(政治)

1) ピニェラ大統領は来週エクアドルを日帰り訪問すると、突然、発表しました。これは先日コレア同国大統領が警察軍に拉致監禁され、軍事クーデター直前まで行った危機を乗り越えたのを祝福するためですが、国際裁判所で進行中のペルーから訴えのあるチリ領海問題に側面援助をお願いするためでしょう。
それからボリビアのモラレス大統領が突然チリ訪問をするらしい。同国の政治緊張はどう見てもほとんど救いようのないほどですが、現在チリとの間ではシララ川とラウラ川の使用権が懸案事項になっています。来月、政府高官会議がサンティアゴで行われるようですが、それに先立って33名の生き埋め労働者の一人がボリビア人と言うことを利用してのチリ訪問でしょう。同大統領は先週サッカーの試合で相手プレーヤにキックを入れましたが、大統領のするプレーではないですね。で、なんだか国を代表する大統領の動きと言うよりその辺の中小会社の社長の動きのように見えます。
さて先週アルゼンチン政府が、チリの右翼政治家暗殺容疑の人間に政治亡命を認めたことから両国間の緊張が高まっています。10月14日にサンティアゴで予定されていた両国内閣の会談を延期することが発表されました。これに関連して、チリ社会党の党首アンドラデは当初、同被告のチリ送還を要求していましたが、党内の意見を受け入れて「アルゼンチンとの友好はチリにとって最重要事項の一つだから同被告の送還がないからとして対立関係になるのは得策ではない」と見解を変えました。左翼として当然の見方かな?
2) 生き埋め労働者の救出作業の件に隠れてマプチェのハンガーストライキのニュースが見えなくなりました。ほとんど全員がストを中止した後も約10名の服役者がストを続行していましたが、今週政府と話がついてストを中止しました。政府が彼らをテロリストとして裁判所に訴えていたのを全部、撤回し通常犯罪として取りあつかうことになりました。これで刑が軽減されます。しかも一部の服役者は一時保釈になったようです。この後、政府は彼らに車や家屋を焼き討ちされた被害者を回って理解を求めるらしい。しかし被害者の側としては、ピニェラ政権の取引を快く思わないでしょうね。
来週、国会で先住民に関する保護法律について討議されるとか。同じような法案がバチェレットのとき、提案されましたが、否決されています???
3) 10月5日はチリにとって記念すべき日です。88年のこの日、ピノチェット政権にノーをつきつけ、新しい政治体制に入ることを国民が投票で意思表示した日ですから。毎年、政界をあげてお祝いをしていましたが、今年は右翼に政権を取られてしまった旧与党側にお祭りをするパワーはなく、4人の元大統領は誰も出席しない寂しい集会に終わりました。