チリの風その831  2019年4月15日―21日 

イースターの休日が週末に入ったので、多くの車が郊外を目指して出かけました。最高気温が18度という日が2日もあり、サンティアゴは秋の気配が深まり、紅葉した街路樹の間の歩道を歩く楽しみが増えました。
今週もクラシックのコンサートに行きました。ウクラニア出身の若いピアノ演奏者のバッハやモーツァルトの曲を聞きました。奏者のすぐ近くの席だったので指の動きや演奏に没頭する雰囲気がじかに伝わりました。
翌日のマラソン練習の時、彼の情熱で私も走ろうと決め平坦10Kコースでなく丘のぼり12Kコースを選びました。丘の上まで好調でしたが、そのあと足に痛みが出て、継続するか中止か悩みましたが、残念、歩きはじめました。そこから家に戻るまで距離があったので苦戦しました。可哀そうと言われそう。 日曜日のマラソン練習は4名で楽しく走りました。(嘘や。足の痛みが完治せず、私は仲間の後をヨレヨレでゴールしました)
昔はカトリック教会の復活祭ミサに行きましたが、今は全く興味を失い、嫁さんとそのお母さんと3人で過ごしました。

(政治)

ピニェラ動向
先週、終了した17歳以下の南米サッカー大会で準優勝したチリ代表をモネダ宮殿に招待してお祝い。それからローマ法王に会うためバチカンに行って戻ってきたアオス代表と面談。無事に戻ってきてよかったねと言ったのかな?
市民調査で彼を支持するは前回の33%から31%に下がり、支持しないは51%から52%に上昇。支持しない理由の中で一番多いのは犯罪が増加の一方でそれを抑える手段が有効に出ていないという点です。
先週のカトリカ対チリ大学戦に彼はカトリカのホームグランドのサン・カルロス競技場に応援に行きました。その試合、私はテレビで見ましたが、彼の姿がちらっと画面に出ました。数年前、投資としてコロコロ(株式会社)に金を入れたときはコロコロ・ファンだったのですが、さすが政治家、コロッと変わりますね。
TPPも問題
バチェレット政権時にチリが参加することを決定したのに、その時の与党(現野党)の新左翼がそれに反対、社会党など一部の議員もTPP不参加を表明しました。市場を開放することは大企業に有利になっても一般市民には得にならないとするわけですね。軍事政権時からずっと自由開放政策を継続し、成功してきたチリをここにきて拒否するような野党は全く値打ちがないです。
裁判所の問題
ランカグア裁判所の裁判官3名が職務停止処分になっていますが、彼らを追放するかどうかでもめています。もちろん彼らはまだ有罪とは決まっていません。さてその3名を調べるのを現地のランカグアでなくサンティアゴに変更することになりました。つまり担当の検察官が交替しました。
ランカグアのアリアスは有能な検察官と思われますが、検察総長は彼を外したわけです。まさか、有罪がはっきりするのは司法界にとって不利になるから、少しの罪で退職させようと考えているのかな?        するとなんとそのアリアスも怪しいと部下がコメント???
アリアスとその部下はバチェレットの息子夫婦のカバル事件を担当していましたが、その時、息子の嫁が地区の役所の幹部に金をつかませた事件で、容疑者が現政府の高官の親戚だったので、微罪で済まそうと図らったというもの。アリアスは全くそれを認めず、また辞任することもせず、最後まで自分の道を歩くとテレビの番組でコメント。    誰が誰と組んでいるのか、だれを陥れようとしているのか、よくわからない状況が継続しています。この後、あっと驚く大事件が待っているのかな?
その司法のスキャンダル(裁判官・検察官)がランカグアで起こった理由がそのカバル事件が原因だとして、バチェレットが(もしくはその部下が)自分の家族を有罪にしないように裁判所(もちろん組織ではなく担当の裁判官)に持ち掛けていたら、大事件ですね。
警察が彼女の家を訪問し、拘留所に連行しようとすれば、彼女はそれに対抗し、遺書を書いて自殺する。第2のガルシア事件になりかねません。小説の読みすぎかな?

