チリの風  その827  2019年3月18日-24日

 

立秋になりましたね。季節の変わりが鮮明です。サンティアゴの最低気温は一桁(水曜日は7度)になっています。その日 トレッキングで山に入りました。先週は休憩するとき、木陰に座りましたが今週は陽の当たっているところを選びました。もっとも午後には30度近い暑さになります。

日曜日のマラソン練習は3名で実施。暑くも寒くもない絶好のマラソン日和。今シーズン新記録を目指して走りましたが、残念、タイ記録の58分でした。走れる幸せを味わっています。



(政治)

1)ピニェラ動向

  今週は先ずブエノスアイレスに飛びサッカーの2030年ワールドカップ南米開催について隣国の首脳と打ち合わせ

  そしてチリに戻って新南米会議を首都で実施しました。

  ところで彼は4月の末に中国と韓国を訪問するとか。日本は飛ばされています。なんでかな?

2)南米会議開催

   今週の最大の話題ですが、南米の新組織プロスルの初会議がチリで開催されました。

ブラジル大統領はアメリカのホワイトハウスでトランプと面談し、ブラジルが南米でアメリカが手を組むべき最高の国ということを確認。その後、サンティアゴに飛びこの会議に参加です。

 しかし彼の受け入れに大問題が発生しました。

 チリ国会両院議会の議長は歓迎会に参加を拒否。理由として「女は男の後を歩け」「ホモやゲイに意味はない」「犯罪が多ければ市民は武装しよう」などと正常とは思えないコメントをする超右翼大統領を歓迎するつもりはないと。また彼を拒否する市民デモもありました。

 その本人はチリではピノチェットのことは話さないと言っています。

 野党(左翼)の両議長が右翼を嫌うのは個人の好みだからどうでもよいですが、外国大統領がチリを訪問して,それを歓迎する祝典に議長が参加を拒むとは言語道断。議長をやめさせたいですね。彼を囲む食事会に元大統領のフレイが参加。野党DC党員ですが、それに縛られないわけですね。 

 さてプロスルに参加したのは南米の10か国。べネスエラ以外の国です。 ピニェラは会議の冒頭、南米の民主主義・自由・平和のためのこの組織を大事に育てていきたいとしました。

参加国の中でウルグアイボリビアスリナムは協定にサインせず加盟国には入りませんでしたが、連絡を取り続け年に1度予定される総会に参加するとしました。

今までの左翼系組織が右翼系に変化している様子を見るということのようです。

政府は大事な会議が成功したとコメントしましたが、チリ共産党党首はこんなおかしい新組織を世界が認めるわけはないと憤慨。

ブラジルで元大統領が刑務所ですが、アルゼンチンとかエクアドルでも同じことが起こりそうだし、べネスエラやニカラグアの左翼政権も崩壊寸前、左が消えつつあるのは明白ですね。

この会議の前にピニェラはコロンビアの大統領と個別面談。彼からべネスエラの反政府軍人をチリで受け入れることはできないか相談されました。世論調査では市民の多数約60%は反対。そこまでやることはないでしょうと言うわけです。

3)べネスエラ問題

プロスルの会合にガイドウは参加できませんでした。でも彼の奥さんはチリ入りし政府高官と面談。

さて国連の報告書が出ました。バチェレット国連人権高等弁務官がそれを発表。彼女の日本語タイトルをネットで見て驚きました。よくわからない地位ですね。さてその報告書ではべネスエラは政府が軍を使用して人権を無視する行動が目立つとしています。逮捕・拷問・殺害ですね。

それを見て、前回の右翼の大統領候補だったカストが、「彼女の家族は独裁者ピノチェットに厳しい虐待を受けていたのにべネスエラ問題では長期間沈黙を保ったのはなぜでしょう」とコメント。

 またチリ共産党は「この報告書は片方の見方だけで、全般を見ていない。つまり反米左翼のべネスエラ政権を一方的に批判するのは政治的な問題を抱えている」。共産党は1年前自分たちの上司だったバチェレットを批判しているわけですが、いまいち詳しい内容がないです。

