(政治)

1) ピニェラ動向
今週の大きな話題は二つありました。
ボリビアの海裁判と軍事政権可否の国民投票の記念日です。

月曜日、朝から晩までテレビのニュースはボリビアの海裁判に関するものでした。裁判には勝ち負け、引き分けがありますが、今回のボリビア提訴はチリの完勝でした。
その晩、先週に続いて彼は全テレビ局で夜のニュースの前に10分ほど特別番組を組みチリの勝利を宣言しました。
今週の市民調査は前回と異なり彼を支持するは51%、不支持は34%と風は順風です。
一方、ボリビア大統領モラレスはチリとハーグ国際法廷を厳しく批判し、クレームの書状を国際法廷に送るとか。同国外務大臣はこうした判決を尊重する必要は全くないとコメント。 それならなぜそこに訴えをだしたのかな?
ラゴス元大統領は国内で論議する項目が多くあるから、しばらくの間ボリビアは頭から消そうとコメント。

10月5日は1988年の国民投票の30周年記念日でした。1973年に軍事革命を起こしたピノチェットが後8年間、政権を継続することの可否を問うものでした。
右翼軍事政権対左翼民主主義と言う雰囲気でしたので、現行の右派政権で反対票を投じたのはピニェラだけだったでしょうね。だから最右翼UDI党はピニェラ批判をするわけです。ピニェラはモネダ宮殿で記念式典を計画し、それに野党側も招待しましたが、野党側は参加せず、与党のUDIも欠席。与党内の分裂が明らかに。
右翼側はノーに投票すれば、共産党がまた政権を握ると脅していましたが、それは全くの嘘で、ピニェラ政権のように右翼も政権を取っています。
つまり軍事政権の後は国民が右でも左でも選挙で自由に選べるようになったわけですね。良かった、ノーが勝利して。
それは私の人生で最も興奮・緊張した投票でした。5時に投票が終わってその5時間後、夜の10時に第1回の開票結果が発表されました。わずか3%の開票でイエスがわずかに上回っていました。このまま開票が進むのか理由をつけて投票を無効にするのか分かりません。どうなるのかチリ中が緊張。
翌日、ピノチェットが敗北を認め問題は終了しました。
軍事政権時から現在まで経済的にどう変化していったか見ると、一人当たりGDPピノチェットの時は4900ドル、そして初代の大統領エイルウィンで7600ドル、フレイは10600ドル、ラゴスで12800ドル、その後も順調に伸びて今年の予想は25700ドル。民政化が成功した証拠になりますね。
同じように貧困層ピノチェット時80%、エイルウィン68%、フレイ47%、ラゴス36%・・。今年は9%の予想です。
私がチリに入った1979年のチリは終戦直後の日本のように、どこに行っても貧困層という雰囲気でしたが、それが大きく変わりました。
30年前は53%が継続拒否のノーに投票しましたが、もしそれがいま行われれば70%がノーと投票するとか。
30年前のテレビの画像が頻繁に流れますが、テレビ局の人も30年経って同じアナウンサーでもその頃の顔と今の顔はかなり違いますね。そういう私も同じでしょうね。
ところで現行国会議員の64名は18歳になっていなかったので投票していないとか。                  

キンテロ公害問題で、数字が出始めました。二酸化炭素の場合毎日の数字が大きく動いています。コデルコ銅公社は二酸化硫黄が市民に影響を与えているようだが、それは自分たちの工場から放出されていないとか。
こうして調べていけば少しづつ、真実に近づくでしょうね。金曜日、再度警戒警報が出て、工場の操業規制が行われました。翌日、土曜日は警報解除。上手く機能し始めたかな? そこの漁業組合の人が死亡。警察は自殺としましたが、家族はそれまで誰かに脅されていたと殺人を主張。どうでしょう。

彼はこの週末欧州に飛びました。フランスをはじめ各国の首脳との会談の他、ローマ法王とも会うとか。今年の始めの法王のチリ訪問は惨めでしたね。その後も惨めですが。
            
公共交通システムのトランサンティアゴで使用されているバスが古くなってきたので新車を導入します。その690台のバスの内200台は電気バス(EVバス)で新導入になります。通常バスも従来のバスの排気ガス量の半分と大気汚染問題に好影響と言われます。                   今週もトレッキングで山に入りましたが、上から見るとスモッグが街を覆っていました。ところでEVバスは中国製です。