チリの風  その855  2019年9月30日―10月7日

最低気温が3度と言う日が続くサンティアゴです。結構冷え込んでいます。金曜日は2度でしたが、南米最南端の町プンタ・アレナスより低温でした。これは日本で言うと東京の最低気温が稚内より寒かったと言う感じです。ところで来週は暑くなりそうとか。
もちろんいつものようにスポーツを楽しみました。いつまで続くかわかりませんが、楽しめるのが幸せです。
土曜日のサッカー教室は22名の参加者で実施。大人も子供にプレーに熱中しました。
日曜日のマラソン練習は10キロを61分。惜しかった。先週、一緒に走った仲間の今枝さんは今日、ビーニャのフル・マラソンを完走、素晴らしい。若さに気力があふれていますね。
それから単なる旅行でなく生活を楽しむためワーキングホリディを取ってチリに来た日本人青年の熊澤さんと話し合う機会を持ちました、2時間ほど話しましたが、さすがに情熱の持ち主でした。

(政治)

1) ピニェラ動向
雨が降らず異常に乾燥している旱魃問題のことはチリの風にほとんど毎週書かれていますが、ピニェラは第4州(コキンボ州)に飛んで、農業牧畜で被害の大きい地区を訪問しました。皆さんの問題を軽減する努力を続けますとコメントし励ましました。(首都圏のラス・コンデス区は公園で刈り取った芝生を今まで廃棄していたのを、今週から家畜のえさとして農家に援助として配達を始めました。)
それから毎年のように大問題になる山林火災の用意として3大の大型ヘリコプターを含めた鎮火対策案を発表。この夏は何とか乗り切れるでしょうか。
COP25の用意も進んでいるようです。水資源管理局の発表でチリの氷河はこの数年で8%縮小したとか。国際会議でどのように説明・発表するのかな?
2) 左右の対決
まず教育大臣の罷免についてですが、国会で議論された後、採決に入りました。野党側の議員数が与党のそれを上回っているので,国会で正式に同大臣が罷免されると思われましたが、なんと野党側の5名が反対票を投じたため、罷免は拒否されました。野党側は怒り狂って、その反対票を投じた議員を攻撃、そのうちの一人は下院副議長をしているので、直ちにその職を辞任せよと迫りました。彼は動じることもなく、自分の真意を投票しただけで、それについてとやかく言われる筋合いはないと涼しい顔。意外な結末でした
さて先週の話題になった次官の件は、全く逆で、彼は職を外されました。彼が辞任したと言われていますが、自分は無罪とまだ言っていることから、政府から解雇されたのでしょう。彼の妹も不正な手続きを実施しようとしたとして区役所からやめさせられました。とにかく全敗です。UDI党の党首は、ピニェラを批判しながら、ではその代わりの人間は我が党から出させてほしいと見苦しい発言、負けの度合いが増加するだけ。
その2つを考慮すると左右の勝負は1勝1敗ですね。どうかな?
話は変わりますが、元プロビデンシア区長のラべが拷問などの罪で3年間の懲役刑が言い渡されました。1973年の軍事政権発足時、彼は陸軍にいて市民を拷問したとされました。彼の弁護士は最高裁判所では違った判決が出るだろうと、まだ強気の発言。UDI党党首は裁判所がこうした判決を出すのはどうしたものかと発言。軍事政権時に殺人・拷問が日常化していたことを忘れています
3)10月5日
 9月11日は軍事革命が起きた日で、今でもチリでは話題になりますが、それが平和的に終了したのが10月5日です。1988年の軍事政権継続可否の投票がその日に行われ、ほとんど同じ数と予想されていましたが、意外にイエスが45%、ノーが55%となり、軍事政権の終焉と翌年の通常選挙が決定しました。私は選挙権があったのでもちろん投票しました。チリの近代化の一歩でしたね。
4) 地震
この10日間でM6ほどの5回大きな地震がありました。家屋の崩壊や人身被害は出ていませんが、継続していることはこの先、もっと大きな地震が襲うのではと言う見方が出ています。

(経済)

1) 経済成長率
大蔵省の発表で、今年-来年の数字が出ましたが、チリの成長率は2019年は2.6%、2020年は3.3%ですが、これは世界平均よりも低い数字になっています。チリが颯爽と走っていた時期は過ぎたようですね。
2) 銅価格と為替
1ポンドあたり2.54ドルと泣きたいほどの数字、為替は意外に1ドル716ペソとそれほど落ちませんでした。

(一般)

1) マーガレット・サッチャー
彼女の自伝が発刊され、もちろんその中にピノチェットの項目がありました。サッチャーはイギリスで拘留されていたピノチェットを大事にし、ウイスキーを送って元気つけたとか。フォークランド戦争の時、チリがイギリスを援護していますから、まだ隠されている密約があるのでしょうね。
2)公共運送の値上げ
サンティアゴの地下鉄の運賃が今日から値上げになりました。例えばラッシュアワーの場合、800ペソから830ペソに30ペソ(約4円)値上げになります。日本の方にとって4円の値上げなど意味がないと思われるかもしれませんが、この値上げ幅は2010年以降で最大の値上げです。10年前、2009年には地下鉄は460ペソ、バスは400ペソでしたからほぼ2倍の価格ですね。私はこの値上げをしないで、無賃乗車の乗客に運賃を払わせればよいと思います。20%とか30%の乗客が運賃を払わないでバスに乗っているようですが、彼らに払わさせると値上げの必要はありません。検査員の給料は無賃乗客者の罰金から払えば、国・市にも追加費用はないはず。どうしてやらないのかな?
値上げの理由はペソ安・ドル高のため費用がかさむとなっていますが、同じ理由で電気代も約10%の値上げになりました。

(スポーツ)

1) サッカー
チリの2大人気チーム、コロコロとチリ大学が対戦。ここではス-パークラッシク戦と呼ばれますが、試合終了間際の90分まで2対2で、引き分けと思われた時、ゴールが決まってコロコロの勝利。リーグ戦で2位を確保。逆にチリ大学は下から2番目で2部リーグ陥落のピンチ。首位のカトリカは5対0の楽勝でトップの座は堅いです。
2) 世界陸上選手権
チリも参加していますが、全く成果が出ません。世界のトップクラスとはレベルが違います。サッカー、テニスなどは世界のトップクラスになったことがありますが、陸上は・・・。


以上