ところでガイドウの側近が逮捕されましたが、マドゥロはその男はテロリストとしています。いやはや。

4)各国の政府の政策を承認するかどうかをOECD参加国の国民に問い合わせたところ、最も高い評価をするのはデンマーク、ノールウェイ、逆に最も低い評価をするのはギリシア。チリは下から4番目で納得しないが75%でした。バチェレットピニェラも人気がないのですね。



(経済)

1)経済成長率

  2018年のGDPは4.0%アップでしたが、それを支えたのは鉱業と商業でした。国民一人当たりでは26000ドルになるとか。この数字はアルゼンチン、ブラジル、ウルグアイなど南米諸国ををしのいでいます。ただ債務も増加しGDPの67%になり。2015年以降の最も高い数字です。

2)銅価格と為替

今週は銅価格が2.89ドルと3ドルからかなり遠ざかったのでチリペソも力を失い、今週この5か月で一番安い680ペソまで落ちました。

 

(一般)

1)世界幸福度報告

 国際機関の発表で世界で国民が最も幸福と感じているのは北欧の国になりましたが、チリはラテンアメリカ諸国の中でメキシコに次いで2位。

総合で26位でした。チリに住む私とすればあまりピンときませんが。

日本は58位と低いところ。先日、日本は世界2位の国という発表もありましたが???

2)ポール・マッカートニー

彼のコンサートに国立競技場が5万人のファンで満員。ピニェラは家族を連れて訪問し、彼と一緒に記念写真を撮りました。何人もの大臣も同行していました。                        

私も昔、彼のコンサートを見るため国立競技場に行きましたが、ほとんどの曲は覚えているので懐かしさがこみ上げました。

3)カトリックの悲劇

 とうとうチリのカトリックのトップ、大司祭が辞めました。首になったのでしょうが、表向きはバチカンが彼の辞任を承認としています。今週、裁判所が彼の依頼を拒否しました。それは彼の部下の年少児への性的暴行罪で、彼を共犯として検査していますが。それを取りやめ(無罪確認)するよう彼から出ていた請求を却下したわけです。つまり有罪になる可能性があるので、バチカンはここで教会との縁を切れば、あとは彼個人の問題になるとしたわけですね。しかし悲しい実態です。彼はチリの司法を信じる(自分の無罪を確認する)とコメントしていますが、有罪になれば神にゴメンと言うのでしょうか。

多数の関係者(神父とか)が片っ端から有罪になって刑務所に入るようになればチリのカトリックは崩壊ですね。

3)ボリビアの殺人事件

先週のチリの風に出ましたが、チリ人歌手が殺された事件でボリビア人が同国のウユニで逮捕されました。自称ガイド・運転手という男ですが、彼がそのチリ人歌手の借りた車を奪い、おそらく麻薬を使って身体が自由に動けなくして殺害もしくは誰もいないところに放置したとされます。

今週、ボリビアの海記念日でした。モラレス大統領は「ボリビアの海は戻ってくる、私たちは忘れない、チリが真摯な会話をすることを願う」と訴えました。チリが会話をしようとするとそれを無視して国際法廷に持ち出した彼が、裁判所がボリビアの要求には根拠がないとした後、チリとの対話を呼びかけるのは噴飯もの。ボリビアも新大統領が必要ですね。

 

(スポーツ)

1)サッカー

    今週は国際親善試合があったので国内リーグ戦はお休み。その代わりにスーパーカップの決勝戦がありました。それは前期国内リーグ戦の勝者(カトリカ)とチリカップ戦の勝者(パレスチノ)が争い、なんと5対0でカトリカが圧勝。最近はカトリカがチリのサッカーを代表していますね。

 さてチリ代表は6月のブラジルでのアメリカ・カップの最後の練習試合を2試合アメリカで実施します。その初戦、金曜日のチリ対メキシコ戦は1対3で敗戦。今のチリ代表はどこにも勝てないかな?

17歳以下の南米大会がペルーで始まり、チリは初戦をそのペルーと対戦。引き分けでした。

 

以上