(政治)

1) マガジャネスの天然ガス騒ぎ
1週間に及ぶ騒ぎが落着しました。政府は人気絶頂の鉱山大臣(今回からエネルギー大臣を兼任)を現地に派遣し、一気に決着をつけようとしました。
結果は、政府が攻める手を大幅に緩めたので市民側と合意に達し、道路閉鎖などがすべて解除されました。
内務大臣のヒンスピテルは騒ぎの最中にマガジャネスに国家安全法を適応すると発表し問題になりました。これを適応すると道路を封鎖している人は3年とか5年の刑になる重罪です。もっとも味方の右翼からもその適応は厳しすぎるとの反論が出ましたが。どこにでも出たがるピニェラがこの問題にはほとんど顔を出さず大臣に処理を任せました。これはまずいと思ったのでしょうか?
1週間で終わりましたが、これが1か月にでもなっていれば、住民の日常生活に大影響は避けられず、死傷者がもっとでる衝突になったでしょうね。(2名が車に轢かれて死亡)
しかし新聞の論評ですが、政府の政策には表と裏があり、このマガジャネスの場合、3%の値上げで合意に達したが、それは物価上昇率を考えると全く意味がない(今年の物価上昇率は4%が予想されている)、おまけに1万8千所帯の貧しい家庭には補助を出すとしたが、その金はどこから出るのか政府は発表せず。
先週の中銀の介入でペソが対ドルで大きく下げましたが、これはチリの輸出業界の圧力に対応したもの。この結果、ガソリン価格が上がるし、他の物価に影響しています。同じように小麦の生産業者の圧力で政府は価格の方針を変えましたが、そのようにある業界からの圧力で政策を変えるとその他の市民に影響があるわけで、政府の強気、弱腰は市民に影響してきますね。

2) ペルー大統領の訪チ
ガルシア大統領がチリを訪問し、ピニェラ大統領と面談。さらに国会で演説しました。ハーグ国際法廷でチリを領海問題で訴えているペルーですが、ボリビアが同じような訴えを起こしたことにつき、第3者がテークチャンスするのはどうだろうと否定的なコメントをした。
しかし彼は大胆と言うか厚顔と言うか、その領海問題は「チリとの最後に残った問題だが、これがはっきりすれば、その結果がどうであれ、チリとの友好関係は発展する」とコメントしています。チリの政治家の一部にはペルーとの間にペンディングになっている問題などないと呆れ顔。
バルパライソで下院議長がお土産ですとチリ産ピスコを出すと勝負をかけてきたのかいと冗談を飛ばしていました。
ボリビアも負けじとモラレス大統領は「チリのアタカマは従来はボリビア領土だった。何とかそれを取り戻したい」とコメント。それって、戦争宣言?ガス値上げで国民の人気を失ったモラレスは対チリの強攻策で人気回復でしょうか?ボリビア外務大臣がチリを訪問。でもこんな空気の中では会談が進まないとおもわれますが。

3) 軍部の人事問題
防衛大臣が先週変わりましたが、新大臣は即時に政府と陸軍の共同事業を担当していたレ・ダンテ将軍を更迭しました。表面は彼の辞任ですが、彼は陸軍が百万ドルで家屋の購入をしたり、旅費、滞在費などにかんして疑惑がもたれ、その他にもハイチに派遣された陸軍の不明朗な支出など、問題点が山づみのようです。この軍人がこの新しく設けられた職についたのはバチェレットの時ですが、おかしな金の使い方ばかり実施していたようです。それを前大臣はあやふやにしていたわけですね。これもどっちが右翼で、どっちが左翼か分かりません。

4) 元フレイ大統領の記念日
このフレイは昨年の大統領選挙で候補になったフレイ議員の父親です。その彼の生誕100周年を祝う行事がありました。政府のモネダ宮殿での行事にはそのフレイ議員と奥さんのほかキリスト教民主党関係者が出席。
ピニェラ大統領は「フレイ氏の死因が疑惑視されているが、私の政府は責任を持って疑惑を晴らしていきたい」とコメント。フレイは軍部に暗殺されたと言う噂が絶えません。しかし右翼政権のピニェラがまるで左翼のような見解を公式の場で述べるのも不思議な気がしますね。なんだかフレイ(息子) が選挙に勝って大統領についたようですね。しかしもう一人の娘(彼女は元国会議員)はピニェラとの同席を嫌ってか、別の場所で記念式典を行いました。

5) 教育法案改正
軍事政権に反対して民政化以降左翼に投票してきた勢力がありますが、彼らはピニェラがすることはすべて反対、不愉快とします。私も以前はそのグループでしたが、チリの左翼はホンマに左翼かなと思わせるのが多く、最近は現政権の政策も是々非々でみています。
前回上院を通過し、今週下院でも認められた教育法案は教師の待遇改善と優秀な教師とだめ教師の選別を認める点が重要な点でしょう。今までは一度公立学校の教師の職に付けば、給料は低いが定年になるまで解雇されることはありませんでした。これからは毎年何人かは入れ替えの可能性もでてきました。私立の学校では当然だったわけですが公立は始めての変化。全員平等として差をつけることを認めなかった従来より一歩前進と見られないこともないですね。
野党の中でも賛否両論だったようです。これがもとで野党内での確執が表面化してきました。意見の一致しない党と同盟を組む必要はないとする意見が高まっていますが、このままでは次回の大統領選挙に現在の野党連合としても候補は出ないでしょうね。左翼、中道、右翼の三大政党時代が来るのでしょうか?