チリの風  その828  2019年3月25日―31日

隣家にご不幸があって、葬式のミサに参列しました。ミサの始まる前に奥さんを亡くしたご主人を抱擁して悲しみを分かち合いました。翌日、彼は私の部屋に来て二人で人生について話し合いました。    
いつものようにトレッキングで山に入りました。下草は枯れて、鳥の声も少なく、ほかに登山客はなく、私一人で黙々と歩きました。座って瞑想していると、そのうち私も山歩きができなくなるとか、この世から去るかもしれないと思いましたが、それも運命ですね。
土曜日の午後、久しぶりに霧雨。気温が下がりました。
日曜日のマラソン練習はいつものように仲間と走りました。調子は今一つでしたけれど。
今年初めての栗ご飯を食べました。近くの公園から拾ってきた栗ですが、茹でた栗の自然の甘さは素晴らしい旨みです。

(政治)

1) ピニェラ動向
彼はモネダ宮殿にノルウェイの国王夫妻を迎えました。いろいろ話し合った後、国王は自国にあるイースター島の遺跡物をそこに戻すことを約束しました。冒険家が島に入って黙って持ち去った遺物ですね。英国は粘って返還をしませんがノルウェイ―は自分たちのやったことは不法だったということを認めたわけです。
それからピニェラは野党各党の党首と個別面談を実施しました。これに関し、二つの目立ったことがあります。先ず与党連合がこうした大統領個人の目立つ動きはいかがなものかと疑問視する声と、共産党がその面談を拒否したことです。共産党議員が政府からの招待はなかったというコメントもあり???
ところで社会党の党首はピニェラとの面談時に前大統領バチェレットの批判を控えてほしいと要求したとか。野党の間に結束がなくなり、分離が目立っているのでバチェレットは統一のシンボルなのかな?
社会党から分離したPPD党のムニョス党首はTPP11条約に関し、自党の議員が賛成に投票するよう呼び掛けています。自由貿易を推進する契約でも左翼系の考えでは反対票になるのでしょう。
先週、話題になったブラジルの大統領は母国に戻り、この日曜日が軍事革命記念日なのでそれを祝うとしました。もちろん、それに対し多くの議員・市民が反対しています。彼はチリのピノチェットを尊敬(崇拝?)しているようです。
2) ハイチ問題
ハイチでチリ大使が軽機関銃で襲われました。軽機関銃で大使の乗った車を襲い、大使は無事でしたが、同行者が死亡。大事件です。チリは治安維持のため長年、同国に陸軍を派遣しています。経済悪化から治安も悪くなり、デモが続き死亡者が続出。なんでも隣国べネスエラから無料のような価格で原油を入れ、通常価格で販売。その差額を政府関係者が懐に入れていたらしい。ラ米で最も貧しい国ですが、政府のやることはみじめです。同国から近年チリに大量の移民が来ていることはチリの風によく出てきます。                
そのべネスエラですが、アメリカに支援されているグアイドを公職から追放するという政府の方針が発表されましたが、混乱は継続で、市民の苦しみが毎日ひどくなっているようです。 先日、アメリカ大使館の高官が全員アメリカに引き上げたので、これはアメリカの軍事介入かと思われました。ところが全く逆でロシアが軍隊をべネスエラに派遣。いつまで滞留するかわかりませんが、第3次世界大戦が起きるというより、アメリカのべネスエラ介入は口だけということになりそうです。
ところでアメリカからチリ側にカルドエンの送還要請が出ています。彼は武器の生産をする会社を経営しており、アメリカの命令を無視して過去にイラクに武器を販売したとされています。
イラクは原爆を持っているとする理由で同国に侵略し多数の市民を虐殺し、最後はフセインも殺しましたが、原爆は見つかりませんでした。虚偽の理由で侵略したわけですが、まったくその責任を取っていません。
アメリカはシリアの領土のゴラン高原イスラエルのものとコメントしていますが、そのアメリカがチリ市民を裁判にかけるというのは正当なのか不法なのかわかりませんね。なんでもアメリカの好きなようにするというのが風潮のようですが。ピニェラはどう決断するのかな?
3)裁判関連
警察の不正問題で起訴されているエチェベリ元警察軍経理担当将官に検察は無期懲役を要求しました。彼の上司のフエンテ・アルバ元長官にも同じような厳しい懲役が要求されそうです。高官でも不正は厳しく取り締まる必要がありますね。
元大統領候補だったエンリケ・オミナミも選挙資金の不正受給で9年の刑が要求されました。私は政治家を見る目がありません。私は彼を若手で最も有能な政治家として応援していましたから。

(経済)

1)銅価格と為替
  先週より少し上がり2.94ドル。当然ペソ高になり1ドル678ペソで終わりました。
  チリの経済はラテンアメリカ諸国の中では最も安定し高いレベルにあるといわれますが
  それは銅によって支えられているわけで、中国が大不況になり、銅の消費が落ちれ
ば、銅価格の低下と中国への輸出の両面に影響が出て、チリも大不況になります。
  中国経済が危ないといわれて数年になりますが、いつまでも続くはずがないのは当然で
チリもその時の対応を考える必要がありますね。   

(一般)
1) カトリックの醜態
先週、チリのカトリックのトップたるエサッチ大司教が辞任しましたが、彼の前任のエラスリス大司教が彼と同じく裁判所に証人ではなく年少児性的暴行事件を隠そうとした共犯者として呼び出されました。             
カラディマという神父事件はこの問題の根幹のような犯罪ですが、その結論の一部として彼を訴えている3名にそれぞれ1千万ペソ支払うよう判決が出ました。カトリック側はそれを認めた由。まだ彼が刑務所に入るかは決まっていません。
エサッチはこれはカトリックの組織の問題ではなく神父各自の問題としていますが、現在でも約40名の神父が取り調べられていますから、その神父を雇用しているカトリック教会に責任があるのは明白ですね。
長い間、モネダ宮殿勤務の神父だったコウレイはカトリックにとって組織を守るというのが最大の義務だったとコメント。つまり大司教が問題の神父を匿ったのは無理はないとしています。それが結論でしょうね。新大司教は明日、バチカンに飛びます。
新聞の社説にチリのカトリックの大変革が必要と出ました。
2)ロックフェスチバル
首都圏のオヒギンス公園で毎日8万人近い観衆を集め、3日間コンサートが行われました。ロラパロサと呼ばれる今年で8回目のコンサートです。それだけの観衆が高い入場料を払っても詰め掛けるわけで、人気があるのはよくわかります。
私の若いころウッド・ストックというコンサートが世界中を沸かせたことがありますが、同じようなことが今も続いてるわけですね。

(スポ―ツ)

1)サッカー
  国内リーグ戦は第6戦が行われました。
  その結果ですが、1位はウニオン・エスパニョール, 2位はコロコロ 3位はウニ
  オン・カレラ、そして4位にカトリカとなりました。
  人気のチリ大学は敗戦で下から2番目です。
  ブラジルでのアメリカップを目前にするチリ代表チームは第2戦を実施。
  対アメリカで、1対1の引き分け。2回連続でアメリカップを制した面影はありません。
  テレビで見ていても興奮・感激するようなプレーはほぼ皆無。それでは大会での好
  成績は期待できませんね。もしかしたら1回戦で日本がチリに勝つかも。
  若手の17歳以下の南米大会でチリ代表はボリビアとの最終戦を4対0で快勝。2勝1敗1
  引き分けで1次予選を勝ち抜きで準決勝に進出しました。
   勝ち抜いてブラジルでのワールドカップに行けるかな?


以上