チリの風   その854   2019年9月23日―29日

立春ですね。
火曜日、サンティアゴは最低気温5度、最高気温25度でした。春が来たと言うより夏と冬がまだ席を争っているみたいです。       
金曜日、久しぶりに丘のぼりコースを走るつもりで外に出たら、小雨が降っていたので、1分で止めました。気合が入ってないかな。土曜日はいつもフェリア(青空市場)で花を買います。この習慣はもう10数年続いています。カトリカのユニフォームを着ていくとコロコロやチリ大ファンの店員からブーイングが来ます。チリでは普通です。カトリカはがんばっても最後に2番で終わることが多く、2番煎じ(セグンドン)と言われますが、今シーズンは断トツなので、彼らにこの週末はがんばれよと軽く馬鹿にします。
日曜日はマラソン練習。仲間と走って、その後、コーヒーを飲みながら話をする。それは楽しいですね。   
今週もマラソン・トレッキングを楽しみました。もう顔は日焼けで黒くなってきました。

(政治)

1) ピニェラ動向 
国連総会での活躍。ニューヨークに飛んだピニェラは同地でべネスエラ問題と環境保全についてチリのコメントを発表。
日本では大きな話題になっていないようですが、チリでは温暖化など環境破壊をどう防ぐかが大きな話題になっています。ピニェラはフランス・ドイツの大統領と並んで自然破壊を防ぐ運動をリードしているとか。もっともキンテロ地方の住民は彼に世界に向かって自然破壊反対を訴えるなら、まず自国のキンテロの自然破壊をやめさせるべきではとコメントしています。ピニェラはチリに戻ってからテレビの討論番組でこの件を聞かれ、長い間、チリ政府が適切な措置を取らず、現地の皆さんにご迷惑を掛けたと自己批判。これからその問題を解決するよう手段を取りたいとコメント。遅すぎると言うか、何をするのかなぜはっきり言わないのか、いまいち政治責任を放置していますが、少なくともチリ政府は右も左も環境保全問題で手を打ってこなかった責任を認めました。
スウェーデンの16歳の女性グレタはこの問題の提唱者として毎日マスコミで報道されています。ピニェラは年末のCOP25国際会議に彼女を招待しました。

帰国後、ピニェラは直ちに全テレビのネットワークをつかって来年度予算プランについて発表。「世界が、そしてチリも、困難な状況にあるのは自明だ。しかしチリは幸いなことに安定した国で、経済も健全な状態を維持している。それをどう維持・発展させていくと言うのが来年の予算のテーマになる。次のように提案したい」
彼はチリの経済成長率は昨年は4%、今年は2.5%が予想されているが、これは前政権時よりも上になっているとコメント。それはどうでもよいのでは。来年の予算は3%の成長率で、これは過去数年で最小の数字。野党からそれを突っ込まれる。
大蔵大臣は、銅の価格がポンド2.6ドルと思いもよらぬ低いレベルで、これではチリ経済は厳しいとピニェラと違って本音を吐く。

年末にAPECとCOP25の大きな国際会議がチリで開かれるのでピニェラは責任と期待を背負ってそれに対面します。
2)司法界の混迷
裁判所ではなく、検察の問題ですが、ランカグア地方検察局長だったアリアスは現在、職を外され宙ぶらりんになっています。地方検察局長としては歴史初めての出来事。検察庁長官が彼を嫌い、辞職させようと問題を裁判所に持ち出しました。それによるとアリアスは職を通じて得た情報をワッツアップなどで流したと告訴しました。アリアスは「自分が検察庁長官からすぐに解職させられず、時間がかかっているのは今までの自分の業績が、全く正常でしかもレベルが高いことだったと証明している。私は最後まで裁判所で争い、長官の訴えは非合法ということを証明したい」。何それと言いたいですね。

(経済)

1) ドミンガ鉱山
ラ・セレナ近くの銅の鉱山ですが、政治的な理由から開発中止となっていましたが、最高裁判所が政治的理由で開所の是非を問うのではなく、銅鉱山の運営が自然破壊をするのかどうか基礎的な事実で討議すべきとマインのオープンの可能性を残しました。
当然ですね、この鉱山が役に立つのかそうではないのか討議してほしいもの。
2) 銅価格と為替
1ポンド2.59ドルと低め安定。 為替は1ドル726ペソでした。

