(政治)

1) チャべス大統領の死去
まるでウーゴ・チャべス大統領がチリの大統領のような扱いでした。連日、各テレビ局の番組は大半が彼に関連した番組でした。新聞も同様でした。チリだけではありません、スペインの新聞も同じような扱いでした。でもインターネットで見ていると日本ではごく小さな記事にしかなっていなかったようで、極端な差がありましたね。
彼の死を悼むべネスエラ市民の数が半端なものではありません。北朝鮮のように街頭で泣かないと罰則があるのではなく、市民が本気で泣いているようでした。日本の新聞には何万人の集会とありましたが、チリの報道では何十万人となっていました、テレビのニュースの群集を見ると日本の新聞社は数の数え方を知らないか意図的に数字を小さくしていると思いました。確かにそんな人気のある大統領がどこの国にでもいるわけはありません。
私は彼の実施した政策を好きではありません。自国の豊富な石油資源を利用して国内でも、国外でも極端なばら撒き政策を最後まで貫きました。そこのガソリン価格はほとんどただのような極端に安い価格で、市内の地下鉄の車内は夏でも寒いくらい冷えていました。また国有化を図って欧米と対決姿勢を続けました。べネスエラの石油は世界トップの埋蔵量ですが、国有化の同国には欧米の資本は近寄りませんね。そこで中国かロシアが接近して石油を掘り出せば、世界戦略に影響でしょう。そうかアメリカはシェールガスで対抗かな。
何年か前にエンジェルの滝を見るためにべネスエラを訪問しましたが、犯罪が多く、カラカスは世界三大危険都市に入るくらい。どこに民衆のための社会があるのか分かりません。しかし彼の人気はすごかったです。国中に熱狂的なチャべスファンがいました。
ボリビアやアルゼンチンの大統領は死去のニュースにすぐに反応してカラカス入りをしました。彼らがどのくらいチャべスから援助を受けていたか分かりませんが、クリスチーナkの場合はそれを自分の懐に入れていたかもしれませんね。 チャべスはフォークランド問題でイギリスを批判し、未だに植民地主義の考えを他国に押し付けているとしていました。もちろん盟友モラレスのために、いつか私はボリビアの海で一泳ぎしたいとチリを批判していました。
結局、ピニェラも葬式には参列しました。
ところでそのピニェラの政権もとうとう最後の1年になりました。日曜日の夜、ニュースを見るためテレビの前に座っていると、特別番組が始りました。ピニェラが出てきて、「世界各国で経済危機から社会不安が起こっているのにチリではそれがない。私が政権を引き受けた3年前、あの大地震から2週間後だったが、その負の後始末から始め、苦戦していたチリ経済を立て直した。失業者数が減少し、賃金も上昇した・・・」と宣伝を始めました。
政権最後の1年間の目標発表かなと思っていると「最低賃金を20万ペソに引き上げます。3月ボーナスとして各家庭に4万ペソを差し上げます・・・」
そうか今月中にバチェレットの大統領候補宣言が出そうだから、その先手を打って中間層と貧困層に擦り寄っているのだなと言うことが分かりました。問題は彼が不人気な大統領なので、チャベスと大きな違い、せっかくの甘いお誘いが茶の間にしみこまないのです。
2) 先週までボリビア兵士のチリ領土不法侵入がニュースになっていましたね。その兵士がボリビアに送り返されてから、チリのテレビ番組に国境の様子が報道されました。夜中に赤外線で人や車の動きを調べるわけです。正規のルートを離れたところにチリとボリビアを結ぶ道路がおかれています。密輸業者が作成したのでしょうか。そこを通過して物資(盗まれた車を含む)がボリビアに運ばれます。もちろん全部が盗品ではなく、ボリビアの会社がチリ経由で正規に輸入したものを、ボリビアの税金を払わないためここを通過して入国することも行われるわけ。チリのテレビのカメラに、そこを通過する車やトラックがボリビア側で賄賂を払っているのが出ますが、受け取っているのはボリビア兵でした。
モラレス大統領が口をすっぱくしてチリやピニェラを批判し、「ボリビア兵は密輸業者を追ってチリ領土に入ったもので、彼らの職務をたたえるのが当然で刑務所に入れるのはまさに政治犯扱いだ」とコメントしました。もちろんチリの警察・軍隊がこのテレビの番組の内容を知らないわけはなく、チリ政府の指示で沈黙を保っているわけですね。チリの反撃はそのうちですかな?
兄貴のチャべスの死をそのモラレスは毒殺されたものとコメントしています。チャべスはそれを避けてべネスエラの病院に入らずキューバで手術を受け、死期が迫ったので本国に戻ってきたのだと思います。
金銭面も含めチャべスの援護がなくなったモラレスはチリと対決できるかな?