(政治)

1) 大統領選挙
11の政治活動も18のお祭りも終わったので、11月まで選挙で一色のはずですが、全然違います。今回の選挙は全然盛り上がりません。バチェレットが楽に勝ちそうなので緊張感がなし。与党側マテイの人気が全く上がりません。
候補者の最初の合同討論会が10月9日にコキンボであります。候補者全員が参加しますが、バチェレットだけは不参加とか。相手のエラーをついて攻めあがるというのが普通の戦術ですが、バチェレットは討論会にも顔を出さず、自陣の中を歩くだけ。とにかく基盤があるので相手側の票を取りにいく必要がないわけです。他の候補者に「お互いになじりあって傷ついてくださいね」とにっこり笑って言っているみたい。
南部の国会議員候補のポスターに「バチェレットのために働きます」とあったのには驚きました。皆様のお役に立ちますと言うのが普通でしょう?それを平然とバチェレットの部下ですと宣伝するなんて。そんな議員候補は落とすべきだけど・・・
もう過去に何度も書きましたが、1988年の軍事政権存続可否選挙はチリ中が興奮しました。冷め切った今と全く違います。   ところで与党側の要員はせっかく手に入れた政府の役職を来年3月に手放すのかとこっそり泣いているでしょうね。そのあとの4年を心配をしながら。
2) 軍事政権時の人権問題
先の11でピニェラは軍事政権時の人権問題でチリは大きな過ちを犯しているが、その責任は直接・間接的に政治・司法・マスコミも負うべきだとしました。
今週、アメリカの国連会議から帰国した彼は、有罪になった軍事政権時の秘密警察元幹部が収容されているサンティアゴ市内の特別刑務所を閉鎖することにしました。彼らはそこで優遇されすぎていると言うことでしょう。刑務所と言うより別荘と言う感じの家に入っていました。週末にこの移動は完了。彼らは近郊のもう一つの軍人用刑務所に入りました。
左翼のバチェレットが出来なかったことを右翼側のピニェラがこれを実施するなんて。意地を見せますね。与党のUDIもRN党も反対しています。彼は次の大統領選挙に右翼でなく中道として出るつもりなのかな?                    特別刑務所廃止の知らせを受けて囚人の弁護士が「大統領は私の顧客を拷問する気か」とニュースでコメント。秘密警察に拷問された死んで行った多数の左翼関係者が聞くと驚愕でしょうね。
このニュースに追加が入りました。別荘タイプ監獄に入っていた10名の中で一人だけ週末の自由行動が許可されていた秘密警察CNIの元局長メナが自殺。彼はこの週末、自宅に戻って、そこで銃で自殺。囚人が銃を所有するのは不可思議ですが、新刑務所に移動するのを嫌っての自殺とか。ピニェラ批判の声が高まっています。
ここで追記しますが、どうして軍人用の特別刑務所が必要なのかと言うことです。そうかチリはまだ軍事政権の影響が抜け切れないのか。違いますね。世界を見るとアメリカ、イギリス、フランスなど欧米各国に軍人用刑務所が用意されています。つまり一般囚人とは違った理由で収容される可能性があると各国が理解しているわけです。フーム。                        同じような件ですが、新聞エル・メルクリオの老オーナーが裁判官と面談しました。証人と言う感じだそうですが、軍や右翼と関連の深かった彼から9月11日関連の情報を入手しようとしたらしい。もう秘密は全くないように思えますが、まだまだ知られていないことがあるのですね。
3) 2014年の予算作業が始りました。
日曜日の夜、ピニェラが全テレビ局の放送を通じてこの来年度予算についてコメント。7大目標を掲げ、先ず大事なのは現在の動きを継続することとしました。2008年以来、諸外国がほとんど例外なく経済不安に苦しんでいるときに、チリは堅実な歩みを印していますが、失業率の低下、給料の上昇など国にとって個人にとって必要な発展を継続したいとしたわけです。どうなるかな?
4) 外交問題
ボリビアのモラレス大統領が国連でボリビアの海問題を取り上げチリを批判しました。いつものことで驚きませんが。 ハーグ国際法廷はペルーとチリの領海問題の結審は予定されていた8月から9月にずれたとされましたが、今度はさらに遅れて来年初めになりそうとか。これは新しい事項が出て今までの計算が変わってきたということでしょうが、チリに不利なことでもでたのかな?公式には裁判所の仕事が多すぎてとされていますが、実際は11月のチリの選挙前におかしな判決が出ればチリ政界に影響が出ると考えてのチリ側からの要請かもしれませんね。
アルゼンチンの空港問題は、裁判でランチリのブエノス・アイレス空港倉庫使用権が6ヶ月間延長と認められました。 何か良くわからない判決ですが、アルゼンチンの識者のコメントでチリのランの方がアルゼンチン航空よりずっと効率的とか。仕事で勝てないので法律で嫌がらせをするのは悲しいですね。
今年のランチリ国内便の利用客は7百万人となりそうで国民の40%がランチリ便を一度は使用する由。1−8月の数字は前年対比8.8%のアップです。
5) 市民登録局のスト
3週間ほど続いたストがやっと終わりました。月曜日から通常業務になるとか。しかし政府の無策か、労働組合の優秀さか、外から見ていると一方的に労組が勝った様に見えます。この結論は政府内でももめたでしょうね。
賃金を上げる、それを確保するため組織内での地位を上げる(賃上げをしなくても給料を上げられる)など、労働者が有利になるような取り決めが行われ、「仕事をしなかった3週間ほどの給料は支払わない」もどうなるのかな?  
先の道路清掃夫のストといい、今回のストと言い、組合のネゴにうまさが光っています。幼稚園関係、コデルコのサルバドール鉱山もストをしましたが、次は刑務所関係かな?
スペインの新聞に公務員の給料が4年間凍結とでていました。確かに世界各国の情勢は随分違いますね。チリの場合、公務員は8.8%の昇給を要求です。