(政治)

1) 大統領選挙
与党側の候補者の中で一番人気があるのはギジェルです。彼はここに来て、勝負をかけました。
与野党とも、自陣内で正式候補者を選ぶ仕組みを持っています。しかしそのグループ内予備選挙に参加せず、公式の第1次大統領選挙に参加することは可能です。
もしそうなると与野党が敵陣だけでなく自陣との戦いをやむなくされるわけで、誰が勝つか分からなくなります。
1970年の大統領選挙は右翼、中道、左翼の三つどもえで、それぞれ約3分の1の投票を勝ち取りました。普通はそこで首位と2位の候補者が2次選挙を戦うわけですが、その時は第1次だけの結果で、少し浮かんだアジェンデが勝ちました。そうなるのを恐れたギジェルは与党側の内部選挙が無いなら自分は候補から降りると脅しをかけました。
これはキリスト教民主党DCが、左翼側に有利になるような現行の仕組みを外れ、一般市民に直接に民意を問うシステムの方が(直接に第1次大統領選挙に向かう)自分たちには有利との思惑があるようです。
さらに先日、キューバに入国拒否されたエイルウィンは、問題が起きたとき、ギジェルがそれに関しコメントを避けたことから、もし彼が与党側代表になれば、自分はDCを離党して、他の候補者に投票すると表面切って反対しています。
ギジェルがキューバ政府にコメントできなかったのはチリ共産党と問題を起こしたくなかったからでしょう。理由は分かりますが、自分の見解が無いのは悲しい。
そのDCは土曜日、党大会を開き党首のゴイッチを大統領候補にすることを決定。ただ与党内の予備選挙に参加するか直接第1次大統領選挙に参加するかの決定を延ばしました。敵の(敵と言っても同じ与党連合ですが)動きを見ると言う感じですね。
土曜日の3月11日は東北大地震とか、スペインのテロとかいろんなことが起きた日ですが、バチェレットにとっては任期があと1年になった日です。
新聞の記事では第1次政権の時は、80%の支持を受けて任期を全うしたが、今は全く逆で20%少しが支持を表明しているだけとか。
昨年の夏休みの時、息子夫婦の不正問題が表面化しましたが、それの対応を間違ったため、国民の信頼は地に落ちました。息子夫婦の会社に資金を貸し付けたのはチリ銀行でしたが、そのオーナーのルクシック家族はチリで最富裕と言われています。彼らはアメリカにも不動産を持っており、最近彼らの豪邸を借りたのはトランプの娘夫婦でした。何か怪しい? 
バチェレットの選挙資金がブラジルから入っていたという件の調査は進んでいます。バチェレットもブラジル・アルゼンチンの女性大統領の後を追うのかな?
2) ピニェラ関連会社が準備しているドミンガ鉱山のプロジェクトにストップがかかりました。第4州の鉱山で、積み出しのための港も設定される予定でしたが、今週の州会議でオープンを認めないことに決まりました。
そのピニェラはアルゼンチンを訪問し、マクリ大統領と面談しました。お互い頑張ろうねと言ったのでしょう。
3) 最右翼のUDI党の党首がプンタ・ぺウコ刑務所を訪問しました。そこは旧軍人で人権問題関連の犯罪を犯した囚人が収容されている特別刑務所です。党首は、収容されている人の中で、何人もの旧軍人が病気で死期を迎えているが、彼らに恩赦を与え死を自宅で迎えるようにしてほしいと政府に依願しました。左翼狩りをして多くの市民を殺害した旧軍人です。
4) 警察の不正問題
今週の最大の話題はこれですね。毎日のように関係警察官の数が増えています。その横領した額も80億ペソとか言われています。警察軍の長官が国会で釈明していますが、警察軍のトップクラスから大尉・中尉の中クラスのレベルまでの組織で公金を横領し、各自の銀行口座に振り込んでいました。現在までに17名が逮捕されています。
しかし長い間、それが発覚しなかったことが問題で、不正をチェックするシステムが動いていないことが明白です。逮捕された警官はもちろん裁判にかかり刑務所行きでしょう。チリ警察軍が設置されて以来最大の不祥事と言われています。チリの警察は他国より清潔と言われていたのに・・・