チリの風   その829  2019年4月1日―7日

とうとう4月ですね。日本は桜が咲いて心がウキウキする季節。チリに住み始めてからも、何度かその季節に日本を訪問して感激しました。こっちはもう秋もたけなわ。サンティアゴは最高気温23度という日もありました。
いつもの通り、トレッキングやマラソン練習は継続です。
今週は静脈血栓症の血液検査と小さな字がよく見えなくなったので眼科の検診も受けました。何とか健康を保ち楽しい生活をしたいです。
土曜日にジャズのコンサートがあり行ってきました。いつもクラシックなので久しぶりにジャズを堪能しました。最後の曲に乗って踊りだしそうでした。
日曜日のマラソン練習ですが、仲間はサンティアゴラソンに参加したので、私一人で出発。10キロを過去2年のベスト57分でゴール。くたくたでしたが、にっこり。
知人の黒田さんが日本に帰国しました。彼女はチリの大学で日本語を教えるなど大活躍をしました。チリですることはし終えたとし、これからは日本で人生を楽しむようです。きっと日本でもいろんなボランティア活動をして喜ばれるでしょう。幸運をお祈りします。
今日から夏時間が終わり、自然時間です。朝7時ころ、明るくなります。よかった。
それから所得税の申告手続きが始まりました。私もそれを実施して、来月、支払った税金の一部が戻ってきます。

(政治)

1) ピニェラ動向
ピニェラは月曜日、モネダ宮殿でインドの大統領と面談。世界のトップクラスの経済規模を誇るインドとの友好関係を深めたいとしました。
その夜、全テレビ局を通して約15分で政府案を説明。そのテーマはどのように麻薬を無くして若者が健全な生活を送るようにするかでした。チリの若者は麻薬中毒患者の数はラ米で最も高い率を示しており、政府はこの状態を見逃せないとしたわけです。もちろん、前のバチェレット政権の時からこの状況は継続しており、チリ政府は的確な手を打てなかったということが確認されます。悲しい実態ですね。さぁピニェラの打つ手段が少しは当たって、来年は患者の数が減少するかな?新聞にどんな手を打つかが焦点と出ましたが、その通りですね。
それから先週から始まった野党各党との面談の最後に新左翼を選び、モネダ宮殿に代議士を招待。新左翼各党の党首6名が宮殿会議室に入りました。6名の内5名は女性でしたが、まるで学生運動家のような雰囲気で、服装も挨拶の仕方も通常の代議士とは大きな違い。彼らはピニェラのとの面談は全く予想外れで意味のないものだったとコメント。ピニェラが悪いのか彼らがひどいのかはわかりませんが。
今月末に彼は中国・韓国のアジア訪問をしますが、その旅に先日、ブラジル大統領がチリ訪問した時、問題を起こした両議会の議長に同行するよう要請、何とか関係の正常化を図ろうとしています。
週末に特集記事が出て、野党側の次期大統領選挙候補が上げられました。中道キリスト教民主党DC党、社会党系、独立系、そして一番左の共産党まで候補者は10名ほどもいますが、全くカリスマがなく、人気を集めるとか、注目されているという候補者はゼロとか。じゃ。また右翼に勝てませんね。現野党の中心政党だったDCは野党と組むのか与党と組むのか意見が分かれ分裂気味。もうここ数年同じ傾向ですね。中道のDCは共産党新左翼と手を組むのは不可能ですから。 
 
市民調査でピニェラを支持するが下がり、支持は34%、不支持は53%まで上がりました。昨年はそれぞれ60%、29%だったのですが。ピニェラの打つ手が困難な状況にピッタリ当たっていないことが市民の頭によく入っていますね。

2) 国家監査長の動き
ベルムデス監査長は各市町村の会計状態をチェックしたが、多くの市町村で疑問が見つかっているとコメント。その中にチリで最も有名な保養地のビーニャ・デル・マルがありました。最右翼のUDI党は自党を代表する区長を批判するのを許せないと彼に辞任を要求、もし彼が自主的に辞めないなら議会を通じて引きずりおろすとしました。彼は「正常な仕事を行って、それを理由に辞任を要求されるのは理解できない。さらに2015年から2019年までの間で、自分が調査した市・区は現在の野党に属する区長・市長が多く、UDIなどの現与党を狙って仕事をしているのではない」とキッパリ。しかしチリの政党の基盤も情けない状態ですね。
専門家のコメントでこれはチリ国家全体の大スキャンダルになるだろうとコメントしています。
3)べネスエラ問題
水不足と停電が続き毎週、生活環境は悪化していくようですが、チリ与党のRN党の議員チャウワンがカラカスを訪問し、グアイドと面談。どんな話をしたのかな? 
アメリカが後ろから手を出しているのは間違いないでしょうが、マドゥロの悪政も間違いないですね。アメリカはキューバへの原油の輸出を禁止しました。そんなこと勝手に決められるの?北朝鮮への制裁と同じですね。

