(政治)

1) バチェレットの外遊
毎週、首都を離れるバチェレットですが、今週はスウェーデンとイギリスを訪問。両国首脳との面談の他に現地財界とも会議し、チリへの投資を呼び掛けました。彼女は流ちょうな英語を話します。チリを逃げて若いころ東独に住んでいたのでドイツ語も問題ないとか。3か国語を自由に操っています。 しかし南米の3女性大統領は悲惨な状況ですね。アルゼンチンは法廷に立たされそうだし、ブラジルは自宅謹慎の感じ。チリはどうなるのかな?
問題山積にもかかわらず、内外の各地を回るバチェレットは責任を他人に押し付けるタイプの典型見たいです。今回の外遊について、与党側からも欧州出張は止めて南部の漁民と話をする方が大事なのではと言うコメントが出ていました。 土曜日にチリに戻って最初にしたことは赤潮対策大臣の任命で、彼にしっかり対処しなさいと指示を出しました。
2) 赤潮問題
新しく任命された赤潮対策の大臣は積極的に動き、チロエ島の幾つかの市町村で、漁業関係者と会議し補償金などに関し合意に達しました。こうして2週間に及ぶデモ隊が封鎖していた道路を解除することに成功しました。もちろんまだ3つの市町村で道路封鎖は継続中。封鎖が解けた地区ですが、ガソリン・トラックがパトカーに守られて進みました。食料品も少しづつ元に戻り始めています。
問題の発端の赤潮の原因について学者などを集めた研究委員会を設置し、早急に検討に入ることにしました。
当初、赤潮による貝の収集作業が不可能になったことに対する補償要求から始まった問題が、首都サンティアゴに権限が集中しすぎると言った大きな問題にまで発展しましたが、小さな漁業組合の理事クラスでそれらの問題を取り上げる力があったのでしょうか。それとも誰かの入れ知恵?
3) ボリビア問題
モラレス大統領が、「チリは国境線から50キロ以内には建設しないと言う約束を破って、軍事基地を現在両国間の問題になっているシララ川から15キロの所にそれを保持している。我々は隣国のこの仕打ちに耐えることが出来ない」とクレームを飛ばしました。 
チリ側は直ちに反撃し、「一体、いつになったら正直に真実をコメントするようになるのか。彼らが言うチリの基地は、10数名の国境警備隊の住むキャンプで、それはチリのマスコミにオープンに見せることが出来る。彼らはボリビアから麻薬などの持ち込みを防ぐ役割を持つだけ。逆に、問題はボリビアがその川のわずか2キロの所に4百人以上の兵隊を置いた基地を持つことだ」と上空から撮影した写真を見せました。それに関してはボリビアは反応していません。
こうして両方から知らされるとボリビアの情報がインチキと分かるのですが、そうでなければチリがせこいことをしていると思われそうです。
ロンドンで、バチェレットを待っていたボリビアの大使がモラレス大統領と同じクレームをすると、チリ大統領の随行者から「あんたアホと違う。事実を調べてからコメントしてね」と軽くバカにされました。
4) 大学の教育無償化
バチェレットの選挙公約の一つですが、与党DCの元党首が無償化はムリだと公言し問題を投げかけました。教育大臣は確かに銅価格の低下で政府の自由に振り分けられる額が減少し、公約が予定より若干遅れるかもしれないが、それに向かって進んでいることは間違いないとしました。 
学生連盟のリーダーは「DCは野党の政党と同じことを言っているが、それで与党に残れるのか?」共産党系の人間は、議員でも学生代表でも同じようなコメントをします。
5) 予備選挙活動
先に選挙管理委員会に与党側の要求は拒否されましたが、与党側はあきらめず、その上部組織に委員会の決断を変更させるよう請求しました。そして引っかかっていた項目をさらにその上の観点から見ると、締め切り時間に遅れたことから要請を却下するのは妥当ではないと言う結論を引き出しました。  ニンマリ笑って予備選挙の用意に入りました。
なんだか、労働法案で、国会の出した結論を野党側請求で憲法法廷が却下したのと似ていますね。労働法案の問題は政府内でかなり深刻になり各大臣が口もききたくない状態まで行っているとか。いつもの共産党寄りとキリスト教民主党のぶつかり合いのことでしょうね。
先週与党グループのPPD党の元党首が党を離脱しましたが、今週、その党の他の元党首(現在のサンティアゴ区区長)がソキミチ鉱山から違法に選挙資金を受け取っていた疑いが出ました。与党側も野党側も同じせこいことをやっているわけですね。
6) 憲法改正
もう少しで野党が分裂しそうでした。
野党側は政府の戦略に乗って改正準備委員会に入ることはしないと拒否の姿勢でしたが、野党の一部が、「そうしてなんでも拒否の姿勢を見せるのは古い考え」と委員会に参加を表明。これが野党内をかく乱して、結局は党として対応するのではなく個人の問題にするような方向になりました。
バチェレットに随伴して欧州を訪問していた経済連盟のトップは私たちは委員会には加わりませんときっぱり拒否。
世論調査の結果で、将来性のある政治家として、1位は前大統領のピニェラ、2位はMEO(マルコ・エンリケ・オミナミ)でした。3位は元大統領のラゴス。与党側に人気のある若い政治家がいないわけですね。ついでに、チリの近い将来は暗いと考える人が着実に増加しているとか。