(一般)

1) 麻薬テスト
先週の18で行われたアルコールと麻薬テストの結果が発表されました。アルコールは検査者38035人、アルコールが見つかったのは318人(0.8%)そして麻薬テストは570人について行われ、コカイン、マリワナなどが検出されたのは136人、なんと24%でした。2%ではないですよ、24%ですよ。
先週に書いたように、この事実は見逃すわけにはいかず、ただちに高速道路の入り口で麻薬テストを実施すれば、大量の逮捕者が出るのは必然です。1週間続ければ運転手も車に乗る前は麻薬を使わないと考えを変えるはず、どうかな?
2)マプチェの争い
  警官にマプチェが発砲、負傷者が出ました
  まだマプチェの暴力闘争が続いているわけです
3) 薬品の値段
テレビの特別番組で2日にわたりチリの薬品の価格は他国よりずっと高いことが明らかになりました。そして市民が困っているがそれは何が原因で何をすればよくなるのか議論されました。
同じ薬品の価格をアルゼンチン、ブラジル、イタリアとチリで比較すると、なんと3とか5%でなく30%、50%、一番ひどいのは100%も差がついています。問題点として3つ挙げられ、先ずチリでは薬品の販売は大手3社で90%を占め、その3社が価格を決めているわけです。すでに談合罪で罰金を払わされていますが、それが良くならない。それからさらに大手会社の薬品に、それを代替できる安い薬品があっても薬局はそれを売らない。利益が上がるから店員に口銭を払ってでも高いのを売らせるわけです。最後に医者と談合して、高い薬品を患者に薦めさせる。こんなことが報道されても政府は動かないのは許されないですね。最も右のピニェラも左のバチェレットも同じですが。
私は静脈血栓症の患者で抗血栓症の薬を死ぬまで飲む必要があり、医者に薦められた薬を決められた量、飲んでいます。ある時、その薬が市場に足りなくなったので、それを担当の医者に言うと他の薬を指示されました。新しい薬の価格はそれまでの薬の半額。そして新薬品を飲んで月例検査を受けると全くそれまでの薬と効用に差はないことが分かりました。つまり医者の指示で私は過去数年、毎月何万ペソも無駄に払っていたわけです。私もそういう薬品詐欺事件の被害者でした。
さぁこの先、この問題はどう進展するかな?
4) 次官のスキャンダル
サラベリは地方開発局の副次官として大統領府で働く人間ですが、道路を赤信号で渡ったのをとがめられ交通違反書を出された時、俺が誰か知っているのかとか大声で検査官を脅したとか。この後、司法に彼の責任について任されるでしょうが、彼の所属する最右翼党UDIの党首は左翼側が政治的に彼を落とし入れるようとしているとクレームしました。問題はまだあって、彼が事故を起こしたニュニョア区に彼の妹が働いているので、その妹がその違反書を取り消そうとしたのが明らかになり、家族犯罪の色が出てきました。こんなの左翼も右翼もないですね。ところで、その違反書には彼は赤信号を3カ所、通過したとなっていますから、酒酔い運転とか、何か理由があって逃げようとしたのではないでしょうか。無罪の可能性は全くないと思いますが、政府が裁判所にお手柔らかに頼むと依頼するのかな?
違反して車を止められ、免許書、身分証明書を出しているわけで、身に覚えがないと言うのはあまりにもひどい言い訳。彼を辞任させようとする動きがありますが、右翼も左翼も関係なくそういう役人は消えてほしい。
5)自然破壊反対デモ
もう頻繁に起こっていますが、今週も自然保護を訴えるデモがチリ各地でありました。サンティアゴでは2万人と言われるデモ隊が道路に溢れましたが、いつものように覆面部隊が紛れ込み乱暴狼藉。マスコミの記者、カメラマンが襲われて重傷になっています。
COP25の国際会議に向けてこれからこの種のデモは数を増やすでしょうね。

(スポーツ)

1) サッカー
もういつもと同じと言う雰囲気です。人気3チームの結果ですが、コロコロは勝利で2位を確保、チリ大学は敗戦で下から2番目に落ち、このままだと2部リーグ転落です。首位のカトリカはまた4対1で楽勝し首位を確保、2位との差は開くばかり。
いつもと同じですね。

以上