(経済)

1)経済成長率
昨年のGDPは4%成長し、今年も3-4%は増加するといわれていますが、なんだか2%台に落ちそうな気配。今年に入って第1四半期は2.0%しか増えませんでした。
2)銅価格と為替
銅の価格は2.91ドルと少し下がりました。為替は1ドル664ペソでした。最近、大きな動きはありませんが、このレベルの数字なら大蔵大臣もゆっくり眠れますね。

(一般)

1) 警察・裁判所の不祥事
いやー驚きました。警官の不祥事はメキシコなら不思議でないですが、チリで、(一人や二人の個人的犯罪は除いて)、組織的に悪事を続けていたなんて信じられません。その警察犯罪グループは麻薬組織の家宅捜査をして、出てきた麻薬・現金・宝石を自分たちの懐に残していたなんて。それをほかの警察組織が見つけ、該当警官の電話を盗聴し、10名ほどの警官を一網打尽にしました。しかしその組織だけではないでしょうね。そこまでひどいとは思いもよりませんでした。
おまけに、その警察に逮捕された犯罪者を調べる裁判官が、それらとつるんで、金を払うと保釈にしていたとか。ランカグア地方裁判所の3名の裁判官です。過去数年の彼らの下した判決を全部、調べなおしているとか。いやはや。
この3名のほかに部下など10数名が容疑者になっています。つまり組織全体が黒いわけですね。
しかしチリもひどい、右も左もない、バチェレットもピニェラも同じでしょう。そこまで悪いとは思ったことがありません。長い間書いているチリの風で最も悲しい・寂しい記事ですね。そんなことが1月、1年で起きるはずがないから、私がチリのことをよく知らなかったということでしょう。
その記事は1週間くらいマスコミのトップニュースになるはずですが、あまり出ません。政府がマスコミに頼んで書くのを停めてもらっているのでしょうか。それこそピニェラが全テレビ局を使って問題点の発表、それにどう対応するか報告する必要がありますね。
2) カトリック問題
大司教(単に代理人かもしれませんが)アオスはローマ法王と面談するためバチカンを訪問中ですが、その面談の様子が全く報道されません。まさか、もうチリから来た神父・司教には会いたくないということはないでしょうが、どうして面談内容が報道されないのかな?
それから彼の前任の大司教エサッチについて、担当検察官が「彼はひどい。調査に関し検察に全く協力しようとしない」とテレビの番組で発言。エサッチはチリの裁判システムを信用し、全面的に協力すると言っていたのですが・・・えらいウソつきですね。

(スポーツ)

1) サッカー
FIFAの発表でチリはランクを下げ15位になりました。どこにも勝てないならもっと下のような気もしますが。
国内リーグ戦は7試合目を終えてトップはウニオン・エスパニョール、2位はカトリカです。
人気のコロコロは負け、チリ大学は引き分けでした。
しかし不思議なのは個別のチームが南米大会で活躍しています。リベルタドール杯に参加のチリの3チームは好調です。各4チームが8組みに別れ、それぞれから決勝リーグに進む2チームを勝ち取るリーグ戦ですが、チリのチームはすべて2位につけています。
カトリカ、コンセ大学それにパレスチノです。
17歳以下の南米大会の決勝リーグ戦でチリは今まで二戦二勝と首位です。どうなるかな。
2)マラソン
今日、サンティアゴラソンが実施されました。参加者数は3万3千名と過去最高。外国人が4000名。一番多いのはブラジルでした。それからフルを走ったのは6300名。そのうち1200名は女性です。
ただし世界有名選手の参加はなくレベルは低下です。優勝はいつものようにケニアの選手でしたが、2時間10分は切れません。テレビで全行程を中継しましたが、彼の走りは、記録は世界的にはもう一つでも、素晴らしかったです。レースの途中で一人のランナーが心臓まひで亡くなりました。残念ですね。
ただ、大規模レースが成功したと発表されましたが、レースのコースに交わった道は全部ストップがかかり、運転手がここでもう2時間も待たされていると泣いていました。


以上