チリの風  その845  2019年7月22日‐28日

首都圏は今年に入って最も寒い週になりました。と言っても最低気温は零度ほどです
ある日、サンティアゴはマイナス1度、アメリカ大陸の最南端の街プンタ・アレナスは零度でした。
これは日本で言うと、東京の最低気温が北海道、稚内より低かったと言う感じかな????

土曜日のサッカー教室は冬休み最後の週末だったので参加者は前回と同じく8名。寂しいけど、ちゃんと最後まで練習しました。
日曜日のマラソンはそう寒くはなく仲間と走行。記録を目指して走った以前の気力は最近はないです。
毎週1度の山歩きは、夏も冬も同じですが、今週も実施。週末ならかなりの登山客でにぎわう山岳公園も
週日はほとんど誰もいません。自然の中、一人で歩きを楽しみます。放牧の牛や馬はいつもいますが、
今年はほかの動物、キツネ、ウサギ、リス、コンドルなどは見ていません
数年前に見た16年ゼミも懐かしいです。

(政治)

1)爆弾騒ぎ
  先週のオソルノ市の水道問題は水の供給は解決に向かっているようですが、
  その弁償をどのようにするか(会社の推定では27億ペソ)、また水道会社をどう取り扱うか(契約解除するとか)が
  残っています。
  しかしそれはどこかに消えて、今週は爆弾事件で大騒ぎです。
  数年前に地下鉄の陸軍学校駅の外の商店街で爆弾が爆発し多数の負傷者を出しましたが、それ以降、
  頻繁に似たような事件が起きています。今年の初めにも同じ問題が起きていますね。
  今回は爆弾が、首都圏の警察署に郵便小包として送られ、それを開けようとした警官と近くにいた同僚が
  8名も負傷。入院しました。同じ日に、第1次ピニェラ政権で内務大臣をした人のところに同じような小包が
  届きましたが、そこでは爆発は起きませんでした。
  ピニェラは直ちに反応して、国会で緊急にテロリスト法案を発効させてほしいと要請。
  それがあると犯人探しが現在よりやりやすくなるとのこと。
  しかし今年に入って何回か爆弾騒ぎが起こり、犯人グループの声明も出ているのにだれ一人
  逮捕されたのはいません。新法案がなくても犯人逮捕の道は開かれているはずで、法案のせいにせず
  警察が地道な捜査をして犯人逮捕をしてほしいもの。
  同じころ、北部のカラマ空港で爆弾が置かれていると騒いだ男が逮捕されましたが
  彼はコデルコ銅公社の部長でした。裁判にかかりやすくするため、コデルコは直ちに彼を解雇しました。
  しかしそんな重要な仕事をしている人間も冗談か本気か知りませんが、爆弾があると騒ぐわけですね。
2)外交問題
  土曜日、ピニェラはモネダ宮殿に中国の外相を招き面談。詳しいことは報道されていませんが、
  中国のチリへの投資について話し合ったらしい。中国もまだ頑張りますね。
  さてべネスエラを訪問し報告書を書いた国連高官バチェレットに、それは一部の見方でべネスエラを
  傷めるだけだと批判をした共産党のハヅエ区長は、党内からの突き上げられ、「間違った見解を公表してしまった、
  申し訳ないと」公式に自己批判をしました。これをやらないと次期の選挙の時、野党の「新多数」から共産党
  排除されそうですからね。
  ところでそのバチェレットは私は次期の大統領選挙に出馬しませんとコメント。最も野党内からは、
  それは今の段階でのコメントで、2年後にはどうなるか誰もわからないと言う声が出ています。
  べネスエラの続きですが、現政府がフィリッピンの人権問題を批判しないなら、どうしてべネスエラには
  人権問題があるというのかと声が出ています。同じ見解ではないというわけですね。
  先月、チリに亡命要求を出した3400名の99%はべネスエラ人でした。
  もう1か月になりますがペルーのチリとの国境の街タクナにあるチリ領事館の前に大勢のべネスエラ人がテントを張って
  生活しています。チリ入国のビザをもらうためです。
  ペルーの警察が今週そのテントを撤収させました。さらに必要ならチリ領事館を違う場所に移動させるとも。
  近郊の人は毎日、異常な生活を強いられ、それに反発し始めたわけですね。
  市民調査ではピニェラの移民政策を支持するという人が73%。珍しく高い支持を得ています。
  もっとも彼を支持するは29%、不支持は58%とひどい状態。大臣の中では教育大臣の支持が23%と最悪。
  それは長期間の教員ストが悪影響でした。そのストはやっと終焉。授業の時間数が足りなければ、
  普通12月の初めに学年は終わりますが、一部の学校は1月末まで授業が続くとか。
  生徒もその親にも責任はありませんが、厳しい年末年始になりそうです。
 3)軍隊の予算を確保するための銅法案の廃止
   コデルコ銅公社から直接、予算を入手する方式をやめ、第3者、つまり国会や監査室などの手を通して軍の 
   予算を確保することになりました。チリの4軍が不正な予算使用をし、それをコントロールする体制がなかっ
   たのは自明で軍隊が、コデルコの売り上げを吸い上げ勝手気ままにやってきたのが大変革されるわけです。
   ピノチェット軍事政権の手で行われたこの仕組みを民政化以降、正常化しようとしましたが、反対の声も強
   く、今日まで改正できなかったわけです。もっともこの改正も後ろのほうに、小さな文字で例外規定など
   あるかもしれませんね。コデルコは近い将来ペルーに投資をして銅の生産を始める計画があるらしい。
 4)検事の辞任
   少年院で事件(殺人・傷害など)が続いた件で、それを担当していた検事が検事総長と認識を一致できないとして
   辞任しました。少年院の組織に問題があるとして、バチェレットの時代の法務大臣を調べようとしたら、
   阻止されたこともあるようですが、司法界も怪しい雲が浮かんでいるわけですね。

(経済)

1)失業率
   首都圏の失業率が過去3年で最悪の8.4%まで上がりました。男性より女性の失業率(9.3%)が高いです。
   大蔵大臣はこの数字は移民の数の急上昇から来ているとコメント。ホンマかな?
 2)物価上昇率IPC
   毎月の物価上昇率をIPC指数で発表しますが、その指数にエラーがあったことが先日分かりました。
   それが単なる計算ミスなのか、悪意で意図的に数字を変えたのかまだはっきりせず、時間が経過していました。
   もちろん幕の後ろでネゴしているのでしょうね。ところが今週、その関係者がこの事件で自分の立場に悪影響を
   与えたとIPCを作成する統計局を訴えました。彼個人の問題はともかく、そのエラーが単なるミスだったのか、
   だれかが後ろで指示をしてIPC指数を変えていたのかはっきりさせたいですね。
 3)銅価格と為替
   ポンド当たり2.7ドルと一向に上向きません。中国の景気はどうなのでしょう。             
   為替は1ドル697ペソです。
   米ドルが世界で勢いを増しているようですが、それほどアメリカの景気は良いのかな?
4)リチウム
   チリの命綱の銅だけでなく次世代はリチウムが重要鉱物だと言われますが、今週コルフォ開発公社の発表では
   先のテンダーで勝ち抜いて生産権を獲得した会社の内の3社(中国、韓国系など)が、その権利を放棄すると
   連絡してきたとか。チリで発掘・精製したリチウムを使って製品を作る工場ですが、リチウムの値段が安定しないことや
   製品の将来性を低く見込んだのかもしれません。
   人気の鉱物でもしっかりしたコスト計算がなければ、儲けが薄い(無い)ことになるわけですね。
5)厚生年金
   チリの厚生年金の運営は最も危険だが利益率が高いAランクから利益は薄いが安全なEまで5段階に分けて機能されて
   います。
   それを払い込んでいる各自がどれを選ぶか権利があるわけです。
   今年、1月から7月の今週まで一番利益率が高かったのはランクDで利率は12.1%。派手にもうかりましたね。
   さぁそのまま年末まで続くかな?

(一般)

 1)高齢化
   日本に行くと、道を歩いている人の高齢化が分かりますが、ラテンアメリカで一番高齢化の進んでいるチリでも
   中高年の人の数が目立ちます。私もそのうちの一人ですが。
   テレビの特集番組で老人の生活を紹介していましたが、年金額が低く通常の生活ができない、病気になっても
   病院に行けないなどと訴えていました。多くの人が家族や隣人の助けで生活しているとか。
   年金額を上げるための法律改正は最近よく話題になります。
   もちろんチリにとって初めての経験なので、政府もどの手が一番有効か手の打ち方がよくわからないみたい。
   それでその道の先輩の日本に勉強に行くわけですね、確かこの年末でしたが。

(スポーツ)

1)パンアメリカスポーツ大会
  今週から、リマで国際大会が始まり、チリから参加の選手の活躍が望まれます
 2)サッカー
   久しぶりに国内リーグ戦が始まり、後半戦の第1回戦が行われました。
   首位のカトリカが勝って2位のコロコロが引き分けたため、勝ち点の差は6に開き、その差が大きすぎるので
   優勝争いが盛り上がりません。


以上