(政治)

1) 政治スキャンダル
3週間の夏休みから戻ったバチェレットは月曜日にマイクの前に立ちました。記者団がもっとも聞きたがった彼女の息子夫婦の問題に、バチェレットは正面突破作戦を選びました。つまり白を切る作戦です。彼女は「息子夫婦がチリ銀行から多額の借入金を受け、土地を購入し、それを販売し、多額の利益を得たことをまったく知らなかった」としました。今回の南のバケーションでマスコミによってその知らせを受けたとしています。 
とにかく何も知らなかったのだから、私は大統領として責任の取りようもないとしたわけです。野党はこれ以上攻め込めないだろうと軽く考えました。
甘いな。世間をそれでごまかせると考えるとは。
今週の報道では、その会社「カバル」はチリ銀行から65億ペソの借入金を受け、土地を購入、それを最近95億ペソで売りさばき、銀行に5億ペソをコミッションとして支払い、手元に25億ペソの利益が残ったらしい。ほとんど何の仕事もせずに、1年少しで5億円の利益が残るのですからね。
売り払われた土地のあったマチャリの村長は役場の人間を調べ、役人の一部が、その会社の人間とメールで土地情報をやり取りしていたことが確認されています。これが検察の手に入るわけです。その村長は右翼UDI党の党員です。
おまけにカバル社で働いていた人間が給料をもらっていないと訴え出ました。彼は1年以上給料が未払いとし、合計2億ペソの支払いを要求しています。カバル社はすべての事項で守秘義務を守るなら3千8百万ペソを払うから和解しようと持ち掛けましたが、額が違いすぎると断られました。彼はカバル社の秘密を知っていますから、裁判所で全部ぶちまけるでしょうね。なんと日曜日にもう一人、同じく給料未払いで同社を訴えました。
ところで彼とその妻は社会党の党員ですが、社会党は彼らを除籍するかどうか検討し始めました。地位を利用して多額の利益を手にするのが社会党党員としてふさわしいかどうか議論するというわけですね。結局、それらの圧力に負けて二人は自分から離党しました。
今回その土地を購入した会社はそこを使ってビルを建てる、カジノを建設するなどを考えているわけですが、それならなにもカバル社から買う必要はなく直接、自分で土地を買えばよかったわけで、その間にカバルを入れるということは不可解です。バチェレットの息子夫婦に利益を渡しバチェレットに恩を売るつもりでしょうか。 
UDI党はバチェレットに息子夫婦が多額の利益を手にしたことに関し意見を聞きたいと質問状。与党側は同じことを自分たちの国会議員に聞けとさじを投げ返し、与野党引き分けを考えているみたい。
世論調査でバチェレットを信任するのは40%から31%に急落。拒否は46%から54%に増加。もちろんこの数字はこの先もっとひどくなりますよ。
息子夫婦、もしくは村役場の幹部が汚職として逮捕されるようなことになれば、政府の面子丸つぶれです。 バチェレットは金持ちと一般市民の格差縮小を訴えて大統領選挙を戦ったのですから、息子夫婦のやったことは全く政府の考えの逆。薄笑いでごまかせるはずがありません。
ところでこの日曜日、ウルグアイの大統領の交代記念式が行われバチェレットは外務大臣とともに参列。大臣は同席したペルー外相と面談。しかし先週、火が上がったチリのスパイ事件はペルーから報告が無いようで、外相同士の面談でも激論になった様子はありません。それならなぜ先週大騒ぎをしたのか意味が分かりません。
国連総長がチリ訪問をしましたが、ほとんどニュースにならず、安倍首相のチリ訪問と同じでした。
2) ソキミチ社の不正問題で、かって大統領候補になったホアキン・ラビンが選挙資金として金を受け取っていたことがわかって来ました。日本の西川農相が不祥事で辞任しましたが、チリも同じようなことが起こりそうですね。
3) 地震問題
あれから5年経過しました。チリの大地震。バチェレットとピニェラが言い争い。ピニェラは「私の政府は崩壊家屋の97%を新築・修復し、次の政権に責任をお願いしました」 バチェレットは「2016年中にすべての復旧作業を終える予定。責任のなすりあいをするのは見苦しい」
第8州に被害が大きかったのですが、そこの倒壊したアパートの住民で、建物の中に閉じ込められ、後で救出されたものの現在車椅子を使っている女性が、テレビの番組で、「あの日死んでいればどれほどよかっただろうと日頃感じています」
そのビルを地震の翌月、コンセプシオンに仕事で行ったとき、見ましたが、人生って偶然、運の要素が大きいですね。
ケースは全く違いますが、不治の病にかかっている14歳の少女がユーチュブでバチェレットに依頼を出しました。「機械につながれて生きている私に未来はない。したがってあなたの許しを得て永遠の眠りに入りたい」政府はそれを拒否しましたが、バチェレットは病院を訪れ彼女と話し合いました。