キリスト教民主党DCの葛藤
先日の税制改正法案で一部の議員が政府案に賛成しましたが、それを批判しない現党首を支持するか反対するかが党幹部会で議論され、最終的に多数決で党首を支援することになりました。つまり半野党(半与党)ですね。
同じようなことがDCだけでなく社会党にも起き、トップを入れ替えるかどうかで党が2分されています。

腐敗の少ない国
チリも最近、おかしい雰囲気になりましたが、世界ランキングで26位という結果が発表されました。ラ米では、残念、ウルグアイの下でした。それでもまだチリは世界の中で腐敗は少ない国とみられているわけですね。日本は20位でした。                 同じような例ですが、ラ米で一人当たりのDGPが高いのは、チリ、パナマ、そしてウルグアイです。自由経済の度合いではチリがトップで、パナマそしてコスタ・リカの順。貧富の差がひどいのはブラジル・コロンビアそしてパナマ、チリは下の方の8位でした。    最近、急におかしくなってきたチリですが、統計の上ではまだ上位をキープしていることがわかります。
世界でもっとも貧困・生活しづらい国の一つにべネスエラが入りますが、マドゥロ政権に反対して隣国コロンビアに逃げた軍人が約1000名もいるとか。彼らは生活に困窮し、母国にはもう戻れないから、多くの軍人は何とか家族のいるチリに入りたいとしているらしい。

(経済)

経済成長率
今年の予想数字が当初の3.4%から3.3%へと少し下がっていますが、今回の発表ではまた下がり3.2%になりました。最も0.1%の差は大きな影響を与えないという見方もあります。日本は1%も行かないようですね。
銅価格と為替
先週とほとんど変わらず1ポンド2.92ドル、1ドル662ペソでした。進歩がなくても後退がないのは安心ですね。

(一般)

雨不足
今年は雨量が極端に少ないようです。一部を除いて北部はほぼ雨がなく、不足は約100%、バルパライソは88%、サンティアゴは80%の減少、雨の多いプエルト・モンでは52%足りないとか。一番南のプンタ・アレナスは40%不足。いつもの半分も降っていないわけですね。
キリスト教
カトリックの醜聞が毎週、話題になりますが、今週は元大司教のエラスリスが2日で合計12時間の尋問を受けました。しかし質問に無言を続けるか記憶にないを繰り返し尋問は進みません。彼は同性愛者を神父にしない方がよいと言ったらしい。今週、欧州で発刊されたバチカン関連の本に神父の半数以上が同性愛者と書かれているとか。    もう一方のプロテスタントも最悪の事態になりました。チリのプロテスタントのトップ、ドゥラン司教は十数億ペソと言う預金に多数の家屋、乗用車と巨額の資産を持っているのが報道され、どこからそんな金が入ったか問題になりました。貧しい人を神の名前で助けると言うのはよく聞きますが、信者の寄付を自分の懐に入れていたのでしょうか、まさか麻薬をしていたのではないでしょうが。
おまけに40年連れ添った女性と別れ若い人と結婚するとか。年少児を性的暴行するより若い女性と仲良くする方が犯罪にはならないでしょうが。
チリの人口の20%近くがそのキリスト教新教信者と言われますが、カトリックプロテスタントも破廉恥というしかないですね。
そのドゥランを解任しようとする動きが教会に生まれ、動き出しました。今週の幹部会でそれが議論されるとか。
新聞に識者の論文で、「どこまで行くのかチリの醜聞」が掲載されました。政党、議員、会社、警察・陸軍、裁判所、監査局、市役所(区役所)それに宗教界・・・、まだ膿が外に出ていないところがあるのか?それをどうすれば正常化に近づくのかという論文です。    ラ米の中では不正が少ない国とのイメージがあったのにそれがどうしてここまで落ちたのか?
今年に入ってチリの風を書いていて気が重いことが良くありますが、私だけでなく新聞の論調を書くほどの識者にもチリの現状は理解しがたいわけですね。
黒崎行方事件
フランスの検察がチリを訪問し、チリ検察を加え、チリ人の容疑者を検問しました。しかし全く進展はなかった様子。死体が見つかっていないので殺人事件と言っても進まないわけですね。テレビのニュースには出ましたが、新聞には詳しい報道はなし。日本から多くの報道陣が来ましたが、これでは仕事になりませんね。

(スポーツ)

サッカー
国内リーグ戦は首位のカトリカが勝ったのでトップは変わらず。人気グループのコロコロとチリ大は両チームとも引き分けでした。

以上