(政治)

1) バチェレット
彼女は問題が起きたときの対応、反応が遅いので、問題を小さいうちに潰す、消すと言うことが出来ません。おまけに将来に起こりそうな問題を見ると言うことは、先ずしていないようです。
今週も問題が山積ですが、彼女はそれほど責任を感じていないようで、前面に立って働くのではなく、何とか目立たないように仕事をしているみたいです。
2) 年金問題
これに関しては、さっきのコメントとは異なり、バチェレットは前面に出ました。
火曜日、夜9時の定時ニュースの前に全テレビ局の画面で新年金案を発表しました。
もちろんこれは彼女(政府)の案で、それを国会で討議し、新法案になるわけです。彼女は与野党全議員が討議に参加するよう要請し、政府・財界・労働者が協力して年金制度を改革したいとしました。
最も翌日、現行年金制度を廃止しようとするグループは、大統領案は不十分として拒否の姿勢を見せました。共産党系の労働組合員でしょうね。
年金の額を上げるためには基礎になる貯蓄の増額が必要ですから、現行の10%の天引きから15%に段階的に上げるとか、運営会社が年金運営に失敗してマイナスの数字になった時は運営手数料(口銭)はゼロにするとかがでました。労働者から受け取る金額の運用は現行と同じ個人貯蓄なのか、政府が預かる方式なのかまだ決定されていません。政府が預かってそれを政府が運営し、貧しい人の年金に一部を払うとなれば、一般労働者にとっては税金が増えることになりますね。
アジェンデ政権の過去を思い出したりして。また共産党のイメージか。 
それから国営の年金運用会社が出来そうです。
今週、アメリカの大学教授が、年金制度では世界でも進んでいるチリ方式をアメリカも採用に向けて検討する必要があるのではないかとコメントしています。実はその考えは目新しいものではなく、クリントン大統領の時に1995年の3月ですが、チリ式年金方式を検討したことがあるらしい。
チリが新年金方式を実施したのは1980年です。ということはピノチェットの軍事政権の頃です。
その時、日本大使館、ジャイカなどから本国にその新方式を報告していると思いますが、関係部門は、南米小国のチリの年金案など全く振り向かなかったのでしょうね。しかしその後、チリからフォローの報告は出なかったのかな?
アメリカの年金がほとんどの州で破たんしているのは報告されているのだから、同じアイデアを使用する日本が失敗するのは自明。先生のアメリカがチリシステムを検討するかもしれないなら、弟子の日本もやるべきでしょう。どうかな?
3) 政府として、現在の最大の問題は与党連合(新多数と呼ばれる組織)の維持・拡大ですが、先日からの問題は縮小するどころか拡大しています。
2か月前に内務大臣を首になったブルゴスが新多数はこのバチェレット政権で終了とコメントしました。その直後の与党全党の首脳会議で、彼が属するDCの党首は、それは彼個人のコメントで、党を代表する党首の私は現体制の一員として現政権を全面支援することを確約するとしました。
勿論DC党の中から、ブルゴスを支持する動きもあり、党内が揺れています。次の大統領選挙に、独自の候補を立てて他の与党候補と第1次予選に参加すると言う考えと、それには参加せず、他の与党とは別に大統領選挙に独自候補を立てると言う案もあります。まだ声にはなりませんが、与党連合を離れて中央右派のRN党と組むこともあり得ます。
共産党の党首は前内務大臣から怪しいコメントが出たが、DC党首が新多数を割ることは無いと言うのだから問題は沈静化だろうとにっこり。若手の共産党議員はブルゴスを内務大臣にしたのが間違いだったのではと強気の発言。
もちろん新多数は共産党の加盟から左傾向が目立っているわけで、それを中和させるため中道のDCから内務大臣を選んだのはバチェレットの作戦です。ブルゴスと波長が合わず、首にしましたが、その後任はまた同じDCから選んでいますから。
しかし問題はさらに拡大、深刻化しました。社会党やDCなどの大手の党のほかに新多数には小さなグループも加盟しています。その内のMASとICが新多数から脱退を表明。分裂が実際に表面化したわけです。
DCが自分たちのポリシーと異なる共産党と組むのを嫌がっていたのに新多数にとどまったのは、もちろん、権力を握ると言う魔力を逃がしたくなかったんでしょうね。

4) その他の問題群

  • 教育問題でアイセン大学学長の据替がありました。政府案を呑まなかった学長を教育大臣が辞任するよう要求しましたが、彼女がそれを拒否したため、首にするとは言わず、他の仕事に替えることにしたようです。公立大学の学長はこのニュースを不愉快にとっているようです。当然ですね。
  • 法務省問題   元刑務官幹部の高額年金について、監査委員会が現在問題になっている11名の年金算出の仕組みにエラーがあるとし、訂正・見直しを指示しました。最悪のケースでは間違って払われた年金を国に戻すこともありうるとか。その中の一人の下院議会議長の前妻のケースが注目されています。その議長は国の機関が決めた年金は額の多少に関係なくそれを尊重すべきと言っていましたが、そうではなかったわけですね。法務大臣は自分の責任は口にせず、監査委員会の決定を尊重するとしました。警察・刑務官年金の運用課は算出に問題はなと考えるが、再度チェックをするとし、6か月間の猶予を依頼しています。警察軍長官が、自分たちの組織、運営に問題はないとし、政府の口出しを嫌がる発言をし、軍事政権時のような雰囲気になりました。法務長官や防衛大臣は彼を叱りつけるとか、首にするくらいの気迫が必要ですね。
  • 新交通システム   近年無賃乗車が急増し、30%の無賃乗車が報告されています。最近の9年間で1800百万ドルの損失がでているとか。運輸大臣は全く問題の解決のために打つべき手段をもっていない様子。来年、サンティアゴの公共運送システムのトランサンティアゴのテンダーがありますが、しっかりした政府案を見せてほしいですね。