チリの風  その832  2019年4月22日―28日


冬の気配も出て、南部のあちこちの町で大気汚染の警戒警報・非常事態宣言が出ました。薪ストーブをたくからですね。

今週は体調も良くなっていつものようにスポーツを楽しみました。トレッキングは久しぶりにサン・ラモン山岳公園に行き、川のせせらぎを味わいました。
土曜日のサッカー教室は30数人の参加者で実施、基礎練習の時、人数が多かったので低学年は私の息子、高学年は私が担当しました。急に参加人数が増えたのは、PTA総会の後に実施されたからで、次回はずっと減るでしょう。              
日曜日のマラソン練習は4名で実施。暑くも寒くもない絶好のマラソン日和でした。明日、日本に帰国する吉田さんは今日が最後の練習、思い出として彼に何とか追いつきたかったですが、私の実力ではそうはいきませんでした。世の中、そんなに甘くはありません。

(政治)

1) ピニェラ動向
月曜日にアジア外遊に出発。先ず中国へ。首脳と会談し友好関係を確認しました。ほとんど1週間も中国に滞在、一帯一路セミナーに参加とか、アメリカに警告されたようですが、フアウェイの首脳と面談もしました。首都圏の公共運輸に使う電気バスの会社幹部とも話し合いました。しかし1週間は長すぎますね。            明日、韓国首脳と面談とか。

さて新聞にどうして世界で中国批判の声が出ないのかという特集が出ました。南米のべネスエラに民主主義・自由がないと各国が批判しているなら、同じように人権問題を抱える中国にそう言ったコメントをするのが正常ではないか問うものです。     
ピニェラは中国で、同国との長い友好を大事にし、アジアと南米の架け橋を築きたいとしましたが、同国の内政にはまったく口を閉ざし、各国にはそれぞれの内情があるとしています。もちろんチリ共産党からそれはべネスエラを厳しく批判するピニェラの言動とは矛盾するとコメントあり。

彼の中国訪問に二つ疑惑が出ました。一つは彼の子供を二人、同行させたことです。バチェレットも同じことをしていますが、彼女の息子は一応、政府機関で働いていましたから、理由は成り立ちますが、ピニェラの場合は、全く私的に同行させました。ただ、費用は国費ではなく個人的に払っているとか。
それから随伴メンバーにアントファガスタ・マイニングのオーナーがいましたが、コデルコ銅公社の社長はいませんでした。そのピサロは自分がなぜ、招待されなかったのか不可解とコメントしたため大騒ぎとなり政府からチリでする仕事はあるだろうと叱るようなコメントが出ました。うるさくするなということでしょう。チリの命綱の銅にとって最大の供給先は中国ですから国営銅公社コデルコの社長のいうことも理解できます。政府と対立したわけですが、彼はこの問題から辞任することはないとコメント。

2) 司法の危機
素人の私には裁判所・検察局内の混乱を全部理解することは不可能ですが、小説のような動きがかすかに見えてきます。
歴史はじまって初めて裁判官が被告として裁判になりました。どんな気持ちで裁判所に行くのかな?1月前は人を裁くために入った法廷に今度は自分が裁かれるなんて。彼の口座に怪しい金が入っていたことは確認されています。麻薬組織などとも関連があったようで、もちろん彼が個人で動いたのではなく、弁護士が仲介しているわけです。
それら3人の裁判官を裁く裁判をランカグア地方裁判所で行わずサンティアゴで実施するとしていますが、それらの動きが混乱・疑惑を呼んでいます。
それから検察内部の方も大混乱。アリアスとその部下のモヤの争いは二人の間の問題なのかそれより大きい問題を代理で争っているのかわかりません。その二人はバチェレットの息子夫婦のカバル問題を調べていたわけで、競合ではなく相互援助のはずだったのですが、今は部下のモヤが上司を怪しい動きがあったと訴えているわけです。アリアスは検察庁官はモヤにランカグアを出てどこかの地区の検察官につかせると乙波したとコメントし、上司が二人を争わせる仕組みを作った可能性も有る由。
驚くのは、前政府はそのアリアスに政府機関に入らないかと誘ったらしい。
バチェレット(かその部下)が彼の能力を見込んで勧誘したのか、厳しい監査をするアリアスを外そうとしたのかわかりませんが、それくらいは考えられますね。
そのアリアスは息子夫婦のカバル事件に関し、ランカグア市長にメールを送り様子を知らせていた由。それは通常なのか、一線を踏み越えていたのかわかりません。
ところでその検察官ですが、長官は月収930万ペソ、検察官はほとんどが男性、平均年齢は50歳、約720万ペソの収入を得るとか。大手企業の取締役のようなレベルですね。
そのカバル事件に関連したチャドウィックは現在の内務長官の近親ですが、それに関し内務長官が書いたメールが疑惑を呼びました。つまり事件隠し、事件を軽くする手助けを行ったとみられ、彼の更迭を要求する声が出ています。
昨年あのマプチェ青年殺人事件の時、銃撃戦で射殺されたと事実と全く違う報告をしましたが、ピニェラはその時、彼を庇い、処分することを避けました。

3)TPP11
先週のチリの風で、新左翼議員がTPP11に反対するのを批判しましたが、翌日の新聞の社説で、同じ意見が載りました。自由貿易のメリットを認識できていないというわけです。と言うことはこれに関した私の見解は一人の外人がチリを見ているという異論ではなく、チリでは正当なものだったということになります。
バチェレットが役に立たないと私は批判していましたが、現在ではピニェラも大同小異と言わざるを得ません。
警察軍のトップの不正事件の中で実施されなかった旅費の使用が百万ドルを超えると発表されました。最近だけでなくかなりの期間にわたって行われていたわけでバチェレットもピニェラもそれを見つけ出せなかったか見逃したかのどちらかですね。
そして次の大統領候補に有力な、魅力のある候補者がいないということも悲しい事実です。メキシコ、ブラジル、アルゼンチン、ペルーとか最悪レベルの政治家があふれている国よりはマシですが、チリの将来も雲がかかってきましたね。

(経済)

1) 発電
大気汚染問題などから石炭による発電は縮小すると言われていましたが、チリの今年度の発電源は圧倒的に石炭で、予想では40%。次いで水力発電で29%、天然ガスが続きます。風力・太陽光の発電も少しずつ増えています。
2) 銅価格と為替
銅の価格はポンド2.9ドルとやや下がりました。為替ですが1ドルは674ペソとほぼ先週と同じ。

(一般)

1) キリスト教
新教プロテスタントの司教が辞めさせられる模様です。彼は自分は神に任命されたと大見えを切っていますが、周りがそれを認めず内部分裂状態。
おまけに不可解なのは金曜日に、教会事務所に賊が入り、大事なパソコンなどを全部盗まれました。彼にとって不利な情報がなくなったわけです。誰が盗んだのと言われています。金品は盗まれていません。事務所の管理人が逮捕されましたが、そのあと、釈放になりました。  
ところで彼が所有する家屋の数は23軒、高級自動車を8台、預金は24億ペソとか、規模が違いますね。
それに先日離婚した奥さんのほかに2名の愛人がいたとか。数年前から怪しいうわさは出ていましたが、彼を組織から外す力はなかったらしい。
彼の息子は国会議員ですが、その息子も家屋を多数所有しているようで、その資金の出所が調べられています。息子は与党側のRN党に所属しています。いつものように右も左も同じという醜聞でしょうね。
しかしキリスト教の醜い事件はこれからも継続しそうです。
2) 交通機関
サンティアゴの場合、バスが最も重要な交通手段でした。10年前の2009年、バスが1年で12億人を運びましたが(月1億人ですね)地下鉄は半分の6億万人でした。それが昨年はバス8億9千万と下がり、地下鉄は7億2千万に
    急上昇。それは新線の開通があったからですね。

(スポーツ)

1) サッカ-
国内リーグ戦は首位から順にカトリカ、ウニオン・ラ・カレラそしてコロコロです。カトリカはここまで危なげなく進んでいます。
人気のチリ大学はまさかの最下位。このままだと2部に転落です。そうなればファンが球場の内外で暴れまわるでしょうね。
リベルタドール杯に参加の3チームは今週の戦いで厳しい状況に追い込まれました。パレスチノは1次リーグ戦で敗退。カトリカとコンセ大学は最終戦に勝てば、1次リーグ戦突破になります。その両チームは今週の試合で90分、勝っていたのですが、追加の時間にゴールを決められ引き分け。残念でした。
2) テニス
バルセロナの大会に出場したチリの2選手の活躍ですが、ジャリ―は世界ランキング3位のスベレフを破りました。その後、敗戦したので準々決勝まではいけず。もう一人のガリンは世界20位のシャポバロフを破り準々決勝に進出。そこで残念、敗れましたが、世界レベルにあることが証明されました。

以上