが現在チリ国内で人口当たり一番患者の多いところです。
  アメリカのファイザー製薬がコロナワクチンを完成しました。90%の確率と言われますが、それが来年チリに1千万回分来る由。
  東京医師会は今の段階で90%の安全性を言うのは早すぎると批判していますが、どうなるでしょう。
  さて先日、国会で喚問されたマニャリッチ前厚生大臣は現在法廷で取り調べを受けています。怪しいと思われているのは病気による死亡者数を実際の数字ではなく虚偽の数字で発表していたというもの。数字を小さめにしたのでしょうね。

  病気の蔓延が一段落してきたので、かなり正常化が進んでいます。例えば、劇場で演劇が再開されるとか、今月23日から観光客の入国を認めるとか。サンティアゴの空港だけですが、その時、72時間以内に発行されたPCR検査の陰性証明書などが必要なようです。もっともコロナ蔓延国からくれば14日の待機がいるらしい。

2)反政府運動
  恒例のイタリア広場での反政府運動は先週よりかなり数が増えました。テレビのニュースを見た私の想像ですが、多いときは数万人、先週はわずか数百人、今週は数千人という感じでした。
  それから首都圏のロ・バルネティア区の区事務所が襲われ、建物・家具の破壊がありました。同地区には100軒ほどの不法建築の家があり、そこに住む住民が電気・水を供給するように区役所に要求。区役所がその地区は斜面がひどく人が住むのには適していないと拒否をしているので、その抗議デモでした。ニュースで見ましたが20名くらいの若者が、多分ほとんど20歳以下、暴れまくっていました。一人も逮捕されなかったとか。警察は何をしているのかな?しかし他人の土地に不法建築をして住んでいる人が、自分たちの生活を守れと役所に要求するのですね。
  それから反政府には関係ありませんが、チリも麻薬関係者の争いが多くなり、土曜日にロ・プラト区で銃撃戦があり、一般の人も入れて死者2名、重傷5名とか。近所の人が、撃ち合いは毎日のようにあるから、早くこの地区からほかに移りたいと言っていました。チリもメキシコやコロンビアのようになっていくのかな?
3)夏のイベント
  第5州バルパライソの大イベントは大みそかの海辺の打ち上げ花火とビーニャの歌謡音楽祭ですが、今週の決定で打ち上げ花火は実施するが、2月の歌謡祭は中止になる由。首都圏の打ち上げ花火はどうなるかな?

(スポーツ)

1)サッカー
  金曜に、サンティアゴでワールドカップ南米予選の第3戦が行われ、チリはホームでペルーと対戦し2対0で勝利を収めました。今まで1勝1敗1引き分け、10チーム中の6位になりました。これで来週の敵地での対べネスエラ戦に勝てば4位か5位に進出できそうです。国内リーグ戦の後期が始まりました